英舞台化「となりのトトロ」、演劇界のオリヴィエ賞6部門で受賞

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イギリスの優れた商業演劇作品に与えられるオリヴィエ賞の発表が2日、ロンドンで行われ、日本のアニメ映画「となりのトトロ」の舞台版が作品賞(エンターテインメントあるいはコメディ劇部門)を含む6部門で受賞した。
スタジオ・ジブリ作の人気アニメ「となりのトトロ」は、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)が「My Neighbour Totoro」の題で舞台化を手がけ、ロンドンのバービカン・シアターで昨年10月から今年1月まで上演。パペットなどを駆使して映画の世界を再現した作品作りが話題を呼び、今年11月から来年3月までの再演も決まっている。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで発表された今年のオリヴィエ賞では、最優秀作品賞(エンターテインメントあるいはコメディ劇部門)、演出家賞(フェイリム・マクダーモットさん)、舞台美術賞(トム・パイさん)、照明デザイン賞(ジェシカ・フアン・ハン・ユンさん)、衣装賞(中野希美江さん)、音響デザイン(トニー・ゲイルさん)の計6部門で、「となりのトトロ」が受賞した。

「となりのトトロ」は、1950年代の日本の農村に父親と引っ越してきた幼い姉妹のサツキとメイが、病気で入院中の母親を心配しながら、不思議な森の生き物・トトロと出会う物語。この舞台化にあたり戯曲を担当したトム・モートン=スミスさんは受賞スピーチで、戯曲を書いている間、妻は妊娠中だったと話し、死産で亡くした娘に、受賞をささげると語った。
モートン=スミスさんは、初めて親になる期待と不安で胸を躍らせながら「トトロ」の戯曲を書いていたと振り返り、その娘を失ってからは、「トトロ」の舞台を多くの人が見ることで娘の思い出をとどめておきたいと思うようになったと話した。

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オリヴィエ賞ではほかに、主演男優賞に「欲望という名の電車」からポール・メスカルさん、一人芝居「プライマ・フェイシィ」のジョディ・コウマーさんが主演女優賞に選ばれた(訳注・日本では「ジョディ・カマー」と表記されることもあるJodie Comerさんの姓を、BBCでは本人など英語圏での発音に基づき「コウマー」と表記します)。
メスカルさんはアイルランドを舞台にした2020年BBC放送の心理ドラマ「Normal People」でその繊細(せんさい)な演技が一気に評価され、昨年度の米アカデミー賞では「aftersun/アフターサン」で内面に葛藤(かっとう)を抱える若い父親の演技で主演男優賞にノミネートされた。
舞台「欲望という名の電車」では暴力的な男性像の象徴ともいえるスタンリー役を演じたメスカルさんは、オリヴィエ賞の受賞後、「多様な男性性の形を探ることに興味がある」とBBCに話した。
「自分が次に何をやるか予想されてしまうようになったら、表現者として死んだも同然だと思う」ともメスカルさんは言い、「そうはなりたくないので、できれば見る人を驚かせる方向に向かい続けたい」と述べた。

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BBCドラマ「キリング・イヴ」で人気スターとなったコウマーさんは、昨年4月に一人芝居「プライマ・フェイシー」でロンドンの商業演劇地区ウェストエンドの舞台デビューを果たした。性暴力事件の被害者弁護を専門とする法廷弁護士を描くこの舞台は、コウマーさん主演で近くニューヨーク・ブロードウェイでも上演される。
受賞スピーチでコウマーさんは、「演劇学校に行ってない子、行くだけの経済的余裕がなかった子、応募したけど不合格だった子、あなたには無理だなんて、絶対に誰にも言わせないで」と語りかけた。
デート・レイプ被害にあった弁護士を演じた作品で受賞したことについて、コウマーさんはBBCに、以前は司法制度の仕組みについて疑問に思ったこともなかったのが「かなり恥ずかしい」と話した。









