フィリピンの児童ポルノ動画、「西洋人によって悪化」 BBC番組が取材
マイク・トムソン、BBCヴィクトリア・ダービシャー・プログラム

インターネット上の性的虐待動画に映されているフィリピンの未成年の3分の2が、両親や家族によって搾取されたとみられている。こうした動画の多くは、西側諸国の人々がお金に困った家族に資金を出して製作されているという。
動画を買う人は未成年への虐待内容を指示し、ライブ配信やアップロードされた動画を自宅で視聴するという。
人権団体インターナショナル・ジャスティス・ミッションによると、こうした動画の被害者には生後6カ月の乳児も含まれる。
フィリピン政府は、こうした虐待への対処を進めていると話している。
「カメラの音」
国際行方不明・被搾取児童センターの報告によると、インターネット上で児童性的虐待の疑惑がかかる案件は5年前の10万件超から、昨年は1800万件まで急増した。
特に、フィリピンがこの問題の中心になっていると考えられている。
現在10代のジョナさん(仮名)はBBCの取材に対し、子どもの頃に友人の母親に性的搾取を受けたと話した。
「ある時、私と友人は一緒にシャワーを浴び、服を着替えるように言われた。友人の母親もその部屋にいた。初め、友人の母親はフェイスブックを見ているのだと思ったけれど、カメラの音に気づいた。そこで意居心地が悪くなった」
「友人が母親に『どうして写真を撮っているの?』と聞いたけど、母親は『何でもない』と答えた」
ジョナさんはその後、警察からこの時の写真がインターネットで売られていたと聞かされた。
「警察は、私たちの写真が他の国の客に送られていたと話していた」

インターナショナル・ジャスティス・ミッションは、アメリカの連邦捜査局(FBI)やイギリスの国家犯罪対策庁(NCA)などと協力し、これまでにフィリピンで約500人の子どもを救出した。
フィリピンの警察は過去5年で約150回に上る家宅捜査や救助作戦を行ない、これらの子どもたちを救出した。このうち69%の事件で、加害者はその子どもの両親や親族だった。
インターナショナル・ジャスティス・ミッションのフィリピン支部のサム・イノセンシオ会長は、被害者の年齢は下がる傾向にあると話す。
「およそ半分が12歳以下で、生後6カ月の子を助けたこともある。乳児や幼児、10代にも満たない、第2次成長を迎える前の子どもたちがインターネット上で虐待されている」
今年5月には、フィリピンで性的虐待を受けている子どもをオンラインで閲覧しようとしたイギリスの元軍人が有罪となっている。
「はっきりとした良心」
BBCは取材の中で、フィリピンに住む3人の子どもを持つ女性に話を聞いた。この女性は法的理由から名前を明かせないが、児童ポルノ動画をインターネットに流したことを認めている。
女性は、動画を直接作ったわけではないから、動画を流した際にははっきりとした良心があったと話した。
「外国人に『12歳か13歳がいいのか』と聞いて、彼はそれでいいと答えた」
「彼が私に望んでいたのは、子どもたちがセックスしている動画を渡すことだった。どこで起きたことかは関係なかった」
この女性は、自身の子どもの性的な画像を売った疑いで警察に逮捕されている。

フィリピンでは現在、キリスト教の教会に対してオンラインの児童性的虐待のサインを見逃さないよう警告が出ている。
一方、この問題は貧困によって悪化しているとの指摘もある。
しかし、首都マニラ郊外にある貧困地区の教会で牧師を務めるスティーヴン・ガルベルト氏は、それは言い訳にはならないと語る。
ガルベルト牧師は、親が「自分の子どもにカメラの前で売春をさせている」のは「吐き気がする行為だ」と話し、貧しくて他の選択肢がなかったという主張は通らないと一蹴した。
「たくさんの選択肢がある。家族が生き抜くために子どもを売る必要はない」

フィリピンは今年初め、マニラに児童虐待対策センターを新設し、この問題に取り組み始めた。このセンターはイギリスとオーストラリアの警察が資金と訓練を提供している。
しかしロレイン・バドイ政務次官はBBCの取材で、「これは巧みに隠された犯罪なので、われわれが大きな成果をあげているとは思えない」と認めた。
「傷ついた子どもたちを抱えた状態で、今後の社会的費用がどのようなものになるか懸念している」







