ウクライナ軍、南部ヘルソン市周辺で大きく前進 ロシア軍撤退命令後

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ウクライナ軍は10日、ロシアが自軍に撤退命令を出した南部ヘルソン州の州都ヘルソン周辺で大きく前進したと発表した。
ウクライナ軍によると、ヘルソン市の北50キロに位置する町スニフリウカを奪還したという。
ウクライナ政府も、ヘルソン市近郊の2つの前線でロシア軍を大きく押し戻し、場所によっては7キロ前進したと主張している。
ロシア国防省は9日、ヘルソン市への補給がもはや不可能になったとし、ヘルソン市から撤退するよう自軍に命じた。撤退プロセスは数週間続く可能性がある。2月末の侵攻開始以来、ヘルソン市はロシア軍が制圧した唯一の州都だった。
ロシア国防省の発表は同国の大きな後退を示すものだと見なされているが、ウクライナ当局は懐疑的で、撤退命令がわなである可能性があると警告している。
ヘルソンからのロシア軍の大規模撤退を直ちに示す証拠は得られていない。
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ウクライナ軍が「重要な前進」
ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は10日、ロシア軍の撤退を肯定も否定もできないが、ウクライナ軍が重要な前進を遂げたと述べた。
ウクライナ兵はドニプロ川西岸(ヘルソンを含む地域)の2つの前線で前進し、12の集落を制圧したと、ザルジニー氏は説明した。
7キロの前進は「この1日で」達成したもので、部隊は北東と西側で前進したという。
映像では、スニフリウカに入った兵士たちが広場で地元の人々に歓迎されている様子が確認できる。
スニフリウカは主要道路が交わる場所に位置し、北側と西側をヘルソンと接するミコライウ州の鉄道の拠点となっている。
ミコライウの行政当局は、メッセージアプリ「テレグラム」に「今日は良い知らせがたくさんある」と投稿した。
10日夜には、ウクライナ語で「ch」という文字が密かに投稿されたことを受けて、ウクライナ軍がヘルソン郊外に到達したのではないかとの憶測を呼んでいた。この投稿は、ウクライナ部隊が郊外の村チョルノバイウカ(Chornobayivka)に到達したことを示す手がかりの可能性があるとされた。
最新の領土の獲得と喪失の詳細についてBBCは独自に検証できていないが、ウクライナ軍が数週間にわたり着実に前進している中でこうした報告があがっている。
「逃げる以外の選択肢なく」
ロシア政府は9日までに、ヘルソン市から撤退するよう自軍に命じた。
注目すべきは、ウラジーミル・プーチン大統領がテレビ放送された発表の場に出席しなかったことだ。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ロシア軍は補給線が破壊され、指揮系統が混乱したため、逃げる以外に選択肢がなかったのだと語った。
ウクライナの国防相はその後、ロシア軍が撤退するには少なくとも1週間かかるとし、敵の行動を予測するのは容易ではないと述べた。
北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ロシアが「強い圧力」を受けていることは明らかだとしつつ、「現場の状況がどう展開するか」を注視することが重要だと述べた。
イギリスのベン・ウォレス国防相は、ロシアがドニプロ川の対岸にコンクリート製のものを設置して防衛線を築こうとしているようだと指摘している。
ウォレス氏はロシアの撤退命令について言及した際、「ロシアが自ら盗んだ財産を返還することに、世界は感謝すべきではない」と述べた。
ウクライナ大統領顧問は、喜ぶのは時期尚早だと指摘。敵は地雷を残し、遠隔での砲撃を企み、ヘルソンを「死の街」にしようとしていると非難した。
米軍高官による最新の推計によると、ウクライナ侵攻によりウクライナとロシアはそれぞれ兵士10万人が死傷している。民間人の死者も4万人に上っている。犠牲者数はさらに増える恐れがある。
こうした中、アメリカはウクライナに対し防空システム「アベンジャー」や地対空ミサイル「ホーク」など4億ドル(約568億円)規模の軍事支援を提供すると発表した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先に、リシ・スーナク英首相とイギリスからの防衛支援の提供について協議したと明らかにした。








