日本の卵不足、企業や消費者はどう対処? 鳥インフルエンザ拡大で深刻化
ケリー・アン、BBCニュース

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卵の代わりに魚のすり身を使った卵焼きはいかが?
鳥インフルエンザの拡大が続く日本では、こうした代替品が必要になるほど、鶏卵不足が深刻化している。
鳥インフルエンザによって数百万羽の鶏が処分されており、それが卵の供給不足と価格高騰につながっている。つまり、卵が高級食材になってしまっている。
卵焼きからオムライス、ラーメンの上の半熟卵にいたるまで、日本食には欠かせない食材なだけに、大きな問題となっている。
予測が困難
鶏や野鳥の感染症「鳥インフルエンザ」は、ここ100年ほどの間に広まった。
しかし現在、世界で過去最大規模のアウトブレイクが起こっている。科学者は、ウイルスの変異が原因とみている。
特に日本ではその被害が大きい。同国では1700万羽の鶏が殺処分となった。これは、鶏卵向けに飼育されている雌鶏の9%に当たる。
JA全農たまごによると、卵の卸売価格は1年で70%以上上がり、現在では1キロ当たり約350円に達している。
消費者はここまで急激な価格上昇に直面してはいないが、レストランのメニューを通じて影響を受けている。
日本のマクドナルドは3月、たまごを使った商品の販売を一部店舗で休止すると発表した。コミュニケーション本部長のジョナサン・クシュナー氏はBBCの取材に対し、「状況を注視している」と述べた。
問題は単に、日本国内の卵の供給が不安定になっているということだ。「夏や秋にこの状況がどうなっているのか、予測は難しい」とクシュナー氏は話した。

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コンビニエンスストアのセブンイレブンも2月、卵を使った商品15点の販売休止を発表。さらに全国で、卵を節約するためにサンドイッチやサラダのレシピを変える企業が相次いだ。
その結果、消費者にも負担がかかっている。卵を使ったマヨネーズで有名な食品大手キユーピーは4月から、家庭向け商品の価格を最大21%引き上げた。同社はそれでも、卵の価格上昇を受け、今年の純利益が47%下がるとみている。
すかいらーくホールディングスも2月、経営するレストランチェーンで、卵を使ったチャーハンやパンケーキの販売を休止すると発表。また、これまで無料で提供してきたすき焼き用の生卵を、1個当たり55円にした。
帝国データバンクの最新データによると、株式を上場している外食大手100社のうち、少なくとも28社で卵を使った料理の提供が休止されている。担当者によると、殺処分の規模が大きいため、国内の鶏卵供給が近い将来「正常化」する見通しはないという。
食の安全の専門官も、卵の価格圧力はしばらく続くとみている。
農林中金総合研究所の北原克彦理事研究員はBBCの取材で、鳥インフルエンザが衰えを見せないため、鶏卵供給が完全に回復する見込みはないと話した。
「飼料の高さから、廃業する養鶏農家も出てくるだろう」と、北原氏は指摘した。

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こうしたことから、レストラン経営者や消費者の多くは代替品を探している。たとえば食品大手ニッスイは、魚のすり身を使った卵焼きの代わりとなる商品を販売した。
卵アレルギーを持つ消費者向けのこの商品は、2022年下半期に販売がスタート。コーポレートコミュニケーション課の飯田哲哉氏は、同商品は決して「大ヒット商品」ではなかったと語った。
しかし、今年に入り、スーパーマーケットへの供給は5倍に増えたという。
「今では積極的な販売活動を行っている」と飯田氏は述べた。ただし正確な販売量は明らかにしなかった。
植物由来の食品を手掛ける2foodsは、原材料に白いんげん豆やニンジンを使っているオムライスを発表した。「エバーエッグ」と名付けられたこの製品は、食品大手カゴメと共同開発されたものだ。
ここ数カ月で卸売業者やレストランからの問い合わせが増えているというが、詳細な数字は明らかにしなかった。
深刻な鶏卵不足の中、人々はどこでこの「高級食材」となった卵を手に入れられるのかについて冗談を交わしている。
JA全農たまごは今年のエイプリルフール(4月1日)に、たまごの栽培に成功したと写真つきでツイートした。
もちろんジョークだが、日本で卵不足への懸念がいかに高まっているかを表しているともいえる。





