マダガスカル、軍が権力掌握を宣言 大統領府は「クーデター未遂」と声明

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サミー・アワミ記者(BBCアフリカ、アンタナナリヴォ)、ダナイ・ネスタ・クペンバ記者
アフリカの島国マダガスカルの軍の精鋭部隊が14日、アンドリー・ラジョエリナ大統領から権力を奪ったと発表した。インド洋にある同国では、若者らを中心とした抗議行動が数週間続いていた。
マダガスカル軍の精鋭部隊「CAPSAT」のミシェル・ランドリアニリナ大佐は14日、大統領官邸の前で、軍が政府を樹立し、2年以内に選挙を実施すると述べた。また、選挙管理委員会など主要な民主的機関を停止するとした。
大佐はさらに、Z世代の若い抗議者らが変革の一部を担うと説明。「今回の運動は路上で生まれたのだから、若者たちの要求を尊重しなければならない」と理述べた。
首都アンタナナリヴォでは何千人もが旗を振って、ラジョエリナ大統領の追放を祝っている。
CAPSATはマダガスカル軍で最も力のある部隊。ラジョエリナ大統領が就任した2009年には大統領を支持していたが、今月11日以降、抗議者らに加わるようになった。
マダガスカルの憲法裁判所はすでに、ランドリアニリナ大佐を新指導者に指名している。しかし大統領府は、ラジョエリナ大統領がまだ権限を握っており、一連の動きを「クーデター未遂」だとする声明を出した。
ラジョエリナ氏の所在は不明。同氏は自ら、「軍人や政治家ら」から命を狙われ、「安全な場所」に避難していると説明している。CAPSATは、そうした動きには全く関与していないとしている。
ラジョエリナ氏については、フランス軍機で国外に脱出したとの未確認情報も出ている。
米国務省は14日、すべての当事者に「憲法秩序に沿って平和的解決を追求する」よう求めた。
ランドリアニリナ大佐はBBCの取材で、マダガスカルは「いま混乱が支配する国」だとの見方を示した。そして、「混乱は大統領がいないためだ。彼は外国へと去った」と述べた。
今回の騒乱は2週間ほど前に始まった。マダガスカル各地ではそれよりも前、慢性的な断水と停電に対する若者主体の抗議行動が起きていた。

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やがて抗議デモは拡大し、高い失業率、横行する汚職、高騰する生活費などをめぐるラジョエリナ政権への不満も反映するようになった。
国連によると、抗議者らと治安部隊の衝突が発生しており、少なくとも22人が死亡、100人以上がけがを負ったとされる。マダガスカル政府は、この数字は不正確で、「うわさと誤情報」に基づいていると主張している。
起業家で元DJのラジョエリナ大統領は、かつてマダガスカルの新たな出発の象徴とみられていた。
童顔で、34歳で大統領に就任したラジョエリナ氏は、アフリカで最も若い指導者の肩書きを得た。4年間政権を担い、2018年大統領選で再び政権を握った。

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しかし、縁故主義と汚職の疑惑が浮上し、人気を失った。ラジョエリナ氏は、それらの疑惑を否定している。
同氏は権力を失ったように見えるが、現在の情勢に影響を与えようと動き続けている。野党側が同氏について職務放棄を理由に大統領職の剥奪を決議する前に、同氏は議会を解散しようとした。ただ、これはうまくいかなかった。
議会は14日、ラジョエリナ氏の弾劾(だんがい)を賛成130、白票1で決議した。同氏を支えてきた与党連合イルマルのメンバーらも圧倒的に弾劾を支持した。同氏はこの投票結果を認めず「無効」だとしている。
アフリカ連合(AU)は、マダガスカルで政治問題に軍が「干渉」していることに警告を発し、「憲法に違反する政権交代の試み」は認めないとした。
マダガスカルの旧宗主国フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「非常に憂慮すべき」状況だと述べた。
マダガスカルは近年、政治的な激変を繰り返してきた。
世界銀行によると、マダガスカルは世界最貧国の一つで、人口約3000万人の75%が貧困ライン以下で生活している。






