移民船の難破、死者100人以上か イタリア南部沖

動画説明, 船が難破した付近の海岸にはイタリアの救助当局などが出動した

イタリア南部の沖合で26日に発生した木造船の難破で、死者は100人を超えると懸念されている。同国のジョルジア・メローニ首相は、移民船の密航を止めるための対策を欧州連合(EU)の関係機関に求めた。

船にはアフガニスタン、パキスタン、ソマリア、シリア、イラク、イランからの移民約200人が乗っていたとされる。

多くはパキスタン出身者とみられている。同国のシャバズ・シャリフ首相は27日、パキスタン人20人以上が死亡したもようだと述べた。

遺体は同州のリゾート地の浜辺で、多数収容されている。これまでに少なくとも63人の死亡が確認され、うち12人は子ども(赤ちゃん1人を含む)とされる。

船は数日前にトルコを出発。イタリア南部カラブリア州の町クロトーネ近くに着岸しようとしたが、荒天で岩に衝突してバラバラになったとみられている。

沿岸警備隊は、「船が沈んだ後に海岸にたどり着いた人を含む」80人の生存を確認したと明らかにした。ただ、それよりも多くの人が行方不明のままとみられる。

税関警察は、生存者1人を移民売買の容疑で逮捕したとした。

家族を失った生存者たち

近くの町に設置された仮設の受け入れセンターでは、家族を失った生存者たちが無言で泣いたり、毛布にくるまって虚空を見つめたりしていた。

アフガニスタン出身の少年(16)は姉(28)を失った。死体が隣の浜辺で見つかった。両親にはまだ伝えられていないという。

同国出身の男性(43)は息子(14)と共に助かった。だが妻と子ども3人(13歳、9歳、5歳)は命を落とした。

夫を失った同国出身の女性は、涙を流したまま浜辺から動こうとしなかった。

地中海中部で救助活動を行っている非政府組織SOSメディテラネのフランチェスコ・クレアッツォ氏は、「私たちの海岸の近くで、またしても悲劇が起きた。地中海は巨大な墓場で、そこには何万人もの魂が眠っており、墓は広がり続けていることを思い知らせるものだ」と話した。

Crotone: Muslims saying prayers for the victims, 27 Feb 23

画像提供, EPA

画像説明, イタリア南部の町クロトーネで祈りをささげるイスラム教徒たち(27日)

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は27日、スイス・ジュネーヴで開かれた国連人権理事会で、難民や移民を助ける努力拡大を各国に求めた。また、より安全な移動ルートと救助活動の強化を呼びかけた。

イタリアのメローニ首相は同日、移民の出国問題に「真剣」かつ「人道的に」取り組む唯一の方法は、移民船の旅を止めることだと述べた。メローニ氏は昨年、移民の流入を断ち切るとの公約を掲げ、首相に選ばれた。

メローニ氏は公共放送「ライ1」で、これ以上の死者を出さないために、移民船の出航を止めるための行動を直ちに取るよう、欧州理事会と欧州委員会に書簡を送ったと説明。

「出発する人が多いほど、死の危険性は大きくなる」とした。

メローニ氏は26日には、今回の出来事について「深い悲しみ」を表明し、密入国者のせいで多くの人が死んだとした。

そして、「安全な旅だという誤った見通しのもとで支払った『チケット』代と、男性や女性、子どもの命を交換するなど、非人道的だ」と主張。

「政府は(移民が祖国を)出発するのを阻止し、このような悲劇が展開されるのを防ぐために尽力している。今後もそうするつもりだ」とした。

メローニ氏の右派政権は、移民がイタリアの海岸に到達するのを阻止すると宣言している。ここ数日は、救助に関する規則を強化する厳しい新法を推進している。

監視団体によると、地中海中部では2014年以降、2万人以上が海上で死亡または行方不明になっている。

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難破した船はトルコを出発し、イタリア南部カラブリア州の町クロトーネ近くに着岸しようとしていた
画像説明, 難破した船はトルコを出発し、イタリア南部カラブリア州の町クロトーネ近くに着岸しようとしていた