はしかで14万人死亡 ワクチン接種率上がらず
ジェイムズ・ギャラガー健康・科学担当編集委員

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昨年のはしかのよる死者数が、世界全体で14万2000人に上った。公的な統計によると、再び世界的に急増している。背景にはワクチン接種率の伸び悩みがある。
はしかの死者で最も多かったのが、5歳未満の子どもだった。
保健の専門家らは現状を、「衝撃的」、「怒りを覚える」、「悲劇だ」などと表現。ワクチンによって簡単に予防し得ると指摘している。
根絶が取り消しに
はしか対策は2000年以降、大きな前進がみられた。しかし現在、感染は徐々に増加傾向にあると懸念されている。
2018年には、イギリス、アルバニア、チェコ、ギリシャで、はしかの根絶状態が取り消しとなった。
今年はさらに悪化する恐れがある。
アメリカは過去25年間で最多の感染を記録している。アフリカのコンゴとマダガスカル、東欧のウクライナでは大規模な流行が起きている。
南太平洋のサモアでは、感染者の増加で政府が非常事態を宣言。ワクチンを接種していない家族がいる家庭には、医療チームが見つけやすいように、戸外に赤い旗を掲げるよう呼びかけている。
はしかの症状
はしかは、次の特徴がある感染症だ。
- 感染力が強い。ウイルスは、せきやくしゃみの飛まつや、直接触れることで広まる
- ウイルスは何時間も空気中や地表に残る
- はじめに発熱や気分の悪化、目の痛み、せきなどの症状がみられ、熱が上がり発疹が出る
- 症状が軽い場合、子どもは気分がすぐれないが7~10日で回復する。しかし、耳の感染症やひきつけ、下痢、肺炎、脳炎などの合併症もよくみられる
- 小さな子ども、成人、免疫不全の人は症状が深刻化しやすい
死者は昨年14万2000人
世界保健機関(WHO)と米疾病対策センターは、はしかについて以下の推計をしている。
- 2000年:感染2820万件、死者53万5600人
- 2017年:感染760万件、死者12万4000人
- 2018年:感染980万件、死者14万2000人
はしかの感染は、年を追うごとに減少しているわけではない。例えば2012年から2013年にかけても増加がみられた。
ただ、現在は世界各地でワクチン接種を受ける子どもが減っている。そのため、これまでのはしか対策の前進が、台無しになる懸念が高まっている。
「はしかのようにワクチンで予防できる病気で死ぬ子どもがいるという事実に、率直に言って怒りを覚える。世界で最も弱い子どもを守ることに、みんな失敗している」と、WHOのテドロス・ゲブレイェスス事務局長は話した。
何が起きているのか
統計では、過去7年間、死者数は横ばいだったが、昨年から増加がみられるという。
原因は、簡単に言えば、ワクチン接種を受ける子どもが十分ではないことだ。
はしかの感染を止めるには、子どもたちの95%が2種類のワクチン接種を受ける必要がある。
だが接種率はここ何年間も、1回目が86%前後、2回目が69%程度にとどまっている。
なぜ十分な数の子どもたちがワクチン接種を受けないのかは、より複雑だ。理由は国によっても違う。
ワクチン入手が困難な国も
最大の原因は、貧しい国でワクチンの入手が難しいことだ。
2018年に感染が多かった国のトップ5は、コンゴ、リベリア、マダガスカル、ソマリア、ウクライナだった。
リベリアでは2014~2016年、マダガスカルでは2017年にエボラ出血熱が大流行し、保健制度が弱体化した。
「コンゴ、ソマリア、ウクライナ、その他にはしかの感染が多い国はどこも紛争を抱えている。コンゴはそのうえに、深刻なエボラ出血熱の大流行があり、不信感も広がっている」と、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のハイディ・ラーソン教授は話す。
もう1つの原因は、ワクチン接種を受けられるのに、子どもに受けさせない人がいることだ。
今後の見通しは
状況は来年、悪化しそうだ。
今年の11月中旬までの感染報告数は41万3000件で、昨年1年間の35万3000件を上回っている。
国連児童基金(UNICEF)のヘンリエッタ・フォア事務局長は、「受け入れ難い数の子どもが完全に予防可能な病気で死んだことが、はしかはどこでも子どもにとって脅威だということを示している」と述べた。
Gaviワクチンアライアンス事務局長のセス・バークリー博士は、「ワクチンで簡単に予防できる病気に感染し、死亡する人が世界で急増しているのは悲劇だ」と懸念を表した。
「(ワクチン接種に対する)ためらいや独りよがりを克服しないとならない。ただ、はしかの最大規模の流行は、ワクチン接種を普及できず、保健制度も貧弱な国で起きていることも考える必要がある」
ラーソン教授も、「これらの人数は衝撃的だ。ワクチンで予防可能なすべての病気の中で最も感染力が高いはしかは、ワクチンで予防可能な病気の脅威のほんの一部であり、私たちは警鐘として受け止めるべきだ」と述べた。











