英は家計で苦しみウクライナは人命損失で苦しむ ウクライナ大統領夫人にBBC単独取材
ロブ・コープ、BBC番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」

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ウクライナ大統領夫人のオレナ・ゼレンスカ氏はBBCの単独インタビューに応じ、ウクライナでの戦争の影響で欧州の光熱費が高騰するなど、同盟諸国に負担が及んでいることを認めた上で、イギリス国民が「小銭を数えている」のに対してウクライナ国民は「犠牲者の数を数えている」のだと述べた。
BBCの前政治編集長で、新番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」の司会を務めるローラ・クンスバーグ記者は8月末、ウクライナ・キーウの大統領府で、ゼレンスカ氏を取材。大統領夫人はその際、ウクライナを強力に支援すればするほど、この危機的状況をより短期間で終わらせられると話した。
また、戦争による人的被害を強調し続けることが重要だと述べた。
2003年に結婚した夫のウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会うことはめったにないが、毎日、話をしているという。
このインタビューは4日放送の「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に向けたもので、質問の内容は多岐にわたった。
クンスバーグ記者はロシアのウクライナ侵攻と、それが世界のガスや石油価格に与えた影響のため、イギリス国民がエネルギー価格の高騰に直面していると指摘し、苦しむイギリスの人たちに伝えたいことはあるかゼレンスカ氏に尋ねた。
ゼレンスカ氏は、「もちろん非常に厳しい状況なのは理解しています。ですが振り返れば、新型コロナウイルスが拡大した時から、物価は上昇していました。感染が続く今も。当時からウクライナも同じように影響を受けています」と答えた。
「ただし、ウクライナでは物価上昇のほかに、国民が殺されています」
「皆さんが銀行口座やポケットの小銭を数えているとき、私たちも同じように国内の死傷者を数えているのです」

イギリスのボリス・ジョンソン首相は先月キーウを訪問した際、ロシアの侵略に対抗するためには、欧州中の家庭が生活費危機に耐え、ウクライナと共に「最後までやり遂げる」必要があると述べていた。
イギリスでは年内にインフレ率が、42年ぶりの高水準となる13.3%に達すると予測されている。また、経済の縮小は1年以上続く見通し。

中央銀行のイングランド銀行は、ロシアのウクライナ侵攻によって加速した光熱費の上昇が、インフレと低成長の主な原因だとしている。
欧州諸国は、世界的なエネルギー供給国のロシアが、侵攻をめぐる制裁措置に対抗してエネルギー供給を制限するなど、天然ガスを武器として利用していると非難している。

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ゼレンスカ氏はBBCに対し、ウクライナ国外にいる人には、戦争がウクライナ人に与える影響を理解するのは難しいだろうと理解を示しつつ、この争いの犠牲者となった人間の物語を共有することが重要だと語った。
そして、3月に涙を流しながらポーランドとの国境を越えるウクライナ人の少年を捉えた映像に、子どもを持つ多くの親が心を動かされただろうと述べた。
「この映像を見た父親や母親は涙が溢れるのをこらえられなかったと思います。私は常に相手の立場になって考えていますし、誰しもが、この世界のすべての人間が同じように感じるはずだと思います」
「だからこそ、私たちはこうした物語を伝えたり、見せたりしなければならないのです。投下された爆弾の数でもなく、費やされた金額でもなく、人間の物語を」

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夫のゼレンスー大統領と同郷で、大学時代からの知り合いだったというゼレンスカ氏は、夫がテレビ俳優から戦時下の指導者となったことに驚いたと言われると、「侮辱された」気持ちになったという。
「知り合ってからというもの、夫は変わりません。ずっと同じ人です。今の仕事も、やるべくしてやっています」
5月には、ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の歌合戦「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」でウクライナ代表が優勝した。前年に優勝者を輩出した国が翌年の開催地となるルールだが、安全面を考慮して来年はイギリスが代替地に選ばれている。イギリスに来てみたいかと尋ねられると、ゼレンスカ氏は「ぜひ行きたい」と答えた。
ただ、優勝国として翌年の開催地になれないことを受け入れるのに「苦々しい思い」がすると付け加えた。












