タイ総選挙、野党2党が躍進 政権交代目指し連立交渉へ

Pita Limjaroenrat

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画像説明, 第1党となることが確実となった「前進党」を率いるピタ・リムジャロエンラット氏

タイで14日、下院総選挙(定数500)の投開票があり、多くの有権者は軍が支援する現政権への拒否を示した。その結果、野党2党が議席を大幅に増やし、連立政権の樹立に向けて協議する見通しとなった。

選挙管理委員会のデータを基にロイター通信が計算したところでは、開票率97%の時点で、革新系で反軍の「前進党」と「タイ貢献党」がそれぞれ第1党と第2党となり、プラユット・チャンオチャ首相(69)率いる現在の親軍政権を上回る勢い。

タイでは2014年、プラユット氏が軍事クーデターを主導。タクシン・シナワトラ元首相の妹のインラック・シナワトラ首相(当時)から政権を奪取し、今回の選挙で2期目を目指した。2019年にも下院総選挙があったが、どの政党も過半数議席を得られなかった。

そうしたタイにとって、今回の選挙は転機になるとみられている。

前進党は、元テクノロジー会社幹部のピタ・リムジャロエンラット氏が率いる。一方、タイ貢献党は、タクシン・シナワトラ元首相の娘のペートンタン・シナワトラ氏を首相候補としている。

両党は躍進したが、政権を握るまでには困難に直面する可能性がある。

新首相は、今回の選挙で選ばれた下院議員500人と、プラユット政権が任命した上院議員250人によって選ばれる。そのため、軍に有利となっている。

上院議員らは現在の親軍政権を支持しており、野党に賛同したことは一度もない。

野党2党が連立交渉へ

前進党のピタ氏は、選挙結果を受け「素晴らしい」とコメント。政権を樹立する際には、軍の支援を受けた政党への反対姿勢を維持すると約束した。

ピタ氏はまた、タイ貢献党との協議を探り、連立は「確実にあり得る」と記者団に述べた。

一方、タイ貢献党のペートンタン氏は、前進党の躍進を祝福。「私たちは一緒に仕事をできる」、「前進党とは話をする用意があるが、正式な(選挙)結果を待っている」と述べた。

Paetongtarn Shinawatra, daughter of former Prime Minister Thaksin Shinawatra, addressing media at the end of election day

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画像説明, タイ貢献党の首相候補のペートンタン・シナワトラ氏(左から3人目)。同氏はタクシン・シナワトラ元首相の娘
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今回の選挙は、全国9万5000カ所の投票所で朝から投票が行われ、午後5時に終了。すぐに開票作業が開始された。

約5000万人の投票が見込まれ、期日前投票では約200万人が票を投じた。

選管が各党の最終的な獲得議席を確定させるには、数週間かかる見通し。

今回の選挙では、あらゆる年代の有権者が、比較的経験が浅く理想主義的な若い政治家にチャンスを与えたとみられる。これは、タイの世論の大きな変化を示している。

Prime Minister Prayuth Chan-ocha

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画像説明, プラユット・チャンオチャ首相(中央)は2014年軍事クーデターを率い政権を握った
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2019年総選挙では、数週間後に親軍政党が連立政権を樹立し、野党が不公正だとする手順の中でプラユット氏が首相に指名された。

翌年には、前進党の前身で、若い有権者の熱烈な支持を得て選挙で好成績を収めていた「新未来党」が、物議を醸す判決によって解党となった。

それをきっかけに、軍と王室の改革を求める大規模な抗議運動が6カ月間にわたって繰り広げられた。