【解説】 プーチン氏による会談提案、米欧分断が狙いの可能性も

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スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長(モスクワ)
これは前にも見たことがある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、最後通告を受けることを好まない。昨夜のクレムリン(ロシア大統領府)でも、それはあらわだった。
プーチン氏は、欧州諸国が「無作法に、最後通告の威を借りて」ロシアに向かって物を言っていると強く非難した。
詳しいことは言わなかった。その必要はなかった。
明らかにこれが、欧州首脳らがキーウで突きつけた最後通告に対する、彼の反応だった。
欧州首脳らは、ロシアが12日から30日間の無条件停戦に合意しなければ、同国への制裁とウクライナへの軍事支援を強化すると警告していた。
イギリスのキア・スターマー首相は10日、「もし彼(プーチン氏)が和平に本気なら、それを示すいい機会だ」と述べた。
これに対しクレムリンは、「私たちは本気だ、だがそれを自分たちのやり方で示す」と反応した。
プーチン氏のやり方(対案)は、トルコ・イスタンブールで15日にウクライナと直接協議をするというものだ。
しかし、即時停戦はしない。これが重要なことだ。
では、クレムリンの申し出は真剣な和平イニシアチブなのか? それとも、ロシアは時間稼ぎをして、戦争を長引かせようとしているのだけなのか? ロシアはこの提案で、ウクライナを支援している西側連合の分裂を狙っているのか?
まず、簡潔ながら大事な問いから始めよう。プーチン氏は和平を望んでいるのか?
彼は望んでいると主張している。だが、その和平はあくまでロシアの条件におけるものだ。
ロシアは、30日間の無条件停戦から得るものはほとんどないと考えている。ウクライナの戦場でいま主導権を握っているのは自分たちだと信じているだけに、なおのことそうだ。

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ただロシアは、自分たちが和平の妨げになっているとはみられたくない。アメリカのドナルド・トランプ政権とは良好な関係を維持したいと思っており、クレムリンは関係改善に力を入れてきた。
米ロ関係の改善が続けば、クレムリンは早期の制裁緩和と経済的な後押しを期待するだろう。
プーチン氏は、イスタンブールでの直接協議を提案することで、ホワイトハウスにシグナルを送っているのだ。「私は平和主義者だ」と。
しかし、ロシアは30日間の即時停戦を約束していない。そのため、戦争を続け、ウクライナの領土をさらに占領する可能性もある。
プーチン氏は、イスタンブールでの協議が「新たな停戦」につながる可能性を「排除しない」と、分かりにくい言い方をした。ウクライナはこれを、きわめて懐疑的に受け止めるはずだ。
さらに、戦争と平和について話す際に、2022年にロシアによるウクライナ全面侵攻を命じたのはプーチン氏だということを私たちは忘れてはならない。
侵攻は彼が決めたことだ。ウクライナをロシアの衛星国に引きずり戻そうとしたのだと、広く認識されている。
プーチン氏はこれを戦争とは呼ばなかった。ロシアの行動を「特別軍事作戦」と表現した。
だが昨夜、プーチン氏はこう明言した。「現在も戦闘、戦争が続いている。私たちは、自分たちではない人々によって中断された、協議の再開を提案している。それの何がまずいのか」。
クレムリンは、イスタンブールでの直接会談の提案が、米政権と欧州首脳らとの間にくさびを打ち込むことになると計算しているのかもしれない。
プーチン氏の発表を受け、トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、「ロシアとウクライナにとって素晴らしい日になるかもしれない」と歓迎し、「それが実現するよう双方との協力を続ける」と約束した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、プーチン氏の提案を「最初の一歩だが、十分ではない」と評した。また、「無条件停戦は交渉に先立つものではない」とも述べた。
プーチン氏は提案を、クレムリン内で深夜に述べた声明で明らかにした。
私は、記者会見と称されたものにロシア人記者と一緒に招かれた、少数の外国人記者の一人だった。
開始まで数時間待った。結局、プーチン氏は質問をまったく受け付けなかった。声明を読み上げると、彼は会場を後にしたのだった。












