東部の都市、戦闘で二分 ロシアの戦争犯罪の疑い1.5万件とウクライナ検察

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ロシアが侵攻を続けるウクライナの東部の都市セヴェロドネツクで、戦闘が激しさを増している。5月31日には、街が二分された状況になったとみられている。こうしたなか、ウクライナの検察トップは、ロシアによる戦争犯罪の疑いが、これまでに1万5000件近く報告されていると明らかにした。
セヴェロドネツク市があるルハンスク州のセルヒイ・ハイダイ知事は、同市の現状について、「7~8割がロシア軍に制圧されている」と述べた。残りはウクライナ部隊が防衛に努めており、街が2つに分かれているという。
市内にある硝酸タンクでは空爆によるとみられる爆発があり、有毒ガスが放出されたが、狭い範囲で済んだという。
同市ではまだ最大1万5000人が身動きが取れなくなっている可能性があると、ハイダイ氏は話した。
双方に多大な被害
ウクライナ東部の戦闘では、同国とロシアの双方が、多大な犠牲者を出している。ウクライナ司令部は、戦術的な撤退をした方が中期的には有利だと判断している可能性もある。
ウクライナのアンドリー・ザゴロドニュク元国防相は、「さらなる兵器を手に入れ次第、特に西側からいま輸送されている大砲を手に入れ次第、反攻に転じることができる」とBBCに話した。
ロシアは現在、ルハンスク州のほぼ全域を占拠している。隣のドネツク州の制圧も目指し、集中的な攻撃を続けている。
BBCニュースのロシア語編集部がまとめたリストによると、2月24日の侵攻開始以来、ロシア兵の死者は少なくとも3052人に上っている。
戦争犯罪の疑い1.5万件
ウクライナのイリナ・ウェネディクトワ検事総長は31日、戦争犯罪が疑われる事案の報告がこれまでに約1万5000件に上っていると発表した。毎日200~300件の報告があるという。
オランダ・ハーグで記者会見したウェネディクトワ氏は、戦争犯罪の疑いとして、ウクライナ人に対するロシア各地への強制移動、拷問、殺害、生活インフラの破壊などを挙げた。
また、約600人の容疑者を特定し、80人の起訴を開始したとした。容疑者リストには、「ロシアのトップクラスの軍人、政治家、プロパガンダ工作員」たちが含まれている。
約1万5000件のうち数千件は、激しい戦闘が続いている東部ドンバス地方で確認されたという。
ロシアは戦争犯罪への関与を否定しており、民間人を標的にしたことはないとしている。

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ウェネディクトワ氏は、「戦闘が続いている中での捜査は非常に困難だ」と、ドイツDPA通信に話した。
同氏によると、すでに協力している。ポーランドとリトアニアに加え、エストニアとラトヴィア、スロヴァキアも捜査に加わったという。
国際刑事裁判所(ICC)は、ウクライナを「犯罪現場」と呼んでいる。捜査を支援するため、過去最大規模の捜査チームを同国に派遣しており、首都キーウに現地事務所を開設したいとしている。
ロシア産石油の輸入、9割削減へ
欧州連合(EU)は30日、海上輸送によるロシア産石油の輸入をすべて禁止し、年末までに輸入量を90%減らすことで合意した。
EUは何週間かにわたって議論を続けてきたが、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相が完全禁輸に反対したため、100%の禁輸とはならなかった。ハンガリーは、ロシアからのパイプラインを通した輸入に石油を依存している、
これを受けて原油価格は31日、急上昇した。ブレント原油は1バレル123ドルを超え、ここ2カ月での最高値を記録した。

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EUは、ロシア産の石油は使わなくなるが、天然ガスは使い続ける。ドイツなどがロシア産のガスに依存しているためだ。
こうしたなか、エネルギー大手のシェルは、ガスを供給し続けると表明し、利用者を安心させた。この発表の前には、ロシアのエネルギー企業ガスプロムが、シェルなどへの供給の停止を発表していた。
シェルは他の供給源からガスを確保するとしている。










