ウクライナがロシア軍を一部「押し戻す」、ゼレンスキー氏は「ロシアへの抗議」世界に訴え 侵攻28日目

Zelensky

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画像説明, ウクライナのゼレンスキー大統領は世界中の人々にロシアに抗議するよう英語で呼びかけた

ロシアによるウクライナ侵攻28日目の23日、ウクライナ軍が一部地域でロシア軍を押し戻したと現地市長が述べた。ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部マリウポリなど複数の都市では、計4500人以上が人道回廊を通じて避難した。こうした中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、侵攻開始から1カ月となる翌24日に、ロシアへの抗議の声を上げるよう世界中の人々に英語で呼びかけた。北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ロシアの脅威に対応するため東欧4カ国に新部隊を配備することで合意する見通しだと明らかにした。

港湾都市マリウポリではロシア軍による砲撃が続いている。水や食料が不足しているほか、市内の建物の90%が損傷または破壊されたと推定されている。

ウクライナ当局によるとこの日、同国各地の都市から4500人以上が人道回廊を通じて避難した。首都キーウ(キエフ)のメディア「キーウ・インディペンデント」は、このうち約3000人はロシア軍に包囲されたマリウポリからザポリッジャ(ザポロジエ)へ移動したと副首相が述べたと報じた。

キーウでは、ロシアの反政府活動家でジャーナリストのオクサナ・バウリナ氏がロシア軍の銃撃により死亡した。バウリナ氏はロシア軍が砲撃したポドルスク地区の被害状況を撮影していたという。

複数メディアは、ロシアのアナトリー・チュバイス大統領特別代表が辞任したと報じた。ウクライナ侵攻開始以降で辞任したロシア政府関係者としては最高位。報道によると、チュバイス氏はすでに出国し、妻と共にトルコにいるという。ウクライナ侵攻に反対していたとされる。

ゼレンスキー氏、世界規模の抗議呼びかけ

侵攻開始から1カ月となる24日を前に、ウクライナのゼレンスキー氏は世界中の人々に向けてビデオ演説を公開した。

その中で、24日にロシアへの抗議の声を上げるよう呼びかけた。

「ロシアによる戦争は、ウクライナだけに対する戦争ではありません。その意味はもっと広範囲に及ぶものです」と、ゼレンスキー氏は初めて英語で演説した。

「ロシアは自由に対する戦争を開始した」とし、「これはロシアにとっては始まりに過ぎません」と付け加えた。

「ロシアは欧州のすべての人々の自由を打ち負かそうとしています。世界中のすべての人々の自由を」

そして、「ロシアは粗野で残酷な力のみが重要だと示そうとしました」と続けた。

「世界がロシアを止めなければなりません。世界が戦争を止めなければなりません」

「もう1カ月がたつ。それほど長い間続いています。私の心も、すべてのウクライナ人の心も、地球上のすべての自由な人々の心も傷つけています」

続けて、街頭デモや、ウクライナのシンボルを身に着けて行進するよう呼びかけた。

「あなたの街の広場や、路上に集まってください。自分自身に注目を集め、声を届けてください」

「人々が大切だと、自由が大切だと、声を上げてください。人々が大切だと、平和が大切だと、そしてウクライナが大切だと、声を上げてください」

NATO、東欧4カ国に新部隊配備を

Jens Stoltenberg

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画像説明, 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は東欧4カ国への新部隊配備で合意する見通しだと述べた

こうした中、NATOのストルテンベルグ事務総長は、ロシアのウクライナ侵攻に関する緊急首脳会議の前夜に記者会見し、東欧ハンガリー、スロヴァキア、ブルガリア、ルーマニアへの増派を約束した。

NATOは化学・生物・核兵器の使用からウクライナを守るための装備品など、ウクライナへの追加支援についても協議する。

ストルテンベルグ氏は、加盟国のリーダーたちが「すべての領土でNATOの態勢を強化し、NATO同盟の東側を大幅に強化することに合意する」ことを期待するとし、「陸上、空中、海上」での態勢を強化したいとした。

バルト海から黒海に広がるNATO同盟の東部国境にはすでに、4万人規模の部隊が配備されている。

「平和を当然視することはできず、新たな危機感を抱いている」と、ストルテンベルグ氏は述べた。そして、「危険で無責任な核のレトリック」を使うのをやめるようロシア政府に求めた。

また、生物・化学兵器の使用は「広範囲にまで影響を及ぼす」とし、NATOには「いかなる時も、いかなる脅威からも同盟国を守る」用意があると強調した。

Nato military exercise in Poland

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画像説明, NATO同盟の東側にはすでに4万人規模の部隊が配備されている。写真はポーランドでのNATO軍の演習の様子

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ウクライナ軍、イルピンのほぼ全域を取り戻す

キーウのヴィタリ・クリチコ市長は、首都から北西約20キロに位置するイルピンの町のほぼ全域を、ウクライナ軍が取り戻したと述べた。

イルピンではここ数週間、激しい戦闘が続いている。今月初めには、数千人の住民が砲撃で吹き飛ばされた橋を渡って避難した。

クリチコ市長は、ウクライナ軍がイルピンや、キーウから西約50キロのマカリウでロシア部隊を押し戻したと説明。ウクライナ軍がロシア軍の「キーウを包囲する計画を破壊した」と記者団に述べた。

市長によると、キーウ北部と東部でロシア軍の攻撃が起きている。BBCのリーズ・ドゥセット記者が、キーウ中心部に爆発が近づいているように見えると尋ねると、市長は「彼ら(ロシア軍)がキーウに来ることはない」と答えた。

また、21日にロシア軍に爆撃されたショッピングセンターが武器庫として使われていたとロシア側が主張していることについて、「プロパガンダ」だと一蹴した。

「ロシア軍は戦争犯罪を犯した」

アントニー・ブリンケン米国務長官は、米政府が「ロシア軍のメンバーがウクライナで戦争犯罪を犯した」と結論付けたと発表した。

ブリンケン氏は声明で、「無差別攻撃や民間人を意図的に狙った攻撃、その他の残虐行為について、我々は信頼できる報告を数多く確認した」と説明した。

「ロシア軍はアパートや学校、病院、重要インフラ、民間車両、ショッピングセンター、救急車を破壊し、何千人もの罪のない民間人が死傷している」

米国務省のベス・バンシャーク国際刑事司法担当特使は、この結論は「公開情報と情報筋の両方から、現在入手可能な情報を慎重に検討した」結果だと説明した。

国連安保理、ロシア提案の人道決議否決

国連安全保障理事会では、ロシアがウクライナに関して独自に作成した人道決議案の採択が行われ、理事国15カ国のうち13カ国が棄権して否決された。

決議案にはロシアによる侵攻について一切言及がなく、賛成したのはロシアと中国だけだった。

今後数日のうちに、ウクライナが提案した人道決議案の採択が行われる予定。