バーチャルのK-POPスターめぐる発言でも名誉毀損は成立 韓国の裁判所が賠償命令

髪の毛がピンク色の男性メンバーが中央でこちらを見ている。背後には数人のメンバーたちがぼんやりと見える。その後ろと右側には木が立っている

画像提供, Plave/YouTube

画像説明, バーチャルのK-POPボーイバンド「プレイブ(PLAVE)」のメンバーら

韓国の裁判所は、バーチャルの男性K-POPグループの名誉を毀損(きそん)したとして、ソーシャルメディアのユーザーに50万ウォン(約5万3000円)の支払いを命じた。

判決は今年5月に出されたが、今月になって裁判所のウェブサイトで公表された。韓国のエンターテインメント界で人気が高まっているバーチャルK-POPアイドルをめぐる、ほぼ前例のない司法裁判とされる。

名誉毀損の対象とされたのは、5人組の「プレイブ(PLAVE)」。メンバーらには、モーションキャプチャー技術と匿名の実在パフォーマーたちによって、動きと声がつけられている。

2023年にデビューしたこのグループは、K-POPで最も成功したバーチャルスターの一例とされる。国内の主要音楽賞の常連となっており、昨年のMAMAアワードでは、彼らの曲「WAY 4 LUV」が最優秀ヴォーカル・パフォーマンス賞と年間最優秀楽曲賞にノミネートされた。今年のソウル・ミュージック・アワードでも、主要な賞を受けた。

ユーチューブの公式チャンネルはフォロワーが100万人を超え、ミュージックビデオや動画ブログが定期的に投稿されている。

そのプレイブを中傷する発言をオンラインでしたとして、所属事務所ヴラスト(VLAST)がソーシャルメディアのユーザー1人を相手に民事訴訟を起こしたのは、昨年のことだった。

韓国の英字紙コリア・タイムズによると、被告は昨年7月、プレイブに関するオンライン投稿を繰り返し、その一部は侮蔑的だった。各メンバーのキャラクターの背後にいる人物について、「実生活では醜いかもしれない」、「典型的な韓国人男性の雰囲気」をかもし出しているなどとするものもあったという。

賠償額を不服とし事務所が控訴

裁判で被告は、それらのコメントは架空のキャラクターに向けたもので、その背後にいる実在の人物に向けたものではないと主張。

しかし裁判所は、キャラクターが実在の人物によって表現されていると広く認識されている場合、キャラクターへの攻撃は実在の人物にも及ぶと判断し、被告の主張を退けた。

所属事務所は裁判で、被告の発言によって5人のパフォーマーが精神的苦痛を受けたとして、1人につき650万ウォン(約70万円)の損害賠償を求めた。

だが裁判所は、1人当たり10万ウォンしか認めなかった。韓国メディアは、問題の発言の深刻度と今回の事案を取り巻く状況を考慮して、金額が決定されたと報じている。

所属事務所は、裁判所が示した損害賠償額を不服として上訴した。今回の裁判について、バーチャルのキャラクターの名誉毀損をめぐる重要な判例をつくるものだとしている。

バーチャルのK-POPアイドルを支持する人々は、私生活を細かく注視される生身のアイドルと違い、作られたキャラクターだとプレッシャーが軽いとしている。

(追加取材:イ・ホス)