EU、イスラエル人入植者への制裁を決定 西岸地区での暴力拡大受け

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欧州連合(EU)は11日に開催した外相会議で、イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人に対する暴力が拡大していることを受け、イスラエル人入植者を対象とした新たな制裁を承認した。
国連によると、2023年10月にイスラエルとパレスチナ・ガザ地区の武装組織ハマスとの戦争が始まって以来、ヨルダン川西岸ではイスラエル人入植者による攻撃が急増している。
イスラエルは、1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸と東エルサレムを占領して以来、この土地に約160の入植地を建設。こうした入植地は、国際法で違法とされている。パレスチナ人は、ガザ地区と共に、これら入植地も将来、自分たちの独立国家に含まれるとしている。
EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は、「膠着(こうちゃく)状態から実行へと移るべき時が来ている。(中略)過激主義と暴力には結果が伴う」と述べた。
フランスのジャン=ノエル・バロ外相はソーシャルメディアに、「(EUは)きょう、ヨルダン川西岸での過激かつ暴力的な入植を支援した罪のある、主要なイスラエルの組織を制裁対象にしている」と書いた。
一方、イスラエルのギドン・サール外相は、EUの決定を「恣意(しい)的で政治的だ」と批判。イスラエルは「我々の祖国の中心部にユダヤ人が入植する権利を擁護し続ける」とした。
EUの追加制裁計画をめぐってはこれまで、イスラエルと密接な同盟関係にあるハンガリーのオルバン・ヴィクトル前首相が阻止してきた。しかし、ハンガリーでの政権交代により、数カ月に及ぶ遅滞は終わった。
歴代のイスラエル政権は、入植地の拡大を容認・奨励してきた。拡大は、2022年にベンヤミン・ネタニヤフ首相が入植支持の右派連立政権で復帰して以降、そして2023年10月のハマスとの戦争が始まって以降、急激に進んでいる。
EUでは、制裁が正式に発動される前に、なお技術的および法的な手続きが必要となる。

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EUは今回、入植者個人または入植者団体の7対象に制裁を科す。さらに、ハマス関係者にも追加制裁を科すことで合意した。イスラエルのメディアは、制裁対象には、すでにイギリスから制裁を受けており、入植運動の「ゴッドマザー」として知られるダニエラ・ヴァイス氏が含まれると報じている。
さらに、入植推進団体「ナハラ」や「レガヴィム」のほか、「前哨地」として知られる無許可の入植地への資金提供や支援を行なっている「ハショメル・ヨシュ」や「アマナ」といった組織も、制裁対象に含まれると伝えられている。
レガヴィムのメイル・ドイチュ最高経営責任者(CEO)と、ハショメル・ヨシュのアヴィハイ・スイッサCEOも、制裁対象とされる。スイッサ氏は2024年にアメリカから制裁を受けたが、ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスに復帰した際に対象から外された。
イスラエルが建設した約160の入植地には現在、約70万人のユダヤ人が居住している。入植者によるパレスチナ人への暴力は、ほぼ毎日のように報告が続く時期もある。国連は、2025年にヨルダン川西岸の約280のコミュニティーで、死傷者や財産被害をもたらした入植者による攻撃が1800件を超えたと報告した。
最近の事例としては、イスラエル人入植者がパレスチナ人に墓の掘り起こしを強要したとの申し立てがあり、国連人権事務所はこれを「目を覆うものだ」と非難した。タイヤシール村では、イスラエル人入植者がパレスチナ人男性を射殺した。さらに複数の村で、住宅や車両、農地が放火されるなどの攻撃が相次いだことが報告されている。
一部のEU加盟国は、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地で生産された製品の輸入禁止も求めているが、この点についてEUはまだ合意に達していない。
イスラエルのサール外相は、イスラエルは「イスラエル国民および団体に制裁を科すという決定を断固として拒否する」と述べた。
「欧州連合は、恣意的かつ政治的なやり方で、政治的見解を理由とし、いかなる根拠もなく、イスラエル国民や団体に制裁を科すことを選択した」
「同様に看過できないのは、欧州連合がイスラエル国民とハマスのテロリストを同一視するという、受け入れがたい判断を下したことだ。道徳が完全にゆがめられている」とも、サール外相は述べた。












