マスク氏、オープンAIに買収提案 「売り物ではない」とアルトマン氏

オープンAIのサム・アルトマン氏(左)とイーロン・マスク氏

画像提供, EPA / Getty Images

画像説明, オープンAIのサム・アルトマン氏(左)とイーロン・マスク氏

実業家イーロン・マスク氏が率いる投資家グループは10日、対話型人工知能(AI)の「チャットGPT」を所有する米オープンAIを、974億ドル(約15兆円)で買収すると提案した。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は同日、同社は「売り物ではない」として、これをはねつけた。

マスク氏の弁護士マーク・トーバーロフ氏は10日、オープンAIの全資産の買収を、同社の取締役会に提案したことを認めた。

これを受けてアルトマン氏は、マスク氏が所有するソーシャルメディアのXに、「お断りだ。だが、もしあなたが望むなら、97億4000万ドルでツイッターを買う」と投稿した。

アルトマン氏はその後、仏パリで開かれていたAIアクションサミットで、「私たちは普通とは違う組織で、AGI(汎用〈はんよう〉人工知能)を全人類に有益なものにするという使命をもっており、それを実行するためにある」と述べた。

AGIの定義を尋ねられると、「ほとんどの人は、本当に強力でパワフルなAIシステムといった意味で使っている」とアルトマン氏は答えた。

同氏はマスク氏と共同でオープンAIを設立。その後、公に対立し、マスク氏が同社を離れた経緯がある。

オープンAIは誰のものか

オープンAIは、米メタやマイクロソフト(MS)といったハイテク大手企業の多くと異なり、株式を公開していない。非営利部門と営利部門が提携するという複雑な構造になっている

マスク氏はオープンAIを、非営利のルーツと、人類の利益のためにAIを開発するという元々の使命に戻したいとしている。

一方でマスク氏は、オープンAIのライバル会社であるxAIも所有している。

サンフランシスコのハイテク投資家クリスティ・ピッツ氏は、「マスク氏自身がライバルの営利企業を持っていることを考えれば、かなり疑ってかかっていいと思う。隠された動機もあると思う」とBBCに話した。

アルトマン氏は、オープンAIの非営利部門の理事も務めている。また、同社の株式は所有していないと、昨年5月に話している

アルトマン氏は、同社を完全に営利企業に変えたいと考えている。そうすることで、AIの研究に投入する資金をより多く集められるとしている。

しかし、オープンAIの将来を決定するのはアルトマン氏一人ではない。取締役会にも発言権があり、売却については提示額が大きい場合は支持する可能性がある。

974億ドルという提示額は、昨年10月の最新の資金調達ラウンド時の同社の評価額1570億ドルよりもはるかに低い。さらなる資金調達ラウンドをめぐっては、同社の評価額は3000億ドルとする話もあると報じられている。

マスク氏の弁護士のトーバーロフ氏は、より高い買収額が提示されれば、投資家グループとして「それに匹敵するか、それを上回る」額を検討する用意があるとしている。

オープンAIは先に、米ソフトウェア大手オラクルと日本のソフトバンクと提携し、アメリカにAI関連のデータセンターを建設する計画を発表した。発表はホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米大統領によって行われた。

同社とソフトバンクは、「スターゲート」と名付けた共同事業について、今後4年間で5000億ドル(約77兆9000億円)を投資する考えを示している。