韓国、北朝鮮からの侵入者に3時間気付かず 警報誤作動と勘違い

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韓国軍は23日、北朝鮮人男性が南北軍事境界線を越えて韓国側に侵入したことに数時間気付かない出来事が、今月中旬にあったと明らかにした。監視カメラには男性の姿が9回映っており、警報も2度鳴っていたという。
南北軍事境界線には監視センサーが設置されるなど、厳重な警備が敷かれている。しかし、この男性は数時間にわたり韓国側をさまよっていたという。
韓国軍は警備について必要な修正を行うと説明した。
北朝鮮人男性は今月16日、ウエットスーツを着て海を泳いで渡り、約5キロの距離を徒歩で移動した。この間、8回も監視カメラに映ったが、警備にあたっていた韓国の兵士は気付かなかった。カメラが9回目に男性をとらえた際にようやく侵入に気付いたという。
男性がなぜ危険なルートで国境を越えたのかはわかっていない。
韓国・聯合ニュースによると、男性は非武装地帯(DMZ)にある排水トンネル内を移動するなどしていた。韓国軍はこの排水トンネルの存在自体を知らなかったという。
何があったのか
韓国軍合同参謀本部(JCS)の報告書で16日の詳細が明らかになった。JCSは男性の身元は伏せており、脱北しようとしていたのか調査している。
男性がどこから来たのかは不明だが、軍事境界線の東側に位置する韓国・高城郡北部にある高城統一展望台近くに、16日午前1時5分、ウエットスーツとフィンを付けた状態で上陸したことがわかっている。


男性はウエットスーツとフィンを岩の下に隠すと、有刺鉄線に沿って浜辺を南下し、排水トンネル内を通ってDMZに入った。午前4時16分まで5キロ以上道路を移動したが気付かれなかった。
その後、韓国の兵士は監視カメラで男性の姿を確認し、報告した。男性が監視カメラに映ったのは、この時が9回目だった。
韓国軍は午前7時27分に男性を発見した。報告書によると、男性は北朝鮮へ送還させられることを恐れ、兵士ではなく民間人を見つけて身元を明かそうとしていたという。
警備上の失態
監視カメラは午前1時5分から午前1時38分までの間に複数回、男性をとらえていた。警報が2度鳴ったが、何の対応も取られていなかった。
午前4時ごろには3度カメラに映っていた。
JCS関係者は聯合ニュースに対し、沿岸監視装置を担当していた兵士が当時、調整作業を行っていたとし、警報をシステムエラーによるものだと思ったと説明した。
男性は漁業に従事する民間人だという。この寒さの中、北朝鮮から海を泳いできたとの説明を疑問視する声や、船を使ったのではないかとの憶測も出ている。
しかしJCS側は、ウエットスーツの状態がよく、潮の満ち引きにも助けられながら泳いできたと考えているとしている。
DMZでの韓国側の警備をめぐる懸念が浮上したのは、今回で2度目。
昨年11月には、元体操選手の北朝鮮人男性が軍事境界線にある柵を飛び越えて韓国側へ亡命した。韓国は監視センサーのねじが緩んでいて男性を感知できなかったとして、全てのセンサーをチェックするとしていた。
脱北は頻発しているのか
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は2011年に政権を握って以降、地雷を増やすなど、南北軍事境界線や中国国境の管理強化を指示しているとみられる。
しかし年間約1000人が、人権侵害をめぐり数々の非難を受けてきた抑圧的な国家から逃れている。
脱北者のほとんどは中国国境を越えて逃れているが、北朝鮮へ送還されるリスクがある。
南北軍事境界線があるDMZを越えるのには危険が伴う。
北朝鮮の朝鮮人民軍に見つかって逮捕されれば、確実に収容所へ連行され、尋問を受けることになる。裁判にかけられ、労働収容所に長期間入る可能性もある。







