イランでインターネットやSNS遮断、女性死亡への抗議激化受け 米政府が対抗策で抗議を支援

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イランで頭髪を覆うスカーフを適切に着けていなかったとして拘束された女性が死亡したことを受け、各地で抗議活動が続いている。こうした中で活動家らは、インターネットが遮断されたり、ソーシャルメディアへにアクセスできなくなったりする事態に懸念を示している。こうした中、アメリカ政府はイランへのインターネット規制を緩和することで、抗議する市民を支援する方針を示した。
サイバーセキュリティーやインターネットのガバナンス(統治・管理)の監視団体「ネットブロックス」によると、イラン政府が普段、使用を認めているインスタグラムとワッツアップが現在、アクセスできなくなっている。
フェイスブックの親会社「メタ」が運営する両サービスは、イランで数百万人が使用している。当局がツイッターやフェイスブックといった他のSNSを遮断して以降、特に利用者が増えているという。
このほか、テレグラムやユーチューブ、ティックトックといったサービスも、一時的に利用できなくなった。
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クルド系女性マサ・アミニさん(22)は13日、女性に頭髪をスカーフで覆うよう定めた法律に違反したとして、テヘランで道徳警察に逮捕された。まもなくして留置施設で意識不明に陥り、16日に病院で死亡した。
国連人権高等弁務官代理ナダ・アルナシフさんによると、アミニさんは警棒で頭をたたかれ、警察車両に頭を打ちつけられたとの報告が出ている。警察は虐待行為を否定している。
抗議活動は激化し、これまでに少なくとも35人が死亡した。当局が実弾を発砲したとの報告も出ている。
インターネットが「唯一の抗議の場」
ネットブロックスは、22日に一時インターネットが復旧したものの、23日には「全国的に接続できなくなった」と報告している。
インスタグラムのアダム・モッセーリ代表は、「イランの人たちがオンラインのアプリやサービスから遮断されている。彼らがオンラインになる権利が、速やかに復活するよう願っている」とツイートした。ワッツアップも、イランのユーザーが接続できるよう動いているとしている。
一方で、メタが当局と共謀して、ユーザーを遮断していると非難する声もある。中には、抗議を支持する投稿がメタによって削除されたと証拠を示すユーザーもいる。

メタにはペルシャ語話者のレビューグループがあり、ユーザーからの報告などから投稿がメタの運営基準に違反していると判断された場合、それを削除する役割を担っている。
ワッツアップについても、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使ってもアクセスできないとの報告が出ており、通常の制限とは異なるようだ。
ネットブロックスのイシク・マテル氏はBBCの取材に対し、「インターネットは、街で騒動が起きたときにイラン当局が最初に手を付ける、最大のツールのひとつだ」と話した。
イランには民間放送局がないため、インターネットはデモ参加者が声を共有できる「唯一の場所」だという。
イランでは過去にも、当局が市民抑圧のためにインターネットを遮断したことがある。

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アミニさんの死は、個人の自由や経済的困難といったさまざまな問題への怒りにもつながった。
抗議デモでは女性たちがスカーフを脱いだり燃やしたりしていたが、こうしたデモの大半はSNS上で組織されているため、アクセスが制限されれば活動が難しくなるという。
また、インターネットが遮断されることで世界の注目が薄れ、弾圧が強まると懸念する声もある。

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アメリカは抗議支援
こうした中でアメリカ政府は、イランに対するインターネット規制を緩和すると発表。アントニー・ブリンケン国務長官は、「イランの人々が孤立し、暗闇の中に置かれないように支援する」と述べた。
米財務省は、この動きはイラン政府が国民を「監視・検閲」しようとすることへの対抗策になると述べている。
また、大富豪のイーロン・マスク氏はこの発表を受け、イランにインターネット・サービスを提供するために自分の衛星インターネット企業「スターリンク」が対応するとツイートした。








