「権力者に臆せず真実を」 辞任した英駐EU大使が職員らに

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辞任を表明した英国のサー・アイバン・ロジャース駐欧州連合(EU)大使が、英国代表部の同僚たちにあてた書簡で、「ごちゃごちゃした考え方」には反論し、「権力者に臆せず真実を述べる」よう求めていたことが、BBCの取材で3日、明らかになった。
サー・アイバンは文書の中で、英政府が欧州の「忌憚(きたん)のない」、「耳障りのよくない」意見も聞く必要があると述べている。
英政府はこれに先立ち、現在の任期が今年10月まであるロジャース氏が、任期満了前に辞任すると明らかにしていた。政府は、EUとの正式な離脱交渉が始まる前に後任者が着任できるよう、今の時点で辞任することになった、と説明した。
BBCが入手したロジャース氏の書簡も、辞任理由について政府と同様の説明をしたが、「われわれが持っている経験を最大限に活用しない限り、最も国のためになることを政府は達成できない」とも警告した。
困難な時期
ロジャース氏は政府の閣僚らに、EUとの新たな貿易協定策定には10年かかる可能性があると指摘し、一部議員の怒りを招いていた。
EU離脱派は大使の辞任を歓迎する声が出ている。一方で、親EU派は、辞任は離脱交渉への打撃になると懸念している。
ロジャース氏は文書で、「皆さんが今後も、間違った根拠の意見やごちゃごちゃした考え方に反論し、権力者に対しても決して臆することなく真実を言い続けると期待している」と述べた。
「耳の痛いことを聞く必要のある人たちに、それを伝えなくてならない困難な時期に、お互いを助け合ってほしい」

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今年3月末までに開始予定のEU離脱交渉についてロジャース氏は、「複数の利害関係者が関わる交渉でしっかりした経験のある人材が英政府側に不足している」とし、一方の欧州委員会や欧州理事会にはそのような人材が備わっていると指摘した。
ロジャース氏は、英国が「断固とした態度」で交渉に臨まなければ成功しないとした上で、「ひとつの課題ごとにこの国の立場を決める主要閣僚は、(EUの)ほかの27カ国の考え方や利害、動機について、詳細で、耳障りのよくないことも含めた忌憚のない、微妙な意味合いも逃さない、皆さんの知見を必要としている」と述べた。
「非常に残念なこと」
正式な離脱交渉を前に、英国とEUとの貿易関係の姿をめぐる議論が活発になっている。大使は、「一部の考えと異なり、自由貿易は当局が妨害さえしなければ実現するというものではない」とした上で、EU市場へのアクセスは交渉結果次第だと指摘した。
ロジャース氏は、交渉への影響を及ぼさないため辞任するタイミングを任期満了前にしたと述べた。
大使のすぐ下で働くシャン・モーガン氏は、英ウェールズ自治政府で事務次官に就任するのに伴い、昨年11月に辞任を表明している。
自由民主党のティム・ファロン党首は、テリーザ・メイ首相が「計画どころか、何も分からずに前に進んでいる」と語った。
ファロン氏は、「ブレグジット(英国のEU離脱)が国をめちゃくちゃにしないためには、最良の人材が関わっているべきだ」と述べた上で、「なのにアイバン・ロジャースのような、不可欠で有能な人たちが追い出されるのは、非常に残念なことだ」と批判した。









