【米政権交代】 トランプ政権は米史上一番の金持ち政権に?

画像提供, AP
ドナルド・トランプ次期米大統領は選挙中、大衆にアピールする戦略をとり、エリートに見捨てられ途方に暮れる労働者階級のために闘うと繰り返した。
しかし次第に固まる次期政権の顔ぶれを見ると、米史上で最も金持ちの多い政権になりそうだと指摘されている。
これまでの閣僚人事では、億万長者の投資家や、百万長者の銀行家、結婚によって直販大手の創業者一族に仲間入りした女性などが選ばれている。
民主党はすでに攻撃を開始しており、民主党から大統領選に出馬していたバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は、「ドナルド・トランプ政権。百万長者と億万長者の、百万長者と億万長者による、百万長者と億万長者のための政権」とツイートで揶揄(やゆ)した。

画像提供, Twitter
トランプ氏自身ももちろん、巨額の富を手に新しい役職に就く。米誌フォーブスによると、不動産王の資産総額は推定37億ドル(約4200億円)で、500以上の事業を展開する「帝国」を束ねている。

<関連記事>

しかし政権内で一番の金持ちは、トランプ氏ではないかもしれない。教育長官に指名したベッツィー・デボス氏は、直販大手アムウェイ創業者リチャード・デボス氏の義理の娘だ。フォーブス誌によると、デボス家の資産総額は51億ドル(約5800億円)。
次に控えるのは、商務長官に指名されたウィルバー・ロス氏。ロスチャイルド社の破産業務の責任者から投資会社を設立したロス氏の資産総額は、フォーブス誌によると、25億ドル(約2900億円)。
ロス氏の下で副長官になる予定のトッド・リケッツ氏は、メジャーリーグのシカゴ・カブスの共同オーナーで、推定資産総額17.5億ドル(約2000億円)の実業家ジョー・リケッツ氏の息子。
普通の集団なら、財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏こそ、一番金持ちだったかもしれない。投資銀行ゴールドマン・サックスで17年間勤めた後、ヘッジファンドを起こし、ローン不払いの債務者から家を取り上げることで有名になった銀行を取得した。報道によると、ムニューチン氏の資産総額は4000万ドル(約46億円)以上。

画像提供, AP
運輸長官になるエレーン・チャオ氏は、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務と結婚しており、父親は海運会社を経営。
住宅都市開発長官候補で共和党から出馬していた元外科医のベン・カーソン氏や、保健福祉長官となる予定のトム・プライス氏も、共に資産総額は数千万ドルとされる。
ワシントンの沼をさらえ?
トランプ氏が閣僚に資産家を次々と指名していることは、決して見過ごされていない。
政治ニュースサイト「ポリティコ」は11月、閣僚全員の資産総額は350億ドル(約4兆円)に上る可能性があると指摘した。これは、石油王ハロルド・ハム氏がエネルギー長官になれば、という前提つきだが。加えて、トランプ氏自身の資産総額が自称するように100億ドル(約1兆1400億円)を超えているなら、でもある。
経済ニュースサイト「クオーツ」はこれを受けて、350億ドルとはボリビアの年間国内総生産(GDP)より大きい額だと指摘した。

画像提供, Reuters
民主党側にも金持ちはいる。金持ちレースでチーム・トランプに対抗できるオバマ政権の閣僚は、ペニー・プリツカー商務長官だ。ハイヤット・ホテル創業者一族のひとりで、フォーブス誌によると資産総額は24億ドル(約2700億円)。
ジョン・ケリー国務長官の資産総額は2億ドル(約230億円)とされる。ほかにもオバマ政権の閣僚数人が、100万ドルから1000万ドルの資産をもつと推定されている。
しかしトランプ氏は、既得権益にまみれたワシントンの「沼をさらい」、米国の労働者階級を代表すると繰り返したことによって、国内のブルーカラー地域の支持を獲得したのだ。これだけ裕福な閣僚を次々と選んだトランプ氏に、支持者はそっぽを向いたりしないのだろうか?
トランプ政権移行委員会のアンソニー・スカラムッチ氏は、閣僚人事は選挙公約に矛盾しないとロイター通信に話した。
「仕組みを理解しているインサイダーも何人かいた方がいいし、規格外の考え方をして物事を上手に揺さぶるクリエーティブなアウトサイダーも必要だ」
しかし民主党側はこれに同意しない。特に、スティーブン・ムニューチン氏の指名については、サンダース議員も、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)も、「単なるウォール街のインサイダー」と批判している。
両議員は共同声明で、「ドナルド・トランプはワシントンに変化をもたらすと約束したが、これはそんなものじゃない。これは最悪の偽善だ」、「労働者家族を繰り返し痛めつけてきたウォール街の重役たちのいいように、ドナルド・トランプは今後も便宜を図るつもりだと、この人事からはっきりした」と攻撃した。










