【ロシア元スパイ】第2の容疑者の身元特定か 「軍医」と英調査サイト

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今年3月に英南部ソールズベリーで起きたロシアの元スパイ親子の毒殺未遂事件で、英当局が容疑者と名指ししたロシア人2人のうち、英調査報道サイト「べリングキャット」が8日、1人目に続き2人目も本当の身元を特定したと発表した。
べリングキャットは、アレクサンデル・ペトロフを名乗り英国を旅行していた男が、実際はロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)で働く軍医のアレクサンデル・ミシュキン医師だと主張している。
同サイトは先月、1人目の容疑者をGRUのアナトリイ・チェピガ大佐だとする調査結果を公表した。ロシア政府はこの主張を否定している。
身元確認の方法について詳細は、9日に公開する方針という。
べリングキャットは英国拠点の調査報道サイト。同サイトは、容疑者を知る人物の証言と、容疑者のパスポート画像から身元を特定したと説明した。
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ミシュキン医師の実際のパスポートと、アレクサンデル・ペトロフを名乗り英国を旅行していた男のパスポートで、記された出生日が同じだったとべリングキャットは明かした。
同サイトはこの男が、医師になるため勉強中にGRUに採用され、ウクライナに何度か旅行したとしている。政情不安が続いていた2013年にもウクライナを訪れていたという。

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英内務省の報道官は、警察による捜査中のためコメントはしないと述べた。
ロンドン警視庁の報道官は、「臆測」にはコメントしないとしている。
しかし当局者は、べリングキャットが明かした男の身元について異論は示さなかった。
英国の情報機関、軍事情報活動第6部(MI6)に機密を提供していたロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)は3月4日、有毒の神経剤「ノビチョク」を浴びて一時は意識不明になった。2人は命を取りとめたものの、ロシアと直接関わりのないドーン・スタージェスさん(44)は7月、ノビチョクを浴びて病院で亡くなった。
男2人には、ソールズベリーにあるスクリパリ氏の自宅で、玄関ドアの取っ手に神経剤を塗りつけた疑いがある。
この問題をめぐっては英ロ両政府が互いに非難と否定を繰り返し、外交官の追放や国際的な制裁に至った。
英下院外交委員会のボブ・シーリー議員(保守党)は、「GRUの諜報(ちょうほう)部員チームに医者がいた様子で、がくぜんとしている。(中略)今回のこの作戦はロシア政府にとって終始、失敗続きのお粗末なていたらくだが、成功したGRU作戦についてはそもそも察知できずにいるのだろうと、意識しておくべきだ」と指摘した。
ソールズベリーでの毒殺未遂について、英警察は容疑者2人のうち1人が、ルスラン・ボシロフと名乗り旅行していたことを明かした。
べリングキャットは9月、この男が実際にはGRUのアナトリー・チェピガ大佐だとの主張を公表した。
同サイトによると、チェピガ大佐はチェチェンとウクライナで従軍し、2014年にはロシア国民に贈られる最高の栄誉称号である「ロシア連邦英雄」を授与されている。
べリングキャットは2014年、英ジャーナリストのエリオット・ヒギンズ氏が設立した。広く一般に出資を募る「クラウドファンディング」を通じて、支援を受けている。


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<解説>ゴードン・コレラ BBC安全保障担当編集委員
べリングキャットが最初に身元特定を発表したアナトリー・チェピガと比べてインターネット上などでの足跡が少なかったため、アレクサンデル・ミシュキンの調査には時間がかかった。
しかしべリングキャットは、データベースやパスポートの詳細情報を用い、アレクサンデル・ペトロフを名乗りソールズベリーを訪れた男の本名をミシュキンだと結論付けた。
顔認識の専門家は、撮影時期が15年も違う写真2枚の一致を証明するため、加齢再現技術を使った。
4日には、GRU職員4人が以前、オランダの化学兵器禁止機関の通信を乗っ取ろうと試みていたことが明らかとなった。同機関では当時、ソールズベリーでの毒殺未遂事件について調査が進んでいた。
ミシュキンの身元が確認されたことで、覆面諜報員とみられる人物の身元特定が簡単になされたことへの疑問の声は高まるだろう。ソールズベリーを訪れた男2人は大聖堂を見に来ていただけだとのロシアの公式見解も揺らぐ。
ロシアメディアによる最近の報道では、スパイ出身のウラジーミル・プーチン大統領はGRUの仕事ぶりに不満で、近く粛清が行われる可能性もあると言われている。











