AIに3億人分の仕事が取って代わられる可能性=米金融大手報告書
クリス・ヴァランス、テクノロジー記者

画像提供, Getty Images
米投資銀行ゴールドマン・サックスは28日、人工知能(AI)によって3億人分のフルタイムの仕事が取って代わられる可能性があるとの報告書を発表した。
これは、アメリカとヨーロッパの仕事の4分の1に当たる。ゴールドマン・サックスは一方で、AIは新たな業務を生み出し、生産性を急上昇させることにもつながると指摘した。
その上で、AIは最終的に、世界のモノとサービスの年間総価値を7%引き上げられると予測。
また、人間の仕事と見分けがつかないコンテンツを作る「生成AI」が「大きな進歩をもたらす」とした。
雇用への影響は
イギリスでは、政府がAIへの投資に積極的だ。「究極的に経済全体の生産性を引き上げ」るとし、その影響を国民に納得させようとしている。
ミシェル・ドネラン技術相は英タブロイド紙サンの取材に対し、「AIはイギリスでの働き方を破壊するのではなく補完するものであり、仕事を奪うのではなくより良くするものだと明確にしておきたい」と語った。
ゴールドマン・サックスの報告書によると、AIの雇用への影響はさまざまなセクターに及ぶ。事務では46%が、法務では44%が自動化される一方、建設では6%、保守では4%にとどまるとしている。
BBCはこれまで、アーティストの中には、AIの画像生成技術が自分たちの雇用に影響を与えるのではないかと懸念する人もいることを報じてきた。
雇用減より賃金低下か
「唯一確かなことは、生成AIによってどれだけの仕事が代替されるかを知るすべがないことだ」と、英オックスフォード大学オックスフォード・マーティン・スクールで雇用とテクノロジーの関係を研究するカール・ベネディクト・フレイ氏は指摘する。
「たとえば、生成AIの『チャットGPT』によって、平均的な執筆スキルを持つ人々が、論文や記事を書くことができるようになっている」
「その結果、ジャーナリストの競争は激しくなり、その仕事で大幅な需要増がない限りは、賃金が低くなる可能性がある」
また、「GPS技術とウーバーのようなプラットフォームが出てきた時もそうだった」と述べ、「突然、ロンドンのすべての道を知っていることの価値が下がった。その結果、既存のタクシー運転手は大幅な賃下げを経験した。我々の調査では約10%引き下げられていた」と指摘した。
「結果はドライバー減少ではなく、賃金の低下だった」
「生成AIは向こう数年で、似たような影響をさまざまなクリエイティブ業に及ぼすだろう」
「予測はかなり不透明」
ゴールドマン・サックスの報告書では、現代の労働者の60%は1940年には存在しなかった職業に就いているという調査を引用している。
一方で、1980年代以降の技術変革では、新たな職業の創出よりも労働の自動化の方が速いという調査も出ている。
ゴールドマン・サックスは、もし生成AIがこれまでの情報技術の革新と同様であれば、近いうちに雇用が縮小することになると結論づけている。
しかし英シンクタンク「レゾリューション財団」のトーステン・ベル会長は、長期的なAIの影響は非常に不透明だと話し、「あらゆる企業予測は話半分で聞いた方がいい」と述べた。
「この技術がどのように進展するのかも、企業がどのように業務に取り込むのかも分からないのだから」
「AIが私たちの働き方を破壊しないとは言わないが、より生産性の高い仕事やより安価なサービスから得られる生活水準向上の可能性に目を向けるべきだ。同時に、他の企業や国家が技術革新にうまく適応した結果、自分たちが後れを取るリスクにも注目するべきだ」








