ロシア野党指導者ナワリヌイ氏、刑務所から「移送」か 居場所わからないと側近

モスクワで開かれた審理に、刑務所内からビデオリンクでスクリーンに映し出されたナワリヌイ氏(2023年6月)

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画像説明, モスクワで開かれた審理に、刑務所内からビデオリンクでスクリーンに映し出されたナワリヌイ氏(2023年6月)

2021年1月のロシア帰国以来、拘束が続く野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が、収監されていた刑務所から移送され、居場所がわからなくなっている。ナワリヌイ氏の広報担当者が11日、明らかにした。来年の大統領選が関係しているとの見方もある。

広報担当のキラ・ヤルミシュ氏はソーシャルメディアで、メレホヴォ刑務所の職員が、ナワリヌイ氏が同刑務所にもはや登録されていないと述べたと説明した。

米ホワイトハウスは、この報告を「深く憂慮している」と述べている。

ナワリヌイ氏の支持者らは、刑期延長後に同氏がさらに警備体制の厳しい刑務所に移送された可能性があるとみている。

また、先に発表された大統領選ともつながりがあると指摘している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8日、来年3月の大統領選に再出馬する意向を示した。

ロシアの裁判所は今年8月、ナワリヌイ氏に対し、過激派団体を創設した罪などで新たに禁錮19年の判決を言い渡した。ナワリヌイ氏は罪状を否定している。

ナワリヌイ氏はこれに先立ち、すでに仮釈放条件違反や詐欺、法廷侮辱罪などで9年の禁錮刑に服していた。

ナワリヌイ氏は8月の判決の際、「特別態勢」の刑務所で刑期を継続するよう言い渡されていた。これは、きわめて危険性の高い犯罪者や再犯者、終身刑の受刑者などが収容される施設だという。

ナワリヌイ氏の支持者らは11日、同氏から6日間も連絡がないと発表。これまではビデオリンクで出席していた法廷にも、このところ何度か欠席していたという。刑務所当局は、欠席は技術的な問題によるとものだとしていた。

ヤルミシュ氏はその後、弁護士らがモスクワから東に約240キロ離れたメレホヴォ近郊にある刑務所と、近くの別の刑務所の外で待機していたところ、ナワリヌイ氏はどちらの刑務所にも登録されていないと告げられたのだと説明した。

ナワリヌイ氏側近のレオニド・ヴォルコフ氏は、これが「偶然だという可能性は0%で、100%クレムリン(ロシア大統領府)の直接的な政治的コントロールによるものだ」と語った。

「この『選挙』で誰が主要な対抗馬になるのか、プーチンには明らかだ」

「そして、ナワリヌイ氏の声が聞こえないようにした。だからこそ、我々一人ひとりがナワリヌイ氏の声にならなくてはならない」

ナワリヌイ氏は10年以上前から、ロシア政府の腐敗をあらわにしようと活動していた。調査ビデオはオンラインで数千万回、視聴されている。

カリスマ性のある活動家で、ロシア各地で反政府抗議に大勢を駆り立てられる反政府指導者はナワリヌイ氏だけとみられていた。

しかし2020年8月に旅客機でロシア国内を移動中に体調を崩し、中南部オムスクの病院に搬送された。さらにその後、ドイツ・ベルリンの病院へ転院。ドイツ政府は神経剤ノヴィチョクによる毒殺が図られた「明確な証拠」があると発表した。

同年12月には、ナワリヌイ氏が身元を偽りロシア連邦保安局(FSB)工作員に自ら接触し、神経剤ノヴィチョクを使った自分への攻撃の詳細を聞き出した内容を、調査報道団体「Bellingcat」が報じた

神経剤攻撃から回復後、ナワリヌイ氏は逮捕されると警告されながらも、2021年1月にロシアへ帰国。モスクワ近郊のシェレメチェヴォ空港で、直ちに拘束された

動画説明, ロシア野党指導者ナワリヌイ氏、空港で逮捕される瞬間