米FBI長官に承認のパテル氏、「再建」を表明 上院では与党からも異論

カシュ・パテル氏

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ブランドン・ドレノン、米ワシントン

米連邦議会上院は20日、ドナルド・トランプ大統領が連邦捜査局(FBI)長官に指名したカシュ・パテル氏(44)の長官就任を承認した。FBIをかねて攻撃してきたパテル氏は承認後、FBIを「再建」すると約束した。

上院(定数100)は賛成51、反対49でパテル氏を承認。与党・共和党からは議員2人が反対に回った。

民主党はかねて、パテル氏がFBI長官になればトランプ氏の敵対勢力を報復しようとするはずだと警告してきた。パテル氏は、自分はそのような政治的報復を追求するつもりはないと主張している。

指名承認をめぐる上院公聴会でパテル氏は、「ディープステート(闇の政府などの意味)」と一部でうわさされているものに属する「敵」のリストを作っているのかと質問されると、これを否定した。さらに、トランプ大統領を捜査した捜査機関の職員を「犯罪者でギャング」と呼ぶなど、過去に物議を醸したさまざまな発言については、大したことではないという反応を繰り返した。

パテル氏の承認については、野党・民主党の上院議員全員と、共和党議員ながら造反することの多いスーザン・コリンズ議員(メイン州選出)とリサ・マーコウスキー議員(アラスカ州選出)が反対票を投じた。上院は現在、共和党が53議席、民主党が45議席という情勢になっている。

トランプ氏が1月20日に大統領に就任して以来、閣僚就任が議会に認められるのはパテル氏で18人目。

「連邦捜査局の第9代長官に任命されたことを光栄に思う」と、パテル氏は承認直後にソーシャルメディア「X」に投稿した

「長官としての私の使命は明確だ。優秀な警官が警官らしくいられるようにする。そして、FBIへの信頼を再建する」、「我々は、アメリカ国民が誇りに思えるFBIを再建する」とも、パテル氏は書いた。

アメリカでは現在、新政権下の司法省がFBI幹部の一部を解任したほか、トランプ支持者たちが連邦議会を襲撃した2021年1月6日の事件を捜査したFBI捜査員について氏名提出を要求するなどの動きが続いている。

そうした状況でパテル氏のFBI長官就任が20日に決まると、ワシントンで同時に開かれていた毎年恒例の保守政治行動会議(CPAC)では、多くの共和党関係者が立ち上がって拍手した。

リック・スコット上院議員(フロリダ州選出)がCPACの壇上から「カシュ・パテルをどう思う?」と質問すると、会場から大きな拍手が上がった。

共和党関係者の大半は、FBIが保守派をことさらに厳しく取り締まる武器と化しているというトランプ氏の主張に同調してきた。それだけに、FBI刷新は遅すぎたほどで、それをパテル氏が大胆に容赦なく実行してくれると期待している。

対する民主党は、パテル氏は捜査機関での経験がほとんどない極右の陰謀論者だと非難。FBIは本来、超党派の独立機関であるべきだが、パテル氏はFBIをそのように統括するのではなく、むしろ就任時の宣誓内容に背いてでもトランプ氏への忠誠を優先させるだろうと警告してきた。

民主党のマーティン・ハインリック上院議員(ニューメキシコ州選出)は、「パテル氏が指名された理由はただひとつ。ドナルド・トランプの言いなりになるためだ。それはFBIの『忠誠・勇気・高潔』というモットーを真っ向から否定するものだ。彼は判断力に問題があり、経験がない。そのため、FBI長官としてアメリカ人の安全を守るには、まったく資格に欠けている。私は反対票を入れた」と「X」に書いた

パテル氏の前任クリストファー・レイ長官は、トランプ大統領が2017年に指名した。FBI長官の任期は本来10年だが、トランプ氏がレイ氏解任の意向を示したことから、レイ氏は先月の大統領就任式前に辞任した。