アメリカの空港、靴を脱ぐ必要なくなる 20年ぶり保安検査を緩和

米運輸保安局(TSA)の男性職員が、空港の保安検査場で利用客の黒いかばんを確認している。後方にはほかの利用客が並んでいる

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画像説明, 空港の保安検査場で利用客の荷物を確認する米運輸保安局(TSA)の職員

アメリカの空港で、保安検査を受ける際に靴を脱ぐ必要がなくなる。クリスティ・ノーム国土安全保障長官が8日、発表した。

米運輸保安局(TSA)による保安検査ではこれまで、靴を脱ぐことが利用客に義務付けられていた。過去20年間にわたるこの不人気な方針が、廃止されることとなった。

ノーム長官は今回の変更について、全米の空港に直ちに適用されると説明しつつ、「多層的な」セキュリティーチェックは引き続き実施されるとした。

利用客は今後も、ベルトやコートを脱ぎ、ラップトップ・パソコンや液体類をかばんの中から取り出す必要がある。これらの規則についても、見直しを行っていると、ノーム氏は述べた。

保安検査で靴を脱ぐことを利用客に義務付ける規則は、2006年から全米で導入されてきた。米ニューヨークで同時多発攻撃が起きた年の12月に、パリ発米マイアミ行きのアメリカン航空機内で、イギリス生まれのアルカイダの一員が靴に仕込んだ爆弾を爆発させようとする事件が起きたのを受けての措置だった。

セキュリティー技術が「劇的に」進化

ノーム氏は8日の記者会見で、「我々のセキュリティー技術は劇的な変化を遂げた。進化した。TSAも変わった」と述べた。

「我々は、空港に来る人々が予測し、実際に体験するセキュリティーと環境に対して、政府全体を巻き込んだ多層的なアプローチを取っている。そのアプローチは磨き上げられ、強化されてきた」

さらに、「市民の安全を確保する方法を見つけるのは重要なことだが、同時にプロセスを簡素化し、一人ひとりにとってより快適なものにすることも重要だ」と付け加えた。

ノーム氏による発表に先立ち、シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港やフィラデルフィア国際空港、ノースカロライナ州のピードモント・トライアド国際空港など米国内の一部の空港ではすでに、新たな方針が導入され始めていた。

これまでも、TSAのファストトラック(簡略化)検査「PreCheck」(事前審査)の有資格者であれば、保安検査で靴を脱ぐ必要はなかった。PreCheckの申請には、指紋を提出しなければならない。

アメリカの主要航空会社を代表する業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ」は、国土安全保障省(DHS)の取り組みを支持する声明を発表した。

同団体のニコラス・E・カリオ代表は、「この方針変更は、乗客にとって円滑かつシームレスで安全な移動を促進するうえで大きな役割を果たすもので、航空機を毎日利用する何百万もの人々にとって朗報だ」と述べた。

靴に仕込んだ爆弾を爆発させようとした2001年12月の事件では、リチャード・リード受刑者は機内で起爆できず、ほかの乗客に制圧された。旅客機はボストンに着陸した。リード受刑者はアメリカで有罪判決を受けて収監されている。

2001年9月11日の同時多発攻撃も、保安検査で靴を脱ぐ方針の導入につながった。この攻撃では、刃物を所持したアルカイダのメンバーが旅客機4機をハイジャックした。世界貿易センタービルの北棟と南棟に1機ずつ突入させ、国防総省に別の1機を突入させた。ワシントンの連邦議会議事堂かホワイトハウスを目指していたとされる残る1機は、ペンシルヴェニア州シャンクスヴィルの草原に墜落した。