性行為や裸の写真・動画を勝手に共有・作成……禁錮刑の対象へ イギリス法案
シオナ・マッカラム、テクノロジー記者

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イギリス議会で近く採決されるオンライン安全法案に26日、 性行為や裸の画像・動画を本人の同意なく共有・作成する行為について、イングランドとウェールズでこれを実刑対象とする内容が追加された。法案は近く可決される見通し。
オンライン安全法案には、人工知能(AI)を使って本物のように加工したいわゆる「ディープフェイク」画像・動画や、元交際相手などの裸や性行為の画像・動画を同意なくインターネットに投稿する、いわゆる「リベンジ・ポルノ」行為を行った者に、6カ月の禁錮刑を科す内容が含まれることになった。
相手に苦痛や不安や屈辱などを与える加害意図や、自分が性的満足を得ようとする意図があったと立証されれば、刑期は最長2年まで延ばされる可能性がある。
性的満足を得るために画像などを共有した者は、性犯罪者リストに登録される場合もある。
イギリスでは2015年から、リベンジ・ポルノは犯罪行為とみなされている。しかしこれまでは検察側が、相手に屈辱や苦痛を与える意図が被告にあったことを証明しなくてはならなかった。
英政府は昨年、この問題について法制化を進める意向を表明。オンライン安全法案は今月中に議会で可決・成立する見通し。
アレックス・チョーク法相は、「女性や少女を追い詰めたり、辱めたりするために親密な写真を共有・操作する虐待者を、積極的に取り締まっていく」と述べた。
「今回の法案修正は、警察と検察にこうした卑怯者を裁くのに必要な権限を与え、女性と少女をこのような卑劣な虐待行為から守るものだ」

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英リアリティー番組「ラブ・アイランド」出身の芸能人、ジョージア・ハリソン氏は、元パートナーとの性行為を撮影された。この動画を成人向け定額制サイト「OnlyFans」の自身のアカウントに投稿した元パートナーのスティーヴン・ベア受刑者は、有罪となり今年3月に収監された。
これまで法改正を求めてきたハリソン氏は、わいせつ画像の不同意の共有が法案で処罰対象になったことを受け、これまでに自分が受けた支援に感謝していると述べた。
「今日の法案修正は、今後何世代にも続くターニングポイントとして歴史に残るものです。私に手を差し伸べてくれた数多くの被害者の心に平穏をもたらすと同時に、未来の被害者たちが受けるに値する正義をもたらすことになります」
増加する問題
本人の同意のない性行為や裸の動画・画像がオンラインに掲載される問題は、悪化し続けている。ディープフェイク技術を使い、女性をバーチャルに裸にするウェブサイトは、2021年の最初の8カ月間で約3800万件のアクセスを記録した。
性行為や裸の画像などを共有するよう脅迫された経験を、18歳から34歳の女性の7人に1人、男性の9人に1人がしているという調査結果もある。
プライベートな性的画像を同意なしに公開されたとの通報は、2015年4月から2021年12月までの間に2万8000件以上警察に寄せられた。
こうした画像などをめぐる今回の全面的な法改正は、これまでの法改正をもとにしている。
イングランドとウェールズの司法について英議会に諮問する法律委員会は、性的な画像による加害行為から市民を守るため、法改正が必要だと議会に提言していた。
ニコール・ジェイコブズ家庭内虐待問題担当委員は、法改正案修正の知らせを歓迎。「この陰湿な虐待行為の加害者に責任を負わせる」ことになると述べた。
「性行為などの画像を使った虐待行為は、被害者や虐待を生き延びたサバイバーに大きな苦痛を与える。そしてオンラインでの加害はしばしば、オフラインでの多様な虐待行為へと続いていく」
家庭内虐待が専門の慈善団体「レフュージ(避難)」の最高責任者ルース・デイヴィソン氏は、交際相手の性的画像による虐待行為の有罪率が「あまりにも低い」と指摘。
「オンライン安全法の改正案によって、虐待の加害者の起訴が容易になり、正義が保障され、サバイバーの保護が強化されるだろう」と述べた。
「管轄権の問題」
しかし、画像による虐待行為に完全に対処するには、さらに多くの事に取り組む必要があると強調する人もいる。
英法律事務所マカリスター・オリヴァリウスのホンザ・セルヴェンカ弁護士は、今回の法案修正は歓迎すべきことだとしつつ、「管轄権の問題」が浮上する可能性が高いと指摘した。
「これらのウェブサイトの中には、簡単に追跡できないものもある。ネット上で損害を与える行為や嫌がらせに関する法律が緩いという理由で、特定の国を拠点に活動していることがある」と、BBCに語った。
「表面上は削除されたはずの画像が、数カ月あるいは数年後に再び掲載されていることに、被害者が気付くケースは非常によくある」
英児童虐待防止協会(NSPCC)でネット上の児童保護を担当するラニ・ゴヴェンダー氏は、前向きな動きだが、IT大手各社は自社プラットフォームに投稿されたものに対して、もっと責任を負う必要があると述べた。
「まるで工場で作られる商品のように大量生産される児童性的虐待コンテンツと、その作成・共有に、オンライン安全法が取り組もうというなら、でやるべきことはもっとたくさんある」
「自社製品が児童の性的虐待を助長していることにIT各社が対応しなくても、現行法案では責任逃れができる。政府はただちにその抜け穴をふさぐべきだ」








