ニジェール、与党本部が炎上 クーデター支持者が襲撃

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兵士らがクーデターを宣言したニジェールで27日、政権与党の本部がクーデター支持者らに襲撃され、火が放たれた。付近では車が燃やされたり石を投げつけられたりしている。
この日、議会前にはクーデター指導者らを支持する人が多数集まり、ロシア国旗を掲げた。一部の人がそこから移動し、与党本部に火を放った。
軍は現在、クーデターを宣言した兵士らを支持するとしている。モハメド・バズム大統領(64)は26日に兵士らによって拘束されている。
ロシアを含む諸外国や国連は、バズム氏の解放を求めている。
2年前に選挙で大統領になったバズム氏は、西アフリカにおけるイスラム武装勢力との戦いで、欧米の重要な協力者となっている。
アメリカと旧宗主国のフランスはクーデターを非難している。両国はともに、ウラン資源の豊富なニジェールに軍事基地を置いている。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、バズム氏に電話し、「揺るぎない支援」を約束した。
国連は、ニジェールでの人道支援活動の停止を発表した。クーデターが停止の理由なのかは不明。
国連は以前、ニジェールで400万人以上が人道支援を必要としていると発表している。
アントニオ・グテーレス事務総長は27日、バズム氏の「即時かつ無条件の」解放を要求した。
バズム氏は同日朝、ツイッターで、「苦労して得た成果は守られる。民主主義と自由を愛するニジェール国民はそれを見届けるだろう」と抵抗姿勢を示した。
ニジェールのハスミ・マスドゥ外相は、バズム氏への支持を呼びかけるとともに、対話を求めている。一方、軍参謀総長は、軍内部での争いを避けるためとして、クーデターを支持すると表明した。
誰が権力を握っているのか
クーデターを起こした側は指導者を立てていないため、現実に誰がニジェールを掌握しているのかは不明な状況となっている。
国営テレビは、愛国的な音楽やイスラム教の聖典コーランの一節を織り交ぜながら、深夜のクーデター宣言を繰り返し伝えている。通常の昼のニュースは放送されなかった。
首都ニアメーでは早朝に大雨が降り、商店や市場はいつもより遅れて営業を開始した。通りには、クーデターを支持する人々が集まった。
議会の前に集まった数百人の中には、ロシアの国旗を掲げる人もいた。「打倒フランス」、「外国基地は出て行け」などと記された手書きのプラカードも見られた。

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警察はその後、与党ニジェール民主社会主義党(PNDS)の本部に移動した人たちを解散させようと、催涙ガスを発射した。同党本部では、抗議者たちが迫ってくるのを見た党員らが逃げ出した。
この騒ぎで何人かが負傷した。同党本部の周囲には、焼けた車が数多く残っている。
クーデター支持者たちは、同党が汚職にまみれ、治安改善とジハード(イスラム教聖戦)主義者の反乱終結への取り組みが不十分だと非難している。
ニジェールの隣国のマリとブルキナファソでは近年、ジハード主義者の反乱を端緒にクーデターが起きている。
どちらの国でも、新たな軍事指導者たちは旧宗主国のフランスと対立し、ロシアに接近している。
今回のクーデターを支持する人は、「(兵士らが)市内の治安を良くし、状況をよくしてくれることを願っている。この国には資源が豊富にある。ブルキナファソやマリに続こうとしているなら、それでも構わない」とBBCに話した。
ロシアで禁止されていない主要ソーシャルメディアのテレグラムには、親ロシア政権派の多くの有名コメンテーターが、クーデターを支持するコメントを投稿。ロシアとワグネルがニジェールに入り込む好機だと主張している。
今回のクーデターにロシアが関与したことを示す証拠は、今のところ確認されていない。ロイター通信がロシアの国営タス通信の報道を引用して伝えたところでは、同国のセルゲイ・ラヴロフ外相は、ニジェールで憲法の秩序が回復されるべきだと述べた。
ニジェールではここ数週間、一部の市民団体が、同国はフランスから離れてロシアに近づくべきだと訴えてきた。
クーデターを起こした勢力は、27日朝にフランスの軍用機が空軍基地に着陸したことを受け、国境閉鎖への違反に当たるとしてフランスを非難した。
「ニジェールは退行する」
今回のクーデターは、アマドゥ・アブドラマン大佐が26日に国営テレビで宣言した。治安の悪化や「経済的・社会的統治の劣悪さ」が招いたものだと主張した。
一方、ニジェールの一般紙「L'Enqueteur」は、バズム大統領がアブドゥラハマン・チアニ将軍を大統領警護隊司令官から解任しようとし、それがクーデターにつながったとの見方を伝えた。
今回の事態に、ニジェールの世論は割れている。衝撃を受け、動揺している人もいる。
クーデターが進行中だった26日には、大統領支持の数百人が兵士らに従わずに抗議行動をし、兵士らに対して兵舎に戻るよう求めた。
兵士らが警告射撃をすると、大統領支持者らは退散した。無血クーデターで鳴り響いた唯一の銃声だった。
妻と3歳の息子とともに自宅で避難しているニアメーの男性は、「クーデターはとても残念だ。国にとって最善を望んでいるだけに、悲しくなる。ニジェールはこれで退行する」とBBCに話した。
マスドゥ外相は、政権の転覆に反対するよう国民に呼びかけている。仏放送局フランス24のインタビューでは、事態はまだ対話で解決が可能だと主張。隣国ナイジェリアから派遣された特使が軍と協議中だと述べた。
ベナンのパトリス・タロン大統領は、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表として仲裁に当たる予定だったが、ニジェールが国境を閉鎖しているため断念せざるを得ない状況となっている。
ニジェールはサハラ砂漠の端に位置し、乾燥地帯が広がっている。世界最貧国の1つであり、1960年にフランスからの独立して以来、クーデターが4度起きている。クーデター未遂も数多く発生している。
BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員は、西アフリカの安定の回復を図っているフランスなど西側にとって、今回のクーデターは新たな悪い知らせとなったと指摘。隣国マリがフランスではなく、ロシアの雇い兵組織ワグネルと協力関係を結んだ際、フランスは西アフリカにおける活動拠点をニジェールに移していたが、そのニジェールさえ安全な基地として当てにできなくなったと説明した。
そして、西アフリカにおける西側の影響力は、乾季の水たまりのように小さくなっているとした。







