トラス前英首相、減税実行の「現実的な機会」与えられなかったと寄稿 辞任後初

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昨年10月に最短任期で辞任したリズ・トラス前英首相は、自分の大胆な減税策を実行するための「現実的な機会」を与党・保守党から与えられなかったとの見解を示した。4日付の英紙サンデー・テレグラフへの寄稿で書いた。トラス氏が公の場で発言するのは、辞任後初めて。
4000語にわたる寄稿で、トラス氏は経済成長推進を目的とした自分の経済政策は正しかったと主張し、それが実行できなかったのは「左派の経済主流勢力」に阻止されたからだと主張した。
ただし、自分が首相として発表した「ミニ・バジェット」と呼ばれた減税策が破綻(はたん)したことについて、自分に「責任がないわけではない」とも書いた。
トラス氏は昨年秋、イギリスの歴史で最短の任期49日で首相を辞任した。ボリス・ジョンソン氏の辞任後、減税と経済活性化を掲げて保守党党首選に勝利したトラス氏は、クワジ・クワーテング財務相と共に450億ポンド規模の減税策を発表。しかしその資金源などへの懸念から、記録的なポンド下落を引き起こした。
トラス氏は寄稿の中で、昨秋の経験に「個人的に傷ついた」ものの、自分の政策は中期的には成長を支え、債務を減らすものだったと信じていると語った。

トラス氏は、ミニ・バジェットによって年金債務に基づいた投資(LDI)が債券市場に及ぼすリスクについて警告を受けていなかったと主張した。英イングランド銀行(中央銀行)は昨年9月、ミニ・バジェットによる政府の借り入れコストの上昇を受け、国債購入を余儀なくされた。
イングランド銀行幹部は当時、トラス政権はミニ・バジェット発表前に同行に減税政策を通達していなかったと語っていた。
しかしトラス氏はこれに反論。 政府は以前から水面下で続いていた状況の「スケープゴート」にされてしまったのだと書いている。
「政府は状況の原因究明と対策に専念していたが、政治家やメディアの論客は即座に、ミニ・バジェットのせいだとの評決を下した」
「正直なところ私たちは、坂道で水を押し上げようとするかのような、苦境に直面していた。メディアや世間の多くは、税制や経済政策に関する主要な論点になじみがなく、時間がたつにつれて世論は左傾化していた」
「残念なことに、政府は何カ月も前からじわじわと続いていたさまざまな問題について、それは私たちのせいだと、便利なスケープゴートにされてしまった」と、トラス氏は書いた。
前首相はまた、45%の所得税率を撤廃する案など、自分が示した計画について、あれほど強力に抵抗されるとは思っていなかったと話した。
「首相官邸に入るにあたり、私が得た国民の信任は尊重され、受け入れられると思っていた。私は本当に間違っていた。自分の政策に、体制派が抵抗するのは予期していたが、その程度を過小評価していた」
クワーテング氏は、ミニ・バジェット発表の10日後に45%の所得税率撤廃案を撤回。BBCに対し、この案は「強力な(減税)政策パッケージをかき消す」ものだったと語った。
それから2週間もたたないうちにトラス氏はクワーテング氏を解任。「非常に残念」だと述べていた。
寄稿の中でトラス氏は、「クワーテング氏は、状況を本当に変えられる勇敢な政策パッケージをまとめてくれていた。彼は独創的な考えの持ち主で、保守党の考えを見事に推進してくれる。しかし、この政策課題は生き残れないことが明らかになった時点で、私の優先事項はイギリスの深刻なメルトダウンを回避することだった」
トラス氏は、首相時代にもっと違う行動をとっていたかもしれないと振り返った一方で、なお自分が提示した成長計画を擁護した。
「首相官邸をを離れてから、一体どれだけの人が手紙や直接の会話で、イギリスの経済的無気力の原因となっている問題についての私の診断が正しいと信じ、私が提案した解決策に共感していると言ってくれたか、数えられなくなった」
「自分の政策全体を施行できなかったことは後悔しているが、まだ未来については楽観的だ。イギリスは自由な国として、自分で行き先を決められるのだから」
トラス氏は現在、サウス・ウェスト・ノーフォーク選出の下院議員。









