マスク氏、トランプ氏の貿易顧問を「間抜け」と非難 「自動車組み立て業者」と言われ

イーロン・マスク氏

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米富豪のイーロン・マスク氏と、米ドナルド・トランプ政権のピーター・ナヴァロ貿易顧問が論争を繰り広げている。マスク氏は8日、電気自動車(EV)大手テスラに関するナヴァロ氏の発言をめぐり、同氏を「間抜け」と非難した。

ナヴァロ氏は7日、米民放CNBCの番組に出演した際にマスク氏を批判。「マスク氏は自動車メーカーではない。多くの点で自動車の組立業者だ」と述べた。

また、トランプ大統領の広範な関税政策を支持し、将来的にはアメリカ国内で部品が製造されることを望んでいると述べた。

これに対し、自身もトランプ政権で顧問を務めるマスク氏は、ソーシャルメディア「X」への投稿で、ナヴァロ氏は「レンガの袋よりも間抜けだ」と発言。ナヴァロ氏のテスラに関する主張は「明らかに誤りだ」と反論した。

マスク氏は、ホワイトハウスの貿易政策に反対する姿勢を見せている。

この論争は、トランプ大統領の貿易チームと、世界一の富豪であり、連邦政府の規模と支出を削減する「政府効率化局(DOGE)」を主導するマスク氏との間の、最も公然とした意見の不一致を示すものだった。

ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は8日、マスク氏とナヴァロ氏の対立について質問されると、「これらは明らかに、貿易と関税に関して非常に異なる見解を持つ2人の個人だ」と述べた。

また、「男子は男子なので、この公での争いを続けさせるつもりだ」とした。

ピーター・ナヴァロ貿易顧問

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トランプ大統領は、自身の関税政策を正当化する理由の一つとして、アメリカ国内の製造業を復活させたいと述べている。ナヴァロ氏も、CNBCに出演した際にこの主張を繰り返した。

「我々の自動車産業を見てみると、今はドイツ製のエンジンやトランスミッションの組立ラインになっている」と、ナヴァロ氏は指摘。「アメリカが再び物を作る場所に戻り、実質賃金が上がり、利益も上がるようになるだろう」と述べた。

一方、マスク氏はナヴァロ氏への反論として、自動車評価会社ケリー・ブルーブックによる2023年の記事へのリンクを投稿。この記事には、テスラ車がアメリカで生産された部品を最も多く使っているとしたCars.comの調査結果が引用されている。

マスク氏は続けて、「いかなる定義においても、テスラはアメリカで最も垂直統合された自動車メーカーであり、アメリカ製の部品の割合が最も高い」と投稿した。

テクノロジー業界のアナリスト、ダン・アイヴス氏は、テスラはゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ステランティスといった他のアメリカの自動車メーカーよりも関税の影響を受けにくいと述べた。

一方で、テスラが部品の大部分をアメリカ国外、特に中国から調達していると指摘した。

「テスラの全体的なサプライチェーンとそのグローバルな足跡は長年、(中国の)比亜迪(BYD)のような競争相手に対して明確なアドバンテージだったが、現在の形態の関税はこれらを混乱させるだろう」

米イエール経営大学院の学部長を務めるジェフリー・ソネンフェルド教授は、多くのアメリカの経営者が思っているが公に言うことをためらっているトランプ大統領の貿易政策についての意見を、マスク氏が表明しているとBBCに説明。

同教授がワシントンで先月開催した企業幹部らの集まりにおける調査で、「(アメリカの経営者の)79%が、国際的なパートナーの前で恥ずかしいと感じており、89%がこれは不必要に我々を不況に追い込む誤った経済政策だと述べた」との結果が出たと話した。

トランプ関税への不満

ナヴァロ氏との論争の前から、マスク氏は関税政策に対する不満を示唆していた。

7日には、関税反対派として知られる経済学者ミルトン・フリードマン氏の動画をXに投稿し、自由市場の価値を称賛した。

マスク氏は3月27日にも、自らの会社も関税の混乱から免れることはないだろうと投稿している。

トランプ氏の支持者でファンド経営者のビル・アックマン氏も、「重大な世界経済の混乱」を防ぐために関税の一時停止を求めている。

アックマン氏はソーシャルメディアで、現在の貿易政策は「不必要な害をもたらす」と述べた。

ナヴァロ氏はトランプ大統領の熱烈な支持者と見なされている。2023年には、2020年大統領選の結果を覆そうとする試みを調査する下院特別委員会の召喚に応じなかったとして、議会侮辱罪で禁錮4カ月の有罪判決を受けた。

ナヴァロ氏は、トランプ大統領の関税政策の主要な設計者の一人と考えられている。

トランプ大統領の関税は世界中の株式市場の下落を引き起こし、投資家は企業の利益が減少すると予測している。