インドでトンネル崩落、発生17日後に41人全員救出 手持ちドリルで掘削

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インド北部のヒマラヤ山脈地域で今月12日、建設中の高速道路のトンネルが崩落し、作業員41人が閉じ込められた。救助は難航したが、事故発生から17日目の28日、全員が救助された。
救助隊は直径90センチの鉄管を通し、作業員をストレッチャーに乗せて管内を移動させ、トンネルから脱出させた。作業員らはその後、検査のために病院に運ばれた。けが人はいないという。
崩落事故は12日、ウッタラカンド州で建設中のシルクヤラ・トンネル(全長4.5キロメートル)で発生。救助作業は難航し、最終的には手持ちのドリルでトンネル周辺の岩を砕いて、作業員のいる場所に鉄管を通した。
作業員らはトンネルから出ると歓声や花輪で出迎えられた。現場には作業員らの家族や友人、地元住民などが集まり、爆竹を鳴らしたり菓子を配ったりして救出を祝った。
インドのドラウパディ・ムルム大統領はソーシャルメディアに、作業員らが救出されて「安心し、喜んでいる」と投稿。救助活動をたたえ、「人間の忍耐を示すものだった」と述べた。
救出活動では、トンネル内部まで細いパイプを通し、作業員たちに酸素や食料、水などを送っていた。また、トランシーバーで作業員らとやり取りしていた。

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シルクヤラ・トンネルは、ヒマラヤ山脈の主要なヒンドゥー教巡礼地を2車線道路で結ぶ総工費15億ドル(約2200億円)、全長890キロの「チャール・ダム」計画の一部。今回、地滑りによってトンネルの一部が崩落した。
救助隊は当初、トンネルの入り口から作業員らのいる場所までの60メートルにわたり、岩や鉄骨などのがれきを除去しようとした。作業員らがはいつくばって出られるような、横幅のある出口をパイプで作るのが目的だった。
しかし、がれきの中の鉄骨の切断に手間取り、土壌がやわらかいこともあって作業は難航。17日にはあと数時間作業を続ければ救助できるというところまできたが、トンネル内の掘削機が完全に壊れ、中断となった。
その後、20人ほどの「ネズミの穴」鉱山労働者が投入され、手で持つドリルで作業に当たった。全員、狭いトンネル内での作業に熟練しており、閉じ込められた作業員のいる場所までの最後の数メートルを掘り進んだ。
ついに穴を開け、鉄管を通した救助隊は、縄やはしご、ストレッチャーなどをトンネル内に運び込んだ。外では41台の救急車が待ち構え、作業員らを30キロ先の病院まで運ぶ準備を整えた。
これと並行して、山の上から垂直にトンネルを掘り、作業員らにたどり着く計画も進められていた。
ある救助隊員はBBCに対し、「最後のがれきを砕いた時、トンネルの中で喜びが爆発した」と語った。
「閉じ込められていた人たちは、興奮して拍手したり叫んだりしていた。それから当局の人が落ち着いて、我慢してと呼びかけ、『一人ずつ外に出します』と話した」
ウッタラカンド州政府は声明で、「科学と神のおかげで」救助活動が成功したと発表した。
閉じ込められていた作業員らは大半がインドの最貧地域出身の20代で、健康状態は良いと伝えられている。インド国家災害対応部隊の職員はANI通信に対し、「彼らの状態は一級品で(中略)ちょうどあなたや私たちのようにまったく問題ない。健康には何の心配もない」と述べた。ただし、検査のために現場近くの病院に搬送された。
救出活動が長期化したため、インドでは数百万人が閉じ込められた人々の安全を祈り、見守る日々が続いた。
11月21日には医療用の内視鏡が細いパイプを通り、トンネル崩落後に初めて、閉じ込められた作業員らの姿を映し出した。


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環境活動家や地元の住民はかねて、「チャール・ダム」を含む性急な建設計画がこの地域で地盤沈下を起こしていると非難しており、それが今回のトンネル崩落につながったと指摘している。
ウッタラカンド州はガンジス川とその主要支流の水源であり、人口6億人以上に水と食料を供給している。地域には森や氷河、湧水が点在する。
また、この地域の自然が二酸化炭素(CO2)を吸収・貯蔵し、温室効果ガス排出の影響を緩和することで、インドの気候に影響を及ぼしている点も重要だ。
「チャール・ダム」の道路計画には、シルクヤラ・トンネルと、チャンバ県にある全長400メートルのトンネルの、2カ所の主要トンネルがある。さらに、鉄道と水力発電プロジェクト向けのトンネルも計画されている。
環境保護活動家のヘマント・ディアニ氏はBBCの取材で、「ここ15~20年、インドではトンネル工事が集中していた」と説明。「この山岳地域はこうした大規模なインフラ建設には向いていない」と述べた。








