トランプ関税の影響続く、米市場は一時乱高下 

モニターを前に、手を組んで落ち込んだ様子のニューヨーク証券取引所職員

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アメリカの株式市場は7日、損失を抑えて取引を終えたものの、S&P500種は激しく乱高下した。8日のアジアと欧州の市場は回復傾向を見せた。

アメリカ市場の投資家らは7日、ドナルド・トランプ米大統領の貿易政策が関税から協定に転じることを期待していた。アメリカの主要500社を追跡するS&P500種は、激しい乱高下など新型コロナウイルスのパンデミック以来の大きい変動を見せた後、約0.2%の下落で取引を終えた。

S&P500種は早朝の取引で、2月の直近のピークから20%以上の下落を一時的に記録。これは、「ベアマーケット(弱気相場)」と呼ばれる節目となる。

しかし、「ホワイトハウスが関税の90日間停止を検討している」という誤情報がうわさとなって広まり、株価は数分で7%以上急騰した。これはホワイトハウス高官の発言を誤って伝えたもので、ホワイトハウスがこれを否定したことから、S&P500はまた急落した。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの上級指数アナリスト、ハワード・シルヴァーブラット氏は、自分はウォール街で40年以上働いてきたが、これほどの変動はほとんど見たことがないと指摘。

「とてつもないことだ。不確実性がたくさんあり、それが市場を動かしている」と述べた。

S&P500種は、トランプ大統領が相互関税を発表してからの3日間で時価総額の10%以上が消失。2008年の金融危機や2020年のパンデミックの開始時に匹敵する急落を経験している。

同指数は現在、約1年前の水準で取引されており、関税がアメリカおよび世界経済に与える影響に対する広範な懸念を反映している。

7日はこのほか、ダウ・ジョーンズ工業株平均が0.9%下げて取引を終えた。一方、ハイテク株比率が高いナスダックはほぼ横ばいで、0.1%上昇した。

欧州市場も続落し、ロンドンのFTSE100種は4.4%下げて7702ポイントと、1年以上ぶりの低水準となった。

パリとベルリンの株式も下落し、アジアの主要指数は「血祭り」と表現されるほど急落した。

こうした懸念は原油価格にも影響を与え、一時4%以上、落ち込んだ後、若干の回復を見せて取引を終えた。

産業で広く使用されるため経済成長の指標とされる銅は約3%下落し、通常は「安全な」投資と見なされる金も値下がりした。

アジアと欧州は8日に回復傾向

これより前の7日のアジア・太平洋市場は、ここ数十年来見られなかったほどの急落となった。アナリストの一人はBBCに対し、この日の動きを「血祭り」と表現した。

一方で、欧米での下げが限定的にとどまったことなどから、8日のアジア市場は反発。日経平均株価の前日比上げ幅は一時2100円を超え、6.1%のプラスで午前の取引を終えた。終値は前日比1876円高の3万3012円58銭だった。1日の値上がり幅としては歴代4位。

前日に13.2%下落と2008年以来の下げを記録した香港のハンセン指数は、1.51%上がった。

続いて日本時間8日午後に開いた欧州市場では、英FTSE100種が1.1%、ドイツDAX指数が0.6%、フランスのCAC40指数が1.3%、それぞれ取引開始と共に上昇した。

50カ国が交渉要請とホワイトハウス

トランプ氏が中国への追加関税の脅しをエスカレートさせたにもかかわらず、市場は市場の一時的に安定した。

トランプ氏は7日、中国が4日発表した34%報復措置を撤回しない限り、中国からの輸入品に追加で50%の関税を課すと脅迫した。これにより、中国から米国に輸入される商品に対する税率は少なくとも104%に達する

トランプ大統領は、いくつかの関税が固定的なものとなり、いくつかは交渉されると予想していると、食い違う内容の発言をした。

トランプ氏は「両方とも本当だというのはあり得ることだ」と述べ、世界各国との相互関税を延期するよう求める声を拒否した。

ホワイトハウスは、50カ国が貿易について話し合うために連絡を取ってきたと述べた。

スコット・ベッセント米財務長官は、日本との交渉を開始したと発表し、他の国々との交渉も楽しみにしていると述べた。

日本の石破茂首相は7日夜、トランプ大統領と電話で会談し、担当閣僚を指名して協議を続けることで一致したと記者団に明らかにした。

首相はこの交渉担当閣僚に赤沢亮正経済財政・再生相を起用。林芳正官房長官が8日、赤沢氏の担当閣僚指名を発表した。

日本政府は全閣僚による総合対策本部を設置し、8日朝に初会合を開いた。

欧州委員会のマロシュ・シェフチョヴィッチ貿易担当委員は、「遅かれ早かれ、我々は交渉のテーブルに着くことになる」と述べ、欧州連合(EU)が対応策を投票する準備をしていると述べた。

一方でアナリストらは、世界の指導者たちがトランプ氏と合意に至らない場合、関税は世界経済に破壊的な影響を与える可能性があると警告している。

AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「基本的には、投資家たちは企業利益が大打撃を受け、経済成長が大幅に減速することを心配している」と述べた。

FBBキャピタルのマイク・ムッシオ社長は、「投資家にとってはいらいらする状況」と述べた。「これは政策としては、ある意味で不必要なミスのように思える」。

JPモルガン・チェースのジェイムズ・ダイモン会長や、ヘッジファンドのトップでトランプ支持者のビル・アックマン氏、投資家のダニエル・ローブ氏といったアメリカの著名なビジネスリーダーたちも、市場の混乱の中で声を上げ始めている。