アカデミー賞は「人種差別に深く影響されている」 俳優デッドワイラーさん、主演賞に黒人候補ゼロで

Danielle Deadwyler

画像提供, Getty Images

画像説明, ダニエル・デッドワイラーさん

今年の米アカデミー賞主演女優賞に黒人女性が1人もノミネートされなかった事態を受け、米俳優ダニエル・デッドワイラーさんが、映画業界は「構造的な人種差別に深く影響されている」と発言した。

デッドワイラーさんは映画「Till」での演技が評価されており、アカデミー賞へのノミネートが有力視されていた。

しかし先に発表された候補者には、デッドワイラーさんだけでなく、ヴァイオラ・デイヴィスさんなど黒人女性の名前がなかった。

デッドワイラーさんは、アメリカ人の暮らしのさまざまな構造で、社会的な人種差別の「トリクルダウン効果」が起きていると指摘した。

今年の主演女優賞候補は、ミシェル・ヨーさん、ケイト・ブランシェットさん、アナ・デ・アルマスさん、ミシェル・ウィリアムズさん、アンドレア・ライズバラさんの5人。

主演男優賞にも黒人候補はいない。助演女優賞には黒人のアンジェラ・バセットさんが、助演男優賞には同ブライアン・タイリー・ヘンリーさんが、それぞれノミネートされている。

アカデミー賞の発表は3月12日。

黒人の主演女優賞受賞者は1人

デッドワイラーさんは「Till」で、1955年に白人女性に口笛を吹いたことをとがめられリンチされた14歳の黒人少年エメット・ティルの母親、メイミーを演じた。

BBCのラジオ番組「Women's Hour」に出演したデッドワイラーさんは、「映画史は100年以上の歴史があるが、あえて言うなら、アメリカを形成してきた制度的な人種差別の影響を深く深く受けている」と話した。

「そして、もし私たちがまだこの国の体系的な人種差別に取り組んでおり、それがエメットの死からタイリー・ニコルズさんの死までつながっているなら、人種差別が私たちの生活にトリクルダウン効果を与えている。教育システムから映画業界まですべてに。アメリカ人の生活のすべてに」

Jalyn Hall as Emmett Till and Danielle Deadwyler as Mamie Till Bradley in Till

画像提供, Orion Pictures

画像説明, エメット・ティルの母親、メイミー・ティル=モブリーを演じるデッドワイラーさん(右)。ティル役はジェイリン・ホールさん(左)が演じた

有力視されていたデッドワイラーさんが主演女優賞候補から外れると、「Till」のシノニエ・チュクウ監督は、ハリウッドの「黒人女性への臆面もないミソジニー(女性嫌悪)」を非難した。

チュクウ監督の発言についてデッドワイラーさんは、「確かに監督の言ったような価値観がある。だからこそ、私たちの生活のあらゆる質において、実際に公平な制度であろうとする方法の探し方を、本当に深く問い直し、シフトし、破裂させ、根本的に変え始めることが不可欠だ」と語った。

アカデミー賞では2015年と2016年、俳優部門の候補者が白人ばかりだった。こうした事態に、ソーシャルメディアなどでは「#OscarsSoWhite(アカデミー賞はあまりに白い)」というハッシュタグが流行。その後、女性や黒人、民族的少数者のノミネートを増やしている。

しかしデッドワイラーさんは、助演女優賞では1940年に「風と共に去りぬ」でハティ・マクダニエルさんが、主演女優賞では2002年の「チョコレート」でハル・ベリーさんが、それぞれ唯一の黒人女性受賞者だと指摘し、その少なさと「何十年もの隔たり」を批判した。

「なぜこんなに期間が空くのかと疑問が浮かび始めた時、考えるよりも前に、実際に見たことが出てくる」

「これは、白人至上主義や、そうしたイデオロギーや思考、実践によって長い間支配され、深い影響を受けてきた場所に、実際に公平性をもたらすにはどうしたらよいかという重要な問題だ」

Halle Berry and Denzel Washington

画像提供, Getty Images

画像説明, ハル・ベリーさんは黒人として唯一、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。写真は2002年、主演男優賞を受賞したデンゼル・ワシントンさんと