モスクワでロシア軍幹部狙った銃撃、重体 ロシアはウクライナを非難

迷彩服を着た男性の写真。背後にはロシアとソヴィエト連邦の旗がかかっている

画像提供, Russian Defence Ministry

画像説明, 銃撃を受けたウラジーミル・アレクセイエフ陸軍中将は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の高官
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ポール・カービー欧州デジタル編集長

ロシアの首都モスクワで6日、ロシア軍幹部が銃撃され、負傷した。襲撃者は現場から逃走した。ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、モスクワ市内や周辺では軍幹部を標的にした襲撃がたびたび発生している。

襲撃されたのは、陸軍のウラジーミル・アレクセイエフ中将(64)。首都北西部の郊外にある集合住宅で襲撃され、病院に搬送された。重体だとみられている。

アレクセイエフ中将は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のナンバーツーにあたる第一副総局長を務める。

これまでのところ犯行声明は出ていないが、ロシア政府の高官らは直ちにウクライナを非難し、戦争終結に向けた交渉を妨害しようとしていると述べた。

ロシア連邦捜査委員会のスヴェトラーナ・ペトレンコ報道官は、「被害者は市内の病院に搬送された」と述べた。同委員会は、殺人未遂容疑で刑事捜査を開始した。

捜査当局は、事件の手掛かりを得るために監視カメラ映像を調べるとともに、目撃した可能性のある人物への聞き取りを始めている。

近隣住民の1人はロイター通信に対し、「複数」の銃声で目を覚ましたと説明。その後、別の近隣住民が助けを求めて叫ぶ声を聞いたと語った。

「聞いたのはそれだけだ。近所の他の人たちも外に飛び出して、何か手伝えないか、救急や警察に連絡すべきかと尋ねていたが、すでに1人が通報していた」

ロシア外相、ウクライナの「テロ行為」と非難

アレクセイエフ中将は、ウクライナ戦争において重要な役割を担ってきた。2022年にロシア軍がウクライナ南東部マリウポリを包囲した際には、ウクライナとの協議にも参加した。

それ以前には、シリア内戦におけるロシアの軍事介入での役割が評価され、「ロシア連邦英雄」の称号を授与されていた。

一方、2018年に英南部ソールズベリーでロシアの元スパイとその娘が神経剤攻撃にあった事件にGRUの関与が疑われた際には、欧州連合(EU)とイギリスから制裁を受けた。

さらには、2023年6月にロシア国防省に対する短期間の反乱を起こした、民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジン氏との交渉にも携わっていた。プリゴジン氏は同年8月、飛行機墜落で死亡した

GRUのトップ、イーゴリ・コスチュコフ総局長は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで行われた、ロシアとウクライナ、アメリカによる和平協議でロシアの交渉団を率いている。直近の協議は5日に終了したが、大きな進展は見られなかった。

今回の銃撃の背後に誰がいるのかは明らかになっていないが、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、事件後ただちにウクライナを非難した。

ラヴロフ外相は、「このテロ行為」は「交渉プロセスを妨害する」のが目的だと述べた。

ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウラジーミル・プーチン大統領が銃撃について報告を受けていると述べ、「まずは中将が生き延び、回復することを願っている。そうなることを望んでいる」と記者団に語った。

ウクライナは今回の件についてコメントしていないが、これまでにもロシア軍関係者に対する攻撃の一部を自ら認めてきた。ロシアの情報当局は先月末、サンクトペテルブルクでロシア兵を狙ったとされる攻撃未遂を阻止したと主張した。

2024年には、軍幹部のイーゴリ・キリロフ陸軍中将が、モスクワの集合住宅前で発生した爆発により死亡した。ウクライナ保安庁(SBU)の情報筋は事件当時、この攻撃にウクライナが関与したと話していた。

軍の放射線・化学・生物学防護部隊を率いていたキリロフ中将の殺害について、ウズベキスタン出身の男性が有罪判決を受けている。

昨年12月には、GRU高官のファニル・サルワロフ中将が、乗っていた車の下に仕掛けられた爆発装置により死亡した。

ロシア連邦捜査委員会によると、サルワロフ氏は軍の作戦訓練部門のトップだった。