欧州政治共同体が初会合 トラス英首相、マクロン仏大統領と会談し「友人」と

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チェコの首都プラハで6日、「欧州政治共同体(EPC)」の初会合があった。イギリスのリズ・トラス首相はこれに合わせ、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と初の首脳会談に臨み、同大統領を「友人」だと位置付けた。
トラス氏はマクロン氏について「敵か味方か」判断しかねると、保守党党首選の際に述べていた。
マクロン氏はこの日、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)後の関係において「新しい段階」を期待すると述べた。
両者はまた、来年の首脳会談までに、欧州から小さなボートで英仏海峡を渡る不法移民の問題を解決することで合意した。
EPCには、欧州連合(EU)加盟国と、イギリスやトルコ、ノルウェー、バルカン諸国などの非加盟国を合わせた44カ国の首脳が参加。ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー問題、移民問題などを協議した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領もビデオリンクで参加した。
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EPCは、マクロン大統領が主導。6日には記者会見で、「団結のメッセージ」を送るものだと説明した。今年に入ってEPCを提案した際には、EU加盟・非加盟を問わずに「政治的協調のためのプラットフォームを提供する」と述べていた。
ロシアのウクライナ侵攻によって、EU加盟27カ国を超えた国家間の協力が新たに求められる状況となった。そのため今回の会合にはイギリスをはじめ、スイス、トルコ、ノルウェー、アイスランド、ジョージア、アゼルバイジャンや、バルカン半島諸国といった非加盟国が数多く参加している。
一方で、EPCには機関も専任スタッフもいないため、何らかの決定がなされても、それがどのように実行されるのかが疑問視されている。
古いアイデアの曖昧な繰り返しだという批判の声もあり、EPCの正確な役割はなお定まっていない。

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そうした中、トラス首相にとっては、フランスとの二国間会談を円滑に進めるという点で実りある会合になったようだ。
トラス氏とマクロン氏は共同声明を発表。英仏海峡の移民問題の解決を図ることや、2023年にフランスで「新たな二国間課題を推進するための」英仏首脳会談を開催する計画を明らかにした。
イギリスとフランスは近年、移民問題のほか、英米豪の軍事協定、ブレグジット(イギリスのEU離脱)後の北アイルランドに関わる措置など、いくつかの問題をめぐって衝突している。
トラス氏は党首選の際、マクロン氏について「最終的な判断はまだだ」と述べ、「言葉ではなく行動で」判断するとしていた。今回の首脳会談前のBBCの取材では、マクロン氏とは緊密に協力していくと語っていた。
トラス氏はEPCについて、「EUの構成体でもEUの代替案でもない」と初会合の前に明言。その後、「欧州との距離を縮めるためではなく、欧州と協力して双方が直面する問題に取り組むための会議だ」と位置付けた。
ロシアに対抗するために立ち上がる

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ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日の会合で、「皆さんと私は今、戦争を終わらせ、ウクライナとヨーロッパ、世界の長期的な平和を保障するために、ヨーロッパのあらゆる可能な力を行使する強い立場にある」と語った。
トラス英首相は会合の後、 「各国首脳は、ロシアの侵略に立ち向かうため、より大きな集団的決意をもってこのサミットを後にする」と述べた。
「ウクライナとの連帯や、自由と民主主義の原則が力強く示されたと言える」
欧州改革センターのチャールズ・グラント所長は、「セルビアとアゼルバイジャン、トルコをもう少し西寄りにし、ロシア寄りにならないように説得できるかどうか」が成功の尺度のひとつになるだろうと述べた。
トルコはロシアに対して「バランスの取れた」アプローチをするとし、欧米の制裁措置にも参加していない。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とたびたび電話会談し、仲介役を務めている。
EPCの行方は、役割は?
EPCについてはEU内でも懐疑的な意見があり、成果のない会合になることも懸念されている。
大陸の指導者が一堂に会し、共通の関心事について話し合うという点でも前例のない試みだ。成功すれば、年に2回まで開催されるが、そうでなければ崩壊するだろう。第2回はモルドヴァ、第3回はスペイン、第4回はイギリスでの開催が予定されている。
EUのジョセップ・ボレル外交政策委員長はブログで、ロシアの侵攻を受け、「EUや北大西洋条約機構(NATO)の仕事を超えた、より広い欧州秩序の再考と改革」が必要だと述べたが、この首脳会談は最初の交流にとどまると付け加えた。
EPCが実際何のためにあるのかが不明確なのは、「EPCはこのためにあるのではない」というメッセージの方が明確だという事実に表れている。
EPCはNATOや主要7カ国(G7)の代用品ではないとされている。EUへの加盟を熱望する国々の、少しばかり快適な「待合室」でもない。また、EUの機関によって支配されるフォーラムでもない。
招待状の送り主は欧州理事会のシャルル・ミシェル議長だが、会合そのものは今月下旬に予定されているEUサミットの前に行われた。
EUのある高官は、EUはこのフォーラムを単に促進するだけで、会合は「EUプラス、プラス」ではないのだと主張している。イギリス政府高官らも、EPCには冷静に対応しようとしており、望ましくない方向に発展した場合には手を引くと述べている。








