ギンズバーグ米最高裁判事、がん再発による治療を発表 退任はしないと

Ruth Bader Ginsburg

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画像説明, ギンズバーグ判事は、最高裁で最高齢のリベラル派判事。その健康状態に注目が集まっている

「RBG」の愛称で知られるアメリカのルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事(87)は17日、がんが再発し、化学療法を受けていることを明らかにした。一方、判事を退任するつもりはないという。

ギンズバーグ判事は、治療は「良好な結果」が出ており、職務遂行は「まったく問題ない」と声明を発表した。

声明によると、肝臓に病変が見られたものの、化学療法で改善に向かっているという。

ギンズバーグ判事は、最高裁で最高齢のリベラル派判事。ここ数年は骨折やがんでたびたび治療を受けており、その健康状態に注目が集まっている。

アメリカでは、最高裁判事は本人が退任の意思を示さない限りは終身職。ギンズバーグ判事の支持者は、同氏に何かがあった場合、ドナルド・トランプ大統領がまたしても保守派の判事を任命するのではないかと懸念している。

トランプ氏は就任以来、保守派の判事を2名送り込んでおり、判事計9人の最高裁は現在、5対4で保守派が多数となっている。

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ギンズバーグ判事は声明で、「5月19日に再発したがんの化学療法を開始した」と説明した。

「化学療法では(中略)良好な結果が出ている。7月7日の診察では肝臓の病変が大きく改善し、新しい病変は見られなかった」

「治療がうまく行ったことに元気付けられている。今後もがんを押さえ込むために、2週間に1度、化学療法を受ける予定だ」

「私はこれまでも、全力で仕事ができる限りは判事の仕事を続けると言ってきた。今も完璧に職務を遂行できる」

United States Supreme Court (Front L-R) Associate Justice Stephen Breyer, Associate Justice Clarence Thomas, Chief Justice John Roberts, Associate Justice Ruth Bader Ginsburg, Associate Justice Samuel Alito, Jr., (Back L-R) Associate Justice Neil Gorsuch, Associate Justice Sonia Sotomayor, Associate Justice Elena Kagan and Associate Justice Brett Kavanaugh pose for their official portrait at the in the East Conference Room at the Supreme Court building November 30, 2018 in Washington, DC

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画像説明, 2018年11月に撮影された米最高裁判事の写真。最高裁は現在、5対4で保守派が多数となっている

ギンズバーグ判事は5月、胆のうにできた良性腫瘍の治療を受け、最高裁の口頭弁論に病院から参加した。同氏は過去20年に4回、がんの治療を受けている。

先週には、感染症の疑いでジョンズ・ホプキンス病院に1日にだけ入院していたが、最高裁は、ギンズバーグ氏は現在「自宅で元気にしている」と説明している。

病魔に何度も襲われているギンズバーグ氏だが、今年1月に手術後の療養で自宅から勤務した以外は、過去25年で一度も最高裁での口頭弁論を欠席したことがない。

「RBG」ことギンズバーグ判事はどんな人か

ジョアン・ルース・ベイダー氏は1933年、ニューヨークのブルックリンで、ユダヤ人移民の子供として生まれた。17歳の時に母親をがんで亡くしている。

コーネル大学で夫のマーティー・ギンズバーグ氏と出会い、結婚。マーティー氏が無くなる2010年まで56年間添い遂げた。夫妻には2人の子どもがいる。

A woman brandishes a sign with Ruth Bader Ginsburg's likeness on it

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画像説明, ギンズバーグ氏は近年で、ポップカルチャーの中でも人気を得ている。写真のプラカードには、「RBGのように戦う」と書かれている

ギンズバーグ氏は1956年、夫より1年遅れてハーヴァード大学のロースクールに進学。同期入学した女性は9人だった。当時の学長がこの9人に対し、男性の入学枠を奪ったことを正当化するよう要求したのは、有名な話になっている。

その後、ニューヨークにあるコロンビア大学のロー・スクールに移動した。どちらの大学でも女性として初めてロー・レビュー(法学雑誌)の編集委員に選ばれている。

こうした成功にも関わらず、ギンズバーグ氏は就職活動で苦労したと語っている。

「ニューヨーク市には私を雇ってくれる法律事務所はなかった。私はユダヤ人で、女性で、母親という三重苦を抱えていた」

ギンズバーグ氏は1963年にラトガース大学のロー・スクールで教授となり、女性の権利プロジェクトやアメリカ自由人権協会(ACLU)を共同創設した。ACLUの会長としてさまざまな性差別事件を受け持ち、そのうち6件は最高裁判所まで持ち込まれた。

夫マーティー氏の強力なロビー活動もあり、ギンズバーグ氏は1993年、当時のビル・クリントン大統領の推薦で最高裁判事となった。アメリカ史上、最高裁判事に推薦された2人目の女性だった。

A portrait of Supreme Court Justice Ruth Bader Ginsburg

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画像説明, ギンズバーグ氏はアメリカ史上、最高裁判事に推薦された2人目の女性

それ以来、保守派の判事が増えていく中で、ギンズバーグ氏は大きく左派に転じていき、その勇ましい反論で注目を浴びた。

近年では、ポップカルチャーの中でも人気を得ている。

ギンズバーグ判事の舌鋒鋭く手厳しい反対意見に注目した、シャーナ・カニジニックという若い法学生が、ソーシャルメディアのTumblrに、ギンズバーグ氏に特化したアカウント「ノートリアス(悪名高い)RBG」を作った。ラッパーの故ノトリアス・BIGをもじった名称だ。

このアカウントによって新しい世代の若いフェミニストたちの間で、ギンズバーグ氏は有名な人気者となった。カニジニック氏と共著者のカーモン氏はこのブログの名前を題名に本を発表し、本はベストセラーとなった。

「ノートリアスRBG」は、ギンズバーグ氏をポップカルチャーのスターへと押し上げるのに一役買った。女優ケイト・マキノン氏は人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」でギンズバーグ氏を演じるようになった。ギンズバーグ氏自身も自分の似顔絵が描かれたTシャツを配っていると言われている。

そのほか、似顔絵がTシャツやマグカップ、ポスターなどになっている。

2018年に公開されたドキュメンタリー「RBG」の中でギンズバーグ氏は、「私は84歳で、みんなが一緒に写真を撮りたがる」と話している。

伝記映画「On the Basis of Sex」は、夫マーティさんとの結婚を軸に展開する。マーティ・ギンズバーグ氏は2010年に亡くなったが、56年間の結婚生活で、妻にとって最大の擁護者となり、有名な配偶者のために喜んで脇役を演じた。

映画の中でギンズバーグ氏は、「マーティに出会えたことが、私にとって一番の幸福な出来事」と話している。