ブレグジットめぐる関税法案を可決、修正案に怒りの声も 英下院

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英下院は16日、欧州連合(EU)離脱をめぐる関税法案について投票し、318対285でこれを可決した。
テリーザ・メイ英首相のブレグジット計画はEU離脱派から批判を浴びており、関税法は4カ所の修正を迫られた。一方、親EU派も、メイ首相が与党・保守党のEU懐疑派議員に「屈服している」と批判している。
投票前にはガット・ベブ国防調達担当相が辞任を表明し、反対票を投じると述べた。
下院は17日、ブレグジットをめぐる貿易法案についても投票を行う。この法案はEU離脱後に各国と新たな貿易関係を築くために必要なもので、EU関税同盟への残留を求める議員からは修正を求める声が上がっている。
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英国は2019年3月29日にEUを離脱することが決まっているが、EUとの最終的な関係については合意に至っていない。
批判者は、EU懐疑派の議員による関税法の修正案は、先に発表された英国のEU離脱交渉の立場を危うくすると話している。
しかし英政府は、修正案は離脱後にEUとどのような貿易関係を結ぶかを示したブレグジット白書と「矛盾しない」と述べた。
与党・保守党は下院で過半数議席を持っておらず、EU離脱派と残留派の双方から大きな圧力を掛けられていた。
政府がEU離脱派からの数々の要求を最初に受け入れたのはそのためだった。離脱派は、メイ政権のブレグジット計画では英国とEUのつながりが強すぎるとして不満を訴えている。
しかし離脱派からの要求を飲んだことで、政府は残留派からの批判を浴びた。残留派は修正案にを拒否し、投票を前に激しい議論が交わされた。
修正の内容は?
保守党のEU離脱派ジェイコブ・リース=モグ下院議員は、修正案は政府の政策に「大枠で沿って」おり、政府が修正を認めたのはそのためだと話した。
承認された関税法では、EU域外から英国経由でEU加盟国に到達する輸入品にかかるEU関税を英国が徴収することを禁じた。ただし、EUが英国に対して同様の措置を取る場合はこれを認める。
英国経由の輸入品にEU関税をかける政策は、ブレグジット後に国境での摩擦を避けるためのメイ首相の計画の一環だった。
このほか、英国がEUのVAT(付加価値税)スキームから外れることを保証する内容の修正が認められた。
EU側の反応は?
BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長は、EUが優先順位の上位に置いているのは合意に至ることで、「崖っぷちの」ブレグジットにならないことだと話す。
アドラー編集長は「EUは非常に慎重に、英国政治の一部始終を、全ての騒ぎを追っている」と話す。
「(しかし)同時に、メイ首相や彼女を引き継ぐ誰かがEUと交渉で合意を取り付け、その合意を英議会で承認させるだけの政治力があるかすら疑問に思っている」
また、「いつもは歯に衣着せないEU首脳たち」が沈黙を守っているのは、彼らが「ちょっかいを出して全てを台無しに」したくないからだと指摘した。
先にブレグジット担当相を辞任したデイビッド・デイビス氏の後任となったドニミク・ラーブ氏は、19日からブリュッセルでEUとの交渉を続行する予定で、EU側も前向きだという。
「私が知るEU側の関係者は皆、ブレグジット白書に建設的に取り組みたいと話しており、最初から交渉が終わっているという印象を与えたくないと考えている」
「しかし重要なのは、皆が知っているとおり、交渉の時間は減ってきている。EU側は離脱合意をまとめたいと考えている」

変更の余地はほとんどない――ローラ・クンスバーグBBC政治担当編集委員
窮地に見えて、実際にそうだった。メイ首相にとって、議会で法案を通すのはますます難しくなっている。2度目の国民投票を求める声には反対の意見が多く聞かれたが、この八方ふさがりの状態が続けば、その風潮も変わるかもしれない。
メイ首相は過去2年、妥協しようとしてきた。保守党は分裂し、下院で過半数を保持していない。簡単な選択肢は存在しない。
それでも保守党内の分裂は日に日に、メイ首相の戦略を変える余地を減らしている。指針について議論する際にやっかいなのは、妥協は汚い言葉だということだ。











