デモ規制の警察権限拡大法案にイギリス各地で抗議

動画説明, 警察権限拡大法案の廃案を求める数千人がロンドン市内を行進した

ロンドンやリヴァプールなどイギリス各地で3日、警察のデモ規制権限の拡大を含む大型法案に対する抗議デモが行われた。

「Kill the Bill(法案を廃案にしろ)」と訴える抗議行動は、ロンドン、リヴァプール、バーミンガム、ブリストル、ニューカッスル、ボーンマス、ウェイマス、ルートンなど主要都市を中心に行われた。

ロンドン警視庁は、予定されたデモ行進が終わっても少数が現場を離れようとしなかったため、26人を逮捕したと明らかにした。

英下院は現在、政府提出の「警察、犯罪、量刑と裁判所法案」を審議中。イングランドとウェールズで、抗議集会の経路選定など事前準備において警察の裁量範囲を拡大し、騒音などで公共の治安や社会生活を深刻に乱すと警察が判断した場合は集会を制限できるなど、警察の権限を拡大する内容の法案になっている。

警察の指示に従わない場合の罰金は最大2500ポンド(約38万円)。昨年の人種差別に対する抗議で起きた銅像の破損のような行為も、最長10年の実刑で罰せられる可能性が生じる。

政府と警察はこのについて、たとえば2019年にロンドンの幹線道路や橋など交通の要所を占拠した「絶滅への反逆(Extinction Rebellion)」に効果的に対応するには必要なものだと主張している。

3日のロンドンのデモでは、最大野党・労働党の前党首だったジェレミー・コービン下院議員が議事堂前の広場で演説した。

コービン氏は、この法案が成立すれば警察の許可がないと抗議行動が出来なくなると主張し、「抗議する自分の権利のために立ち上がりましょう、発言する権利のために立ち上がりましょう」と訴えた。

Police at Kill the Bill demonstration

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画像説明, ロンドンで対峙(たいじ)するデモ隊と警官隊

イギリスでは3月初めにロンドン市内で帰宅中のサラ・エヴァラードさん遺体となって発見され、ロンドン警視庁の警官が逮捕・起訴される事件があった。これを受けてロンドン南部の公園で抗議集会が開かれた際、警官隊がデモ参加者の一部を地面に押し付けるなどして逮捕し、強制排除した。

警察のこの措置をめぐっては国内で強い非難が上がり、警察を所管するプリティ・パテル内相が第三者委員会による監察調査を指示。委員会は3月末に警官隊の対応は適切だったという報告を公表した

コービン氏はこうした状況を踏まえ、内務省が議会に提出している法案に国内で大勢が反発しているのは、エヴァラードさんのための「まったく正しくて適切に行われた追悼集会」を、警察が強制排除したからだと主張。

「私は、通りを歩いても安全な社会、発言できる社会、抗議できる社会、そのためにいちいち警察や内相に許可を求めなくても良い社会が欲しい」と演説した。

Bristol Kill the Bill protest

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画像説明, 英南西部ブリストルでは1000人以上が平和的に集まり法案に抗議した

議事堂前の集会では複数の女性が、市内でいやがらせや暴力を受けたり、薬をのまされた経験などを語った。

多くの人が性差別に抗議するプラカードを掲げ、首相官邸のあるダウニング街の前を、「あちこちで女性がおびえているが、警察や政府はおかまいなしだ」と唱えて歩いた。

英南西部ブリストルでは1000人以上が平和的に集まり、抗議した。ブリストルでは3月下旬のデモが相次ぎ暴力的なものになり、警官隊との衝突につながった。

「Kill the Bill」抗議はパンデミック対策のロックダウン中にも行われていたが、イングランドでは3月29日から行動制限が緩和された。今回は屋外集会の制限が緩和されて以来、初の抗議となった。

現在の感染対策ルールでは、イングランドの住人は最大6人あるいは2つの世帯までなら、屋外で集まることができる。6人以上が集まる屋外の抗議集会については、主催者が事前にリスク評価を実施、感染抑制の合理的対策をすべて実施した場合は、特例として認められる。