パキスタンの洪水、「全土の3分の1が水没」と気候相 復興には莫大な費用

画像提供, EPA-EFE/REX/Shutterstock
歴史的な洪水に見舞われているパキスタンで、全土の3分の1が完全に水没したと、同国の気候変動相が29日に述べた。復興には100億ドル(約1兆4000億円)以上かかると、計画相が見通しを示した。
壊滅的な洪水は、各地で道路や家屋、作物を押し流している。多数の命が失われており、被害の跡が刻まれている。
シェリー・レーマン気候変動相は、「すべてが1つの大きな海になって、水をくみ出すための乾いた土地がない」、「文字通り、パキスタンの3分の1が現在水没しており、これまでのあらゆる限度、あらゆる基準を超えている」とAFP通信に話した。
また、「想像を絶する規模の危機だ」、「こんなことは見たことがない」と述べた。

当局によると、モンスーンの季節に入った6月以降、少なくとも1136人が死亡している。うち75人は29日までの24時間以内に死亡しており、死者はさらに増える見込みだという。
ビラワル・ブット=ザルダリ外相は、死者の3分の1は子どもだとみられるとBBCに述べた。また、「被害の規模はまだ把握しきれていない」とした。
当局は、国民の7人に1人にあたる3300万人以上が、歴史的な洪水の影響を受けていると推定している。
今夏の雨量は過去10年間で最多となっており、政府は気候変動が原因だとしている。
複数の村が孤立
パキスタン北部のスワート渓谷では、大量の水が橋や道路を押し流し、付近の複数の村が孤立している。
一帯で暮らす数千人の住民には避難命令が出され、当局はヘリコプターも使って避難を支援しているが、身動きが取れない住民への対応に苦慮している。
シャバズ・シャリフ首相は28日、被災地をヘリコプターで上空から視察。「村が次々と破壊された。何百万もの家屋が破壊された」と述べた。
避難できた人たちは、全国各地に多数設置された仮設キャンプに身を寄せている。
北西部カイバル・パクトゥンクワ州の学校には約2500人が避難。その1人のファザル・マリクさんは、「ここでの生活は悲惨だ。自尊心が失われそうだ」とAFP通信に話した。
同州のほか、南部シンド州、南西部バルチスタン州などで被害が甚大となっている。

画像提供, Getty Images
食料不足の懸念
今年の記録的なモンスーンによる洪水は、2010年のパキスタン史上最大の洪水に匹敵する。当時の死者は2000人を超えた。
今回の災害の復興費用に関する懸念も高まっている。パキスタン政府は、援助機関、友好国、国際支援者に資金援助を求めている。
アーサン・イクバル計画相は、「ごく初期の予備的な見積もりでは、100億ドル(約1兆4000億円)以上の多額に上る」と述べた。
同相はまた、綿花のほぼ半分が流され、野菜や果物の畑、水田なども大きな被害を受けたとした。さらに、今後数週間から数カ月の間に、深刻な食料不足が生じるとの見通しを示した。
シャリフ首相は、今後1年間で約12億ドル(約1660億円)規模となる、国際通貨基金(IMF)による融資が再開されれば、経済復興の大きな助けになると述べた。
この融資は2019年に契約が結ばれたが、IMFが設定した目標をパキスタンが達成できなかったため、今年になって中断されている。
こうしたなか、パキスタンは29日、IMFから11億ドルの緊急援助を受けた。IMFは、同国が債務不履行に陥らないよう支援する。
一方、イギリス政府は27日、パキスタンの支援に最大150万ポンド(約2億4300万円)を割り当てたと発表した。
エリザベス女王は、「(洪水による)悲劇的な人命の損失と破壊を聞き、深く悲しんでいる」、「イギリスは、復興に乗り出すパキスタンと連帯している」と話した。









