【東京パラ】 BBCが選ぶ注目の8選手 車いすテニスの国枝ら
エリザベス・ハドソン、BBCスポーツ

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東京パラリンピックが24日、開幕する。選手約4400人が出場し、22競技539種目でメダルを争う。
すでに国際的スターの地位を確立している選手がいる一方で、東京でのデビューで注目を集めたいと願っている選手もいる。
さらに、自国で障害者に対するポジティブな変化が生まれることを期待し、参加する選手たちもいる。
BBCスポーツは、東京パラリンピックで活躍が期待される8人に注目した。
マルクス・レーム(ドイツ、パラ陸上)
「ブレード・ジャンパー」と呼ばれるレームは、ますます力をつけているようだ。2011年のデビュー以来、義足の走り幅跳び(以前のカテゴリーはT44、現在はT64)で圧倒的な強さを誇っている。今回の大会でも、3回目となるパラリンピックのタイトル獲得が確実視されている。
2019年の世界選手権では、92センチ差で金メダルを勝ち取った。今年の欧州選手権では8メートル62を跳んで優勝。これは、過去6回のパラリンピックで金メダルを獲得できる記録だ。
レームは14歳だった2005年、ウェイクボードの事故で右膝から下を切断。間もなく、陸上競技を始めた。2016年リオデジャネイロ大会への出場を望んだが、義足によってアドバンテージを得ていないと証明できなかった。
陸上選手であると同時に、義肢装具士の仕事もしており、手足を失った人々を支援している。
国枝慎吾(日本、車いすテニス)
国枝(37)は車いすテニスの男子世界ランキング1位。地元開催の大会で成功を収めれば、日本の障害者をめぐる環境を大きく変えることになるだろう。
2004年アテネ大会の男子ダブルスでパラリンピックにデビューし、金メダルを獲得。2008年北京大会の男子シングルスでも優勝した。2012年ロンドン大会では連覇を果たしたが、2016年リオ大会は肘のけがに苦しみ、ダブルスで銅メダルを取っただけだった。

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国枝は9歳の時、脊髄腫瘍と診断された。2年後に車いすテニスを始め、圧倒的な存在へと成長した。
昨年は7回目の全米オープン制覇を果たし、グランドスラム(4大大会)のタイトル獲得は通算45回に。オランダのエステル・フェルヘールの記録を超えた。
今年の全仏オープンではアルフィー・ヒューエット(イギリス)、ウィンブルドンではゴードン・リード(同)にそれぞれ敗れたが、なおメダルの有力候補だ。
フスナ・ククンダクウェ(ウガンダ、パラ水泳)
おそらく、ククンダクウェ(14)が東京でメダルを取ることはないだろう。しかし彼女は、ウガンダで障害者の存在をアピールするという、より重要な役割を果たすことができると考えている。彼女によると、ウガンダで障害者は「普通とはみなされない」という。
右前腕がない状態で生まれ、左手にも障害がある。以前は障害を隠すため、夏でもよく長袖の服を着ていたという。

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しかし、学校で水泳と出会い、人生が一変した。障害のない選手たちと並んで練習し、東京パラリンピックに出場するウガンダ唯一の代表選手となった。
ククンダクウェのデビューは、2019年にロンドンであった世界選手権だった。S9カテゴリーの50メートルと100メートル自由形に出場し、それぞれ14位と12位の成績だった。現在、自らの立場を利用して、情熱を傾けている次世代支援のための取り組みを進めている。
マイケル・ブラニガン(アメリカ、パラ陸上)
新型コロナウイルスの流行は、すべての選手に影響を及ぼした。しかし、ブラニガン(24)のように知的障害のある選手には、より大きな困難をもたらした。
子ども時代に自閉症と診断されたブラニガンは、走ることに情熱のやり場と目的を見いだした。リオ大会では、T20カテゴリーの1500メートルで金メダルを獲得した。

