【英総選挙2019】 大敗の労働党、執行部が責任認める 新党首争いスタート

Jeremy Corbyn, John McDonnell

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画像説明, 大敗した労働党のコービン党首(左)とマクドネル影の財務相は引責辞任する方針

12日の総選挙で59議席を失うという「壊滅的」大敗を喫した英野党・労働党では、ジェレミー・コービン党首が「できる限りのことはしたが至らなかった」と謝罪し、ジョン・マクドネル影の財務相が「自分の責任だ」と認めた。2人とも新年に引責辞任する意向を示している。

コービン党首は15日付の日曜紙2紙に寄稿し、労働党支持者に謝罪。「この国で本物の変化を何としても必要としている全ての人にとって、ボディーブロー」のような敗北だったと書いた。

英紙サンデー・ミラーでは、大敗について「責任」を認めたものの、党としての選挙運動については今も「誇りに思う」と書いた。

英紙オブザーヴァーでは、労働党が選挙戦を通じて議論の中身を設定し直したし、自分たちのマニフェストは「歴史的に重要」だったと弁明した。

一方で、マクドネル氏は15日にBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、党のメッセージを投票日前に十分に「伝えられなかった」のが残念だと述べ、「私のせいだ」と認めた。

その上で影の財務相は、コービン党首の人となりについて「メディアの描写」にも責任があるとして、国の既存の体制に挑戦したコービン氏に対して「体制が猛反撃」したのだと述べた。

労働党は今回の選挙で得票率を7.9ポイント、議席を59議席落とし、1935年以来の大敗を喫した。

それに対して与党・保守党は得票率は43.6%(1.2ポイント増)で、全野党より80議席多い365議席を獲得した。

落選議員はブレグジット方針も批判

12日に落選したキャロライン・フリント前議員は、党が大敗した責任の大部分は執行部にあるとした上で、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)について党の姿勢が一部の有権者を置き去りにしたと批判した。

フリント氏は英テレビ・スカイに対して、サー・キア・スターマー影のブレグジット担当相やエミリー・ソーンベリ影の外相など「熱烈な」残留派が、ブレグジット支持者の多い選挙区で労働党が敗れる原因を作ったと述べた。

Jeremy Corbyn and Caroline Flint

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画像説明, フリント前議員(右)は以前からコービン党首を批判してきた

フリント氏は、ソーンベリ影の外相が離脱派優勢の選挙区で労働党候補に対し、「自分の選挙区の有権者は、あなたの有権者のようにバカじゃなくて良かった」と発言したと責めた。

これについてソーンベリ氏は、フリント氏の発言は「真っ赤なうそ」だと強く反発。「そのようなことを誰かに言ったことなどないし、言うまでもなく、そんなこと考えもしない」として、フリント氏に対する法的措置を検討していると明らかにした。

フリント氏は、党の新体制について、「党の欧州政策立案にここ数年関わってきた人は誰ひとりとして、党首として信用できない。失った議席を取り戻せないと思う」と批判。

その上で、イングランド北部ウィガン選出のリサ・ナンディー議員や、レベッカ・ロング=ベイリー影の商務相などなら、「検討の価値はある」と述べた。

新党首争い始まる

ナンディー議員はBBCのアンドリュー・マー司会者に対して、党首選への立候補を検討していると述べた。

「私の地元のような町では、労働党の基盤がごっそり足元から崩れて、地面が揺れていた」とナンディー氏は強調。

「(ロンドン南部)ルイシャムと(イングランド北部)リー」を結ぶ「連立を再建」するため、党本部をロンドン以外に置くことなどを提案した。

ほかにも、イングランド北部サルフォード選出のロング=ベイリー議員や、中部バーミンガム・ヤードリー選出のジェス・フィリップス議員などの立候補が予想されている。

フィリップス議員はオブザーヴァー紙への寄稿で、保守党より労働党の方が優れていると思わない労働者階級の人が多すぎると懸念を表明。労働党を変えるために労働党に参加するよう呼びかけた。

Jess Phillips (l) and Rebecca Long-Bailey (r)

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画像説明, ジェス・フィリップス議員(左)とレベッカ・ロング=ベイリー議員も、新党首の候補とみられている

一方マクドネル氏は、党首候補としてはフィリップ議員「以外の人物が好ましい」と話し、ロング=ベイリー議員のほか、アンジェラ・レイナー影の教育相、ドーン・バトラー影の女性・平等担当相などの名前をあげた。

フィリップ議員については、「才能に恵まれている」ものの、「現在の政策の策定に実際に堅実に関わった人物が良いと思っている」と述べた。

また、「次は女性が党首になるべき」で、「都市派でない人物が党首になる時期かもしれない」と話した。

「ロンドン出身でない議員が党首になる時期だと思う。できるだけ北部の声が必要だ」

リチャード・バーゴン影の法相もロング=ベイリー議員を推薦し、副党首に立候補することを考えているとしている。

ジョンソン政権は官僚機構を再検討

こうした中、17日から始まる議会に向け、与党・保守党は新政権第一週の準備を進めている。

BBCの「アンドリュー・マー・ショー」に出演したリシ・スーナク財務省首席政務次官は、「クリスマス前」に、ボリス・ジョンソン首相の欧州連合(EU)離脱協定を法制化する離脱協定法案を、議会に提出する意向だと話した。

ただ、具体的な日程は明らかにせず、「できるだけ早いことが望ましい」と述べた。

「しかし、関係者や議会当局者との話し合いはもちろん進んでいる」

17日は首相の宣誓の後、エリザベス女王の演説によって議会が開会される。女王の演説では、議会の開会を宣言し、政府の施政方針が発表される。今回の演説には、国民保健サービス(NHS)に対する投資法案などが盛り込まれる予定だ。

また首相官邸は、官僚機構の再検討・再編成を行うことを認めている。

日曜紙サンデー・テレグラフは15日、首相の最高顧問を務めるドミニク・カミングス氏が、ジョンソン氏の政策を進めるために官僚機構の抜本的改革の準備を進めていると報じた。

一方、マイケル・ゴーヴ・ランカスター公領相は、ジョンソン政権はスコットランド独立をめぐる2度目の住民投票を認めないだろうと話した。

住民投票実施を公約に掲げていたスコットランド国民党(SNP)は、12日の総選挙で議席を35から48に伸ばした。

SNPの党首でスコットランド自治政府首相を務めるニコラ・スタージョン氏は、住民投票の「計画を推進する権利を得た」と語っている。

「政府はこの現実にいつまでも激しく抵抗しようとするだろうが、スコットランドは残りのイギリスとはまったく違う将来を選んだ。スコットランド人の意志を阻むことはできない」

「根本的なこととして、民主主義は尊重されなくてはならない」

日曜紙サンデー・タイムズは、一連の改革で2月に閣僚の最大3分の1が解任され、一部の官公庁が廃止され、公務員が外部専門家に取って代わられる可能性を報じている。