インドから帰国できず……豪男性、新型ウイルス感染で死亡

画像提供, TRINA SOLAR/FACEBOOK
オーストラリア政府がパンデミック対策のためインドにいる自国民の帰国を一時停止した影響で、シドニーに自宅のある男性が新型コロナウイルス感染症COVID-19で死亡した。同様に帰国できずインドで死亡するオーストラリア人は、これで2人目とされている。
豪シドニーに自宅と会社のあるゴヴィンド・カントさんは16日、デリーの病院で死亡した。カントさんが豪支店代表を務める太陽光発電企業トリナ・ソーラーが17日、フェイスブックで発表した。
オーストラリア政府はインドで特定され世界各地で広がりつつある 「B.1.617.2」系統の変異株への感染対策として、4月28日から5月15日にかけて、インドにいる自国民や永住者の帰国を禁止した。実刑や罰金を罰則として設けた。今も9000人以上のオーストラリア人が、インドから帰国できずにいる。
カントさんは4月、身内の理由でシドニーからデリーに移動した。家族によると、4月半ばにシドニーへ帰国しようとしたものの実現できず、4月24日のインド航空便を予約していた。しかし出発前に、新型ウイルス感染が判明したため、デリー市内の病院に入院した。
カントさんは家族に、「ここから出してくれ」と繰り返していたという。
トリナ・ソーラーは、「ゴヴィンドの死去に深く悲しんでいる」として、残された妻や娘2人など遺族に弔意を示した。
水際対策で「見捨てられた」と
インド型の変異株に対する水際対策として自国民や永住者のインドからの帰国を禁止したことについて、オーストラリア政府は、公衆衛生のため必要な措置だったと主張している。
一方で、変異株の感染者が急増し、病床や医療用酸素の不足で大勢が連日死亡しているインドにいる自国民を、政府が帰国させなかったことに批判も相次いでいる。スコット・モリソン首相に対しては「手が血塗られている」という批判もあり、首相はこれを否定した。
オーストラリアに帰国できず4月末にインドで死亡したという男性の娘は、自分の父親はオーストラリア政府に「見捨てられた」とフェイスブックに書いた。男性の遺族は匿名を希望している。
「自国民を見捨てるなんて、いったいどういう国? 世界中がびっくりしている」と、この女性は書いている。
帰国停止の期間が今月15日に明けて、政府は国民や永住者を専用機で帰国させているが、民間旅客機の運航はまだ禁止している。
16日の最初の帰国便は、予定されていた帰国者のうち70人がウイルス検査で陽性と判明したため、移動できなくなり、半分が空席だった。ただし、いったん陽性になった70人のうち一部は2度目の検査で陰性となった。
こうした中、17日にはクリケットのインド・プレミア・リーグに参加していたオーストラリア人選手約30人が、チャーター機でシドニーに帰国したため、「特別扱い」の批判が政府にも向けられている。
クリケット選手たちは今月6日にインドを出国し、いったんモルディヴに退避していた。シドニー到着後は2週間の隔離に入った。










