戦闘地域の一部住民が避難、戦闘機の供与は決まらず ウクライナ侵攻13日目

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ロシアによるウクライナ侵攻13日目の8日、砲撃を受けている地域にいる一部住民の避難がようやく実現した。停戦交渉と「人道回廊」による民間人の避難はこれまでに数度、失敗に終わっていた。
北部スーミでは、外国人学生を乗せたバスの車列が出発。首都キーウ(キエフ)近郊のイルピンからも、数十人が市外に出た。
ただ、スーミの人権活動家によると、人道回廊がロシア軍に砲撃されることを恐れ、移動しようとする地元住民はほとんどいなかったという。
医学生のアナスタシアさん(22)は、「祖父母が避難しないと決めたので、母は2人を置いていくことができずにいる。家族を置いていくか、ここにとどまるかを決断しないといけない」と話した。
一時停戦が守られず、住民避難が失敗に終わっていた南東部マリウポリでも8日、避難路が再開された。しかし今回も避難は失敗した。ウクライナ当局はロシアによる砲撃があったとしている。

イギリス、アメリカ、欧州連合(EU)は8日、ロシア経済を標的とした対抗措置で協調姿勢をみせた。ジョー・バイデン米大統領の言葉を借りれば、「ロシア経済の大動脈」であるエネルギー部門を攻撃するための取り組みとなる。
アメリカはロシア産原油、天然ガス、石炭の輸入を全面的に禁止すると発表。イギリスは年末までにロシア産原油の輸入を段階的に取りやめるとした。EUはロシア産ガスへの依存を3分の2減らすという。
サウジアラビアとアメリカに次ぐ世界第3位の産油国であるロシアの経済は、エネルギー部門に大きく依存している。
ポーランド、戦闘機を在独米軍基地に提供の用意
ポーランドは8日、保有するロシア製のMIG-29戦闘機を「直ちに、無償で」ドイツにある米軍のラムシュタイン空軍基地に配備し、米政府が「自由に使える」ようにする用意があると発表した。
MIG-29戦闘機を提供する代わりに、「同等の運用能力を持つ中古戦闘機」をポーランド側に提供するようアメリカに求めている。また、「戦闘機の購入条件を直ちに設定する用意がある」ともしている。
ポーランド政府はMIG-29戦闘機を保有するほかの北大西洋条約機構(NATO)加盟国にも同様の対応を要請している。
アメリカは先週末に、ポーランド軍が保有するMIG-29戦闘機をウクライナに供与することを、ポーランドと協議していることを明かしていた。アントニー・ブリンケン米国務長官は、ポーランドがウクライナに戦闘機を供与した場合、ポーランド軍に補充の戦闘機を供給することもあり得るとしていた。
ウクライナ軍のパイロットは、ロシア製戦闘機の操縦が可能だとされる。
アメリカ、ポーランドの発表に「驚き」
ヴィクトリア・ヌーランド米国務次官(政治担当)は、ロシア製戦闘機をウクライナに直接渡すのではなく、アメリカに委ねるというポーランドの判断は「予想外の動き」だと述べた。
ヌーランド氏は「私の知る限り、(この件について)事前の相談はなかった」と、上院外交委員会で述べた。
ロシア問題に長年関わってきたヌーランド氏は、ウクライナでの紛争を終わらせるようロシアのウラジーミル・プーチン大統領を説得できるものは何かあるのかと問われると、プーチン氏のリーダーシップを脅かすものが必要で、その結果はロシアの手に委ねられるだろうと答えた。
一方、米国防総省のジョン・カービー報道官は8日の声明で、ポーランドの提案を拒否した。
「これまで言ってきたように、ポーランドが所有する戦闘機をウクライナに渡すかどうかは、最終的にはポーランド政府が決定することだ」
「『アメリカ政府が自由に使える』戦闘機がドイツのアメリカとNATOの基地を出発し、ウクライナとロシアが争っている空域を飛行するという展望は、NATO同盟国全体にとって深刻な懸念となる」
「そうすることへの実質的な論拠が明確ではない。我々はこの問題とこれがもたらす運搬上の難しい課題について、ポーランドやほかのNATO加盟国と協議を続けていくが、ポーランドの提案が実現可能なものであるとは考えていない」
「ウクライナを離れれば、もはや人ではなくなる」
米ABCニュースは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のインタビューを公開した。大統領の回答は、ウクライナ大統領府のウェブサイトにも掲載された。
ゼレンスキー氏はインタビューで、ウクライナは将来的にすべての近隣諸国と集団安全保障協定を結ぶべきだと述べた。
ロシアが一方的に併合したクリミア半島については、ウクライナ国民はロシアの最後通告を受け入れる用意はできていないとし、ウクライナの一部でありたいと願う人々がウクライナに住むことが重要だとした。
そして、ロシアによる侵攻開始後に自身がウクライナを離れなかった理由については、「私はこの国の市民で、合法的に選ばれた大統領」だと説明。ウクライナを離れて生きていられたとしても、「もはや人ではなくなるだろう」と付け加えた。
「決して降伏しない」
ゼレンスキー氏は8日、英下院でビデオ演説を行った。ウィンストン・チャーチル元英首相の言葉を引き合いに、「我々は降伏せず、負けず、最後までやり抜く」と述べた。
「我々は海で戦い、空で戦い、我々の土地を守る」
「我々はどこででも戦う(中略)そして我々は決して降伏しない」
ゼレンスキー氏の演説が終わると、英下院はスタンディングオベーションを送った。
ウクライナ、ロシア軍少佐の死亡を発表

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ウクライナ軍情報当局は8日、ロシア第41軍第1副司令官ヴィタリー・ゲラシモフ少将が7日にハルキウ(ハリコフ)近郊で死亡したと発表した。ロシア軍の上級司令官の死亡は2人目とされる。ロシア側の確認は取れていない。
少将の死亡情報は、ロシアの情報部員間の通話が傍受されたことで明らかになったとみられる。
あるアナリストは、ロシアの上級将校がこれほど前線に近い場所にいるのは異例だと指摘。戦闘が激しく、そうせざるを得ない状況だったとみている。
ロシアへの制裁と企業の活動停止
アメリカとイギリスは8日、ロシア産の原油や天然ガスの輸入を禁止し、依存を解消すると発表した。ウクライナ侵攻中のロシアに対する経済制裁を強化するもの。
米企業のマクドナルド、コカ・コーラ、スターバックスもこの日、ロシアでの営業を発表した。世界最大の音楽企業ユニヴァーサル・ミュージック・グループもロシアでの事業を停止し、同国内すべてのオフィスを閉じるとした。
英ユニリーバ、世界最大の化粧品会社の仏ロレアル、米ペプシなどもロシアにおける事業を停止すると表明した。ロシアではコカ・コーラよりペプシの存在感がずっと大きい。
一方、ユニクロを展開する日本のファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「衣服は生活の必需品」だとして、ロシアでの企業活動を継続する考えを日経新聞に語った。











