ツルを手当てした男性から「押収」、インド当局
インドで男性にけがを手当てされ、その後も野生に戻らなかったオオヅルが、当局によってこの男性から「押収」された。
ウッタルプラデシュ州在住のモハマド・アリフさんは1年ほど前、自宅の畑でけがをしたツルを見つけ、回復するまで世話をした。以来、ツルはアリフさんのもとを離れなかったため、1人と1羽の友情が話題となった。
ウッタルプラデシュ州当局は今回、保護が義務付けられているオオヅルをサマスプールの野鳥保護区へ移送した。
だが地元メディアは、ツルは新しい住みかからいなくなってしまったと報じている。インターネットでは、住民がこのツルにえさを与えている動画が拡散された。
当局はこの報道を否定しており、ツルは「保護区内」にいるとしている。
当局のルペシュ・スリヴァスタヴァ氏はBBCヒンディー語に対し、「ツルは屋内に閉じ込められているのではなく、保護区内に放された。自分でえさも探すが、麦やパン、水などを与えている」と説明した。
オオヅルはウッタルプラデシュ州の「州の鳥」で、少なくとも1万7000羽が州内に生息している。インドの法律では、個人がオオヅルを飼育したりえさを与えることは禁じられている。
「帰ってくると信じている」

画像提供, Shubham Verma/BBC

アリフさんは、21日午後に自宅を訪れた当局職員から、ツルとは一緒にいられないと告げられたという。職員は、環境森林省からの押収命令書を持っていた。
「私は野生動物保護法は知らない。私は農家だ。でももし私がツルをケージに入れたりつないだりしてどこにも行けないようにしていたら、森林省が押収しようとするのも理解できる」と、アリフさんは話した。
「でもあのツルは飛び回っていて、自由に行き来していた。私があのツルの行動を制限しているのを見たことがあるか?」
今月初めにBBCヒンディー語が行った取材でアリフさんは、けがが治ればツルも野生に戻るだろうと思っていたが、アリフさんのもとにとどまり、今ではそばを離れることはほとんどないと話していた。
「日によっては、どこかへ飛んでいくこともあるけど、日が暮れるまでには必ず戻ってくる」と、アリフさんは説明していた。
アリフさんは21日、野鳥保護区にツルを移送する車の後を追ったという。
「でも追い払われてしまった。どういう環境にあのツルを置いているのか分からない。私のところに帰ってきてしまうだろうから、閉じ込めているに違いない」と、アリフさんは話した。
「あのツルを自由にしたい。私のところに帰ってくると信じている」
ツルの移送をめぐっては政治的な論争も勃発している。ウッタルプラデシュ州の最大野党は、党首がアリフさんを訪問してツルと写真を撮った後に移送が行われたと主張。州政府が報復をしていると非難した。
この主張について、州政府はコメントを発していない。
「保護と同情は別物」
一方、インド野生動物トラスト(WTI)でオオヅル保護プロジェクトを主導しているサミル・クマル・シンハは、ツルを保護区へ移送したのは正しい判断だと指摘する。
「保護と同情は別物だ。野鳥を苦境から救うことはできるが、その後は法の番人に預けなければならない」
シンハ氏はまた、「野生動物には野生の本能がある。もしそのツルが誰かを襲ったらどうなる?」と話し、野生動物をペットとして飼育しないよう呼びかけた。
オオヅルは空を飛べる鳥の中で最も背が高く、体高は180センチまで伸びる。ウッタルプラデシュ州のの湿地帯に生息している。
シンハ氏は、かつてはインド西部のガンジス平野一帯にオオヅルの生息地が広がっていたが、今ではラジャスタン州、グジャラート州、マディヤプラデシュ州、ビハール州の一部でしかツルが見られなくなったと話した。
WTIは湿地帯を守るために州当局と提携している。ツルは畑に卵を産むことが多いため、農場や村の地元ボランティアと協力してツルの巣を保護しているという。
「ツルを助けたいなら、生息地の湿地帯を保護するのが正しい。そして、自然の成り行きに任せればいい」とシンハ氏は言う。







