「トランプ関税」で株価一時急落するも保留発表で一部回復

ニューヨーク証券取引所の職員の写真

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米政府が4日に発動するとしていたカナダとメキシコ製品に対する25%の関税について、ドナルド・トランプ米大統領は3日、1カ月間停止すると表明した。3日の金融市場では、関税発動を前に世界的な売りが発生したしていたが、予定されていた4日の発動を前にメキシコへの関税が保留されたことで、多少の安心感がもたらされた。

優良株で構成するダウ平均株価は3日の取引開始と共に急落し、下げ幅が一時660ドルを超えた。しかし状況はその後、一気に変わった。

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は3日、移民対策として兵士1万人を国境に派遣することでトランプ大統領と合意。関税が1カ月間保留されることになった。両国は引き続き交渉を続ける。

このニュースが伝えられるとダウ平均株価も部分的に回復し、0.3%の下落で取引を終えた。

S&P500種は0.76%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は1.2%、それぞれ落ち込んで引けた。

カナダのジャスティン・トルドー首相もこの日、トランプ大統領と協議を行ない、市場取引が終わった後に両国が関税を30日間停止する合意に達したと述べた。

英パンミュール・リベラムのエコノミスト、サイモン・フレンチ氏は、投資家らはアメリカとカナダとの合意を「織り込んで」おり、一連の脅威が「単なるトランプ政権の交渉上の姿勢」であることに賭けていたと述べた。

米市場の回復を受け、日本では4日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は反発。午前の取引で日経平均株価は1.61%上がった。終値は前日比278円28銭(0.72%)高の3万8798円37銭だった。

3日はナイキやアップル、自動車株が下落

3日の米金融市場は、トランプ大統領が週末にカナダ、メキシコ、中国からの商品への関税を命じ、欧州連合(EU)に対する関税も「必ず実施する」と誓った後にいったん急落してから、関税発動保留を受けて反発した。

トランプ大統領は先週末、カナダとメキシコからアメリカへの輸出品に対して25%の関税を、中国製品には既存の関税に加えて10%の課税を命じていた。

トランプ大統領はこれらの措置を、アメリカに違法薬物や移民の流入に対する懸念と結びつけており、アメリカの三大貿易相手国を標的にしている。この動きは、世界最大級の経済に大きな混乱をもたらす恐れがある。

カナダとメキシコは報復関税で対抗すると述べ、中国も「相応の対抗措置」を約束し、トランプ大統領の動きを世界貿易機関(WTO)で争うと誓っていた。

こうしたなか、3日の金融市場は株価の下落が続いた。

欧州では、ドイツの株式市場が1.4%下落。自動車メーカーの株が特に大きな打撃を受けた。フランスのCAC 40指数は1.2%、ロンドンではFTSE100種が約1%、それぞれ下落して取引を終えた。

経済を代表する大手30社を追跡するダウ平均株価は、中国に製造を依存している米ナイキ米とアップルが特に大きな打撃を受け、アップルは3%以上の下落となった。

また、米テスラや米ゼネラル・モーターズ(GM)などの自動車メーカーも株価が下落した。

日本では、トヨタが5%、ホンダが7.2%共に落ち込んだ。ヨーロッパでは、独フォルクスワーゲンや仏伊ステランティス(クライスラー、シトロエン、フィアット、ジープ、プジョーなどのブランドを含む)の株価が約4%下がった。

メキシコからアメリカへテキーラを輸出している英飲料大手ディアジオは、この日の取引を1.9%の下落で終え、前日の損失を一部取り戻した。

一方、金利が長期間高止まりする見通しは、米ドルの強化に寄与した。

3日の早い時間、米ドルは不確実性の中ででも通貨市場で強化され、中国のオフショア人民元に対して過去最高値に達した。一方、カナダドルは2003年以来の最低水準に急落した。

中国の人民元やカナダドルに対して米ドルが上昇しただけでなく、ユーロも対ドルで2年以上ぶりの安値に落ち込んだ。

関税のニュースを受け、トレーダーたちはアメリカへの石油の最大輸出国であるカナダとメキシコに対する関税が市場にどのような影響を与えるかを分析しようとしたため、原油価格も上昇した。

トランプ大統領は2日、EUに対しても「必ず」関税を課すと述べており、緊張悪化の懸念は続く。ただし大統領は、イギリスは「やりすぎだ」としながらも、合意に達する可能性があるとも述べた。

一方、中国製品に対する追加関税については3日、「おそらく24時間以内に」、中国の習近平国家主席と電話協議をするだろうと述べている。

貿易港とコンテナ船の写真

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AJベルの投資ディレクター、ラス・モウルド氏は、「市場のあちこちが赤く点滅している」と述べた。

関税によって「インフレ率はさらに高くなる可能性があり、当面の間、追加利下げがこれで止まりかねない。これは株式投資家が望むことの正反対だ」

「価格の上昇は需要を損ない、ビジネスや消費者の信頼を揺るがし、経済活動の低迷につながる可能性がある」

投資銀行サクソの主任投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は、関税は短期的にはアメリカ経済に有益かもしれないが、長期的には重大なリスクを伴うと警告した。

「関税を繰り返し使えば、他国がアメリカへの依存を減らそうとする動機になり、ドルの世界的役割が弱まる」とチャナナ氏は話した。