俳優サー・マイケル・ギャンボンが死去、82歳 「ハリポタ」シリーズのダンブルドア校長役

Michael Gambon

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映画版「ハリー・ポッター」シリーズでアルバス・ダンブルドア校長を演じた、アイルランド出身の俳優サー・マイケル・ギャンボンが28日、肺炎のため亡くなった。82歳だった。映画や舞台で共演した多くの俳優が、追悼のコメントを寄せている。

(編集部注:日本では「ガンボン」と書かれることの多いサー・マイケルの姓は、英語圏での発音に近く「ギャンボン」と表記します)

同シリーズでハリー・ポッターを演じたダニエル・ラドクリフさんは、「素晴らしい名演を、さりげなくやってのける」俳優だったサー・マイケルは、「仕事を愛していたが、決して仕事に縛られているようには見えなかった」と語った。

ハーマイオニー・グレンジャーの役エマ・ワトソンさんは、サー・マイケルは「偉大さを気軽に身にまとうとはどういうことか、見せてくれた」と感謝の言葉を述べた。

原作小説の作者J・K・ローリングさんは、「素晴らしい人物」で、「傑出した俳優」だったと振り返った。

やはり「ハリー・ポッター」映画でペチュニア・ダーズリーを演じたフィオナ・ショウさんは、サー・マイケルはその長く豊かな人生の中で、俳優として「何でもできる」のだと示してくれたと話した。

アイルランドのレオ・ヴァラッカー首相は「偉大な俳優だった。彼はベケットでも、デニス・ポッターでも、ハリー・ポッターでも、すべての演技に全力を尽くした」と追悼した。

Michael Gambon in The Borderers in 1968
画像説明, 1968年から1970年にかけてBBCの歴史ドラマシリーズ「The Borderers」に出演したサー・マイケル

サー・マイケルは、60年にわたりテレビや映画、舞台、ラジオで活躍した。生涯で英映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)賞を4回受賞した。

アイルランドのダブリンで生まれたサー・マイケルは、幼少期に家族と共にロンドンに移住した。だが初舞台は1962年、ダブリンで上演された「オセロ」だった。

その後、俳優ローレンス・オリヴィエ卿が初代ディレクターだった時期の、創設間もないナショナル・シアターでさまざまな舞台に出演し、一躍有名となる。サー・マイケルはナショナル・シアターでの出演作で、イギリスの優れた商業演劇作品に与えられるオリヴィエ賞を3回受賞した。

サー・マイケルは常に、舞台での仕事が最も大事だとしていたが、1980年代から1990年代にかけては多くのテレビ・映画作品で名声を得た。

BBCのドラマ「歌う大捜査線」では、脚本家と同名のデニス・ポッター刑事を演じた一方、ITVのドラマ「メグレ警視」では、全く違うタイプの刑事を演じた。

1985年には、作家オスカー・ワイルドの刑事裁判と獄中生活を描いたBBCのシリーズに出演している。

1989年の映画「コックと泥棒、その妻と愛人」や2001年の映画「ゴスフォード・パーク」では、デイム・ヘレン・ミレンと共演。2人は1982年のシェイクスピア劇「アントニーとクレオパトラ」でも、相手役で共演している。

10月1日放送予定のBBC番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演したデイム・ヘレンは、その中でサー・マイケルについて「やんちゃだが、とてもとても面白い」友人で、常に自分を笑わせていたと話した。

デイム・ヘレンは自分たちが近年では、老いるということと、それが仕事にどう影響するかを話し合っていたと番組で語った。

自分の年齢とそれによる状況を、サー・マイケルは「まったく現実的に」受け止めていたという。「せりふがどんどん覚えられなくなっていたそうで、それには私も心から共感します。そのせいで、劇場での出演から次第に遠ざかってしまったそうです」と、デイム・ヘレンは話した。

Sir Michael Gambon as Albus Dumbledore

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画像説明, サー・マイケルは映画「ハリー・ポッター」シリーズの6作品でアルバス・ダンブルドアを演じた
Michael Gambon, Daniel Radcliffe, Emma Watson and Rupert Grint at a premiere

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画像説明, (左から)サー・マイケル・ギャンボン、ダニエル・ラドクリフさん、エマ・ワトソンさん、ルパート・グリントさん

「温かく、いたずら」

「ハリー・ポッター」シリーズ2作目までダンブルドア校長を演じていたリチャード・ハリスさんが2002年に亡くなると、サー・マイケルがその役を引き継いだ。

原作者のローリングさんはX(旧ツイッター)に投稿した追悼文で、「私が初めて彼を見たのは1982年の『リア王』で、その時、あの素晴らしい俳優が私の書いた作品に出演すると言われたら、正気かと思っただろう。マイケルは傑出した俳優だというほかに、素晴らしい人物で、私は『ポッター』だけでなく『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』でも彼と仕事をするのが大好きだった」と語った。

10代をサー・マイケルと過ごしたラドクリフさんは、「マイケル・ギャンボンさんは、私がこれまで光栄にも一緒に仕事させてもらえてあ俳優の中で、最も素晴らしく、努力を惜しまない俳優の一人だった。しかし、その計り知れない才能にもかかわらず、何より印象深いのは、あの人が自分の仕事をとことん楽しむ姿だった」と語った。

また、サー・マイケルが記者会見で「事実とフィクションの境界線をあいまいにする」癖を思い出し、「彼は自分の仕事を愛していましたが、決してそれに縛られているようには見えなかった」と付け加えた。

ワトソンさんはインスタグラムに、「あなたは決して深刻に受け止めすぎず、それなのにどうやってだか、最もシリアスな瞬間を見事に重厚に表現できていた」と書いた。

ロン・ウィーズリーを演じたルパート・グリントさんは、サー・マイケルは自分の「個人的なお手本だった」と話し、「あの人のおかげで撮影現場はいつでも、とても温かく、いたずら心でいっぱいだった」と振り返った。

Michael Gambon on stage in 2010

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画像説明, サー・マイケル・ギャンボンは多くの舞台作品に出演した(2010年)

「ハリー・ポッター」シリーズのかたわら、サー・マイケルは人気テレビシリーズ「ダッズ・アーミー」や映画「英国王のスピーチ」といった話題作にも出演している。

2002年にはテレビ映画「ジョンソン大統領/ヴェトナム戦争の真実」で、2010年にはジェーン・オースティン原作「エマ」のドラマ化作品で、それぞれエミー賞にノミネートされた。1997年には舞台「スカイライト」でトニー賞にノミネートされている。

1998年に、エンターテインメント業界への貢献を認められてナイトに叙勲された。サー・マイケルはアイルランド出身だが、幼少期にイギリスの市民権を得ている。

俳優業界では「グレート・ギャンボン」として親しまれていたサー・マイケルの最後の舞台作品は、2012年にロンドンで上演されたサミュエル・ベケット作「All That Fall」だった。