世界の5000万人が「現代奴隷」、武力紛争やパンデミックなどで増加=ILO報告

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国際労働機関(ILO)は12日、武力紛争や気候変動、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックなどの影響で、「現代奴隷」の問題が深刻になっているとの報告書を公表した。
ILOは世界で約5000万人、つまり150人に1人が強制労働や強制結婚の状態にあると報告。5年前と比べて1000万人近く増えたことになる。
ILOはこの状況悪化について、「衝撃的」だとしている。
ガイ・ライダーILO事務局長は、「このような根本的な人権侵害が続くことは、いかなることがあっても正当化できない」と述べた。
「何をすべきか、私たちは知っている。(中略)全員の総力戦が求められている。労働組合や使用者団体、市民社会そして一般の人々、その全員が重要な役割を担っている」
ILOは「現代奴隷」の問題は欧米諸国から遠く離れた貧しい国々に限定されたものではなく、強制労働の半数以上は高中所得国で起きていると強調している。
報告書で定義されている「現代奴隷制」は、強制労働と強制結婚の2つで構成される。いずれの場合も、「脅迫や暴力、欺瞞(ぎまん)、権力乱用、そのほかのかたちの強制によって」当事者が逃れられない状態を指す。
「強制労働を課せられる状況は、何年も続く可能性がある。一方で強制結婚はほとんどの場合、終身刑と同じだ」と、報告書は指摘する。
子どもも被害に
子ども約330万人を含む約2760万人が、強制労働をさせられている。そのうちの半数以上の子どもは、商業的な性的搾取の被害にあっている。
強制的に結婚させられている人は約2200万人で、その3分の2以上が女性。被害者の多くは15歳未満で結婚させられている。
報告書は、「複合的な危機」が複雑に絡み合い、貧困が拡大し、奴隷状態に置かれるリスクが高まるなどして事態が悪化していると指摘している。
例えば新型ウイルスのパンデミックは、人の収入に大きな混乱をもたらした。、借金が増えたことで、それが強制労働につながった事例もある。ILOはパンデミックのため20年で初めて「世界で極度の貧困」が増加したとしている。
戦争や武力紛争も同様に悲惨な状況を引き起こし、子どもは労働力として、あるいは兵士として駆り出されることになる。気候変動の影響で家を追われて移民となった人は、大きなリスクにさらされている。
報告書は、この問題を解決するには資金・資材を集めるための国際的取り組みと、問題を解決するという偽りのない意思が必要だと呼びかけている。
「約束や善意の表明だけでは不十分だ」と報告書は警告している。









