ウイルス感染の医師を州高官が批判、多くの医師が反発 オーストラリア

画像提供, CHRIS HIGGINS/FACEBOOK
オーストラリアで新型コロナウイルス感染を知らずに診察を続けていた医師を州の保険相が批判したことについて、国内の医師たちが謝罪を求めている。
メルボルン在住のクリス・ヒギンズ医師は、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)にかかった状態で、約70人の患者を診察していた。本人はかぜを引いていたと思っていたという。
豪ヴァージニア州のジェニー・ミカコス保健相は7日、「インフルエンザのような症状がある医者がそのまま働いていたなど、とんでもないことだ」と述べ、ヒギンズ氏の行動を批判した。
これに対しヒギンズ氏は、自分は当局の助言に従っていたと反論。ミカコス氏に対して、「あなたはきっと、政治的なスタンドプレーのためにお粗末な機会を狙ったのでしょう。謝罪してください」と述べた。
ヒギンズ氏は、オーストラリアの有名歌手ミッシー・ヒギンズさんの父親でもある。2月29日にアメリカから帰国したばかりで、ウイルスには国外で感染したとみられている。
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ミカコス氏は記者会見で、医師らが「ひたむきに」仕事をしてくれていると認識しているとした上で、「体調が悪いのに仕事に行くのは無責任だ」と苦言した。
この会見ではヒギンズ氏の名前は出さなかったものの、同氏の診療所やその他の詳細は説明した。また、ヒギンズ氏の行為を当局に報告する可能性があると話した。
これに対して、ヒギンズ氏はソーシャルメディアで反論した。ミカコス氏の言う「くだんの医師」とは自分のことだと明らかにして、「あなたの発言があまりに不正確で不公平なので、気持ちが動転している」と述べた。
「私はあなたの検査基準を満たさなかったから、検体をとるのをためらったけれども、それでも念のために5日に粘膜をぬぐってみた。まさか陽性反応が出るとは思っていなかった」
業界団体はヒギンズ氏を擁護
ヒギンズ氏の発言は多くの支持を集めている。医師会の「オーストラリア医学協会(AMA)」も同氏を擁護した。
AMA元会長のケリン・フェルプス医師は、ミカコス氏とヒギンズ氏の対立によって、「オーストラリアの一般医の間に珍しく、激怒の空気が立ち込めている」とツイートした。

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ミカコス氏に謝罪を求める署名活動にはこれまでに1万5000筆以上が集まった。また、インターネット上では「#IStandWithChrisHiggins(クリス・ヒギンズに味方する)」や「#Flabbergaslighting(とんでもないごまかし)」といったハッシュタグがトレンド入りしている。
医師のジョディ・カルバートさんはツイッターで、「最前線で働く医療従事者を、ガイドラインに違反していないのに公の場で辱めるのは、よくない。どういう患者だろうと、そのプライバシーを侵害するのもよくない。今の状況で医師に対する世間の信頼を損なうこともよくない」と批判した。

ミカコス氏は9日、謝罪を拒否し、体調が悪い医療従事者は家にとどまるべきだという警告を繰り返した。
また、直接ヒギンズ氏と連絡を取ったことを明らかにし、ヒギンズ氏の回復を願っていると話した。
オーストラリアでは、新型コロナウイルスに対する公衆衛生上のアドバイスで混乱が生じている。政治家が、医療当局のガイダンスと異なることを言ったり、ガイダンスを逸脱したりしていると、批判が出ている。
オーストラリアではこの2週間、新型ウイルス検査で陽性反応が出た人が急増。これまでに80人以上の感染が確認され、死者は3人に上っている。