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ところが昨年は突然、新型ウイルスのパンデミックで走ることができなくなった。母親のエディさんによると、ブラニガンは何が起きているのかわからず、大きな衝撃を受けていたとう。
今年になって、コーチのソニア・ロビンソンとともに、東京大会に向けた練習を再開した。2019年世界選手権で優勝した、アレクサンダー・ラボトニツキ(ロシア)が強力なライバルだが、ブラニガンは戦わずして諦める考えはない。
ケイト・オブライエン(カナダ、パラ自転車)
ボブスレーから自転車トラック競技に転じ、オリンピックにも出場したオブライエン(33)は、パラリンピック競技とは無縁の人生を送っていた。しかし2017年夏、練習中にタイヤの破裂事故に見舞われた。
ペースメーカー役のオートバイと衝突した彼女は骨折し、脳も大きな損傷を負って意識不明の状態に陥った。

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二度と歩くことはなく、自転車に乗ることもしっかり話すこともできないだろうと言われた。オリンピックの夢がついえた彼女は、パラ自転車の世界に最初は渋々入り込んだ。2018年にはてんかんと診断されたが、彼女のスポーツの旅は続いている。
2020年にカナダであった自転車トラックの世界選手権で、初めて主要なパラ自転車の競技会に出場。C4カテゴリーの500メートル・タイムトライアルで金メダルを獲得した。王者カディーナ・コックス(イギリス)を破り、世界新記録を出した。
伊豆ベドロドームでも、コックスからタイトルを奪うことを狙っている。
ビルギット・スカルシュタイン(ノルウェー、パラボート)
スカルシュタインは、選手人生で最も忙しい1年に向けて準備を進めている。
女子シングルスカル現王者の彼女は、まず東京パラリンピックに出場。その後、来年3月に北京である冬季パラリンピックで、クロスカントリースキーへの出場を目指す。
彼女に注目が集まったのは、昨秋、ノルウェーのテレビのダンス番組に、初の車いすダンサーとして出場したのがきっかけだった。パートナーのフィリップ・ラーベと踊って、番組初の満点を出した。

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スカルシュタインは2010年、16歳の時に腰から下がまひした。足のけがの治療中、硬膜外注射が脊髄を損傷したためだった。
今年4月の欧州選手権では金メダルを勝ち取り、調子を上げている。東京パラリンピックの金メダルは、ダンスのトロフィーより価値あるものになるかもしれない。
アナスタシア・パゴニス(アメリカ、パラ水泳)
スター水泳選手でソーシャルメディアのインフルエンサーでもあるパゴニス(17)は、「タス」の呼び名で知られる。彼女は、水泳が大好きだったが、11歳の時に視力を失い始めた。免疫システムが網膜を攻撃したことと、遺伝的な原因により、14歳で完全に失明した。
パゴニスの人生には多大な影響が及び、彼女はうつや不安、心の健康に苦しんだ。プールから離れた時期もあった。

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しかし、水泳を再開。コーチのマーク・ダニンと共に、まったく違う泳法を練習した。そのかいあり、400メートル自由形で世界記録を出し、東京パラリンピックへの出場を決めた。
プールから出ると、パゴニスはソーシャルメディアで活発に発信している。視覚障害がある人々への見方を変えたいと考えており、視覚障害者がどのように化粧をするのか実演したり、ファッションへの愛を見せたりしている。
マイケル・ローガー(オーストラリア、パラ陸上)
首都キャンベラ出身のローガー(33)は、東京パラリンピックで「4度目の正直」を狙っている。
生まれつき右腕の先のほうがなかった。オーストラリア式フットボール、バスケットボール、クリケット、卓球を楽しみながら成長し、高校で陸上競技を始めた。クロスカントリーのチームでスター選手となった。

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北京大会でパラリンピックにデビュー。1500メートルで8位、5000メートルで11位だった。ロンドン大会では、800メートル決勝の前夜に内出血が起きる悪夢に見舞われた。スタートラインには立ったが、最後まで走ることができず、選手人生は終わりかもしれないと不安を覚えた。
リオ大会で挽回を期し、T46カテゴリーの1500メートルで銅メダルを勝ち取った。だが、2017年にロンドンであった世界選手権は、けがのため出場を逃した。
ローガーはマラソンへと種目を変更。2019年にはロンドンで世界選手権のタイトルを獲得し、大成功を収めた。今年4月には、シドニーであったオーストラリアのパラリンピック予選のマラソンで、4回連続となるT46カテゴリーの世界記録更新を果たした。けがから復帰して4カ月で、自身の最高記録を40秒縮めた。





