米ロ、ウクライナめぐり来年1月に協議の見通し

動画説明, プーチン氏、ウクライナについて西側の保証を要求

アメリカ政府は23日、ロシアがウクライナ国境で軍を増強している問題について、来年1月にロシアと協議を行う可能性があると明らかにした。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ジュネーヴで開かれる予定の協議に期待感を示した。

プーチン大統領は先に、ウクライナ情勢をめぐる緊張を緩和させるためとして、北大西洋条約機構(NATO)に対し、東欧での活動を停止するよう要求。また、ウクライナのNATO加盟を認めないよう求めた。

23日に行われた年次の記者会見でプーチン氏は、「ボールはコートのそちら側にある。何らかの返答を行うべきだ」と述べた。

さらに、「そちら側が我々に保証するべきだ。今、ただちに」と話した上で、軍事作戦を取りたくはないと強調した。

アメリカは協議に期待

ウクライナの国防当局によると、ロシア側は国境付近に10万人超規模の部隊を集結させている。

プーチン大統領はウクライナに侵攻する計画はないとしているが、アメリカはもしウクライナが攻撃された場合には「前例のない」制裁を科すとロシアに通告している。

米ホワイトハウスの関係者は、ロシアが提示したNATOへの要求への返答を拒否している。東欧での活動停止もウクライナの加盟否定も、西側が受け入れる可能性は低いとみられている。

ジェン・サキ米報道官は、1月の外交協議はまだ最終決定の段階ではないとしながらも、アメリカは協議に向けて調整を行っており、話し合いを期待していると語った。

イギリスのリズ・トラス外相も、ロシア政府が「1月に協議に入る意思を見せた」ことを歓迎。ただし、ロシアが何らかの攻撃を仕掛けた場合、ロシア経済にとって打撃となる制裁が加えられると警告した。

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プーチン大統領は23日の記者会見で、ウクライナ侵攻はないと保証できるかと質問されると、気色ばった様子を見せた。

「我々はアメリカやイギリスの国境へ向かってはいない。ちがう、向こうがこちらに向かってきている」と大統領は返答。NATOが1990年代から5回にわたって拡大し、ロシアを欺いてきたと批判した。

サキ米報道官はこの点について、ロシアとウクライナの国境で行われた侵攻は、ロシア軍とプーチン氏の「好戦的な語調」によるものしかないと指摘した。

ロシアはNATOに対し、1997年の状態まで後戻りするよう求めている。しかしこの要求は、それ以降にNATOに加盟したポーランドやバルト三国を含む東欧諸国から相手にされないとみられる。

ロシアはまた、ウクライナとジョージアのNATO加盟を認めないよう要求している。ロシアは2008年にジョージアに侵攻したほか、2014年にはウクライナのクリミア半島を併合した経緯がある。

欧州のNATO加盟国
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ロシアはクリミア半島にも部隊を集結させており、軍事演習を行う予定。ドイツはロシア軍の動きを警戒していると述べ、「重大な危機を回避するために」対話が必要だと述べている。

リトアニア、ラトヴィア、エストニアのバルト三国も、ロシアの軍備増強を恐れている。リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領は、「過去30年で最も危険な状態」だと、現在の状況を説明した。

NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は今週に入り、来年初頭にロシアと協議できることを望んでいると話した。一方で、ウクライナの加盟は同国政府とNATOの問題だと断固とした姿勢を打ち出し、「ロシアとのいかなる対話も、欧州安全保障が基礎とする主要な原則を尊重したものであるべきだ」と述べた。

Recent Russian deployments graphic
画像説明, ロシアの最近の軍備増強。エリニャとポゴノヴォ、そしてクリミア半島のノヴォオゼルノエで、それぞれ新しく部隊が集結している(下部写真の黄色い部分)
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ウクライナ東部では過去7年にわたって、ロシアが支援する分離派とウクライナ軍が衝突を続けており、死者は1万4000人を超えている。戦闘は2015年に終結したが、以降も衝突が散発。2020年7月には停戦協定が結ばれたものの、その後も暴力は絶えない。

フランスとドイツは、停戦の尊重と、捕虜の交換を呼び掛けている。

こうした中、22日夜にはロシアとウクライナ、そして分離派が、欧州安全保障協力機構(OSCE)による停戦にあらためて合意した。

OSCEのミッコ・キンヌネン大使は、今年12月は昨年の同時期に比べて停戦を無視した行為が5倍に増えたと説明。今回の合意は特に重要なものだと歓迎した。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近アンドリイ・イエルマク氏は、「今年のクリスマスと新年の休暇は平和的であるべきだ」と語った。

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<分析>スティーヴ・ローゼンバーグ、モスクワ特派員

動画説明, 「NATOは我々をだました」 プーチン氏、恒例の年末記者会見で不満あらわに

4時間にもわたる記者会見を実行できる国家元首は、世界にそう多くはいない。

しかしその4時間で、ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナに関する意図をほとんど明らかにしなかった。

代わりに、ソヴィエト連邦崩壊以後のNATOの拡大について長年持っている怒りを、繰り返しあらわにした。

2014年にウクライナのヴィクトル・ヤヌコヴィチ元大統領が失脚した革命や、現職のゼレンスキー大統領への批判も繰り返した。

しかし時折、プーチン氏にも焦りの色が見られた。大統領はNATOに対する要求について、アメリカに「ただちに」返答するよう求めた。なぜそんなに急いでいるのか?

一方で、アメリカがロシアの提案に「前向き」な態度を示していると主張し、来年1月の交渉を楽しみにしているとも語った。

もちろん、交渉に合意したことは、交渉で合意を得られるということではない。

ロシアは、NATOが東側へさらに拡大しないことを求めている。アメリカがこれに同調する可能性は低い。

何より、交渉に応じるからといって、ロシアが軍事力を行使しないとは限らない。

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