中国検閲でミニオンズ最新作の結末変更 それほど「ワル」じゃない

Minions pose at an event in New York City in 2013

画像提供, Getty Images

画像説明, 中国では19日から映画「ミニオンズ」の最新作「The Rise of Gru」 が公開された。画像は米ニューヨークでのイベントでの様子(2013年)

中国で19日、映画「怪盗グルーシリーズ」のスピンオフ最新作「ミニオンズ フィーバー」(The Rise of Gru)が公開された。しかし、映画の結末は中国の検閲によって変更されている。

最新作では、最強最悪の悪党を目指すグルーの10代の頃が描かれている。シリーズの原題は「Despicable Me」で「最悪の私」というような意味だが、中国の検閲は主人公が「最悪」になるのを好ましく思わなかったようだ。

(ネタバレ注意: この記事はこれ以降、最新作の内容に触れています)

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最新作の本来のラストでは、グルーが師匠のワイルド・ナックルズと共に、夕日に向かって走り去る。しかし、中国ではこのラストシーンを見ることができない。中国版では、ワイルド・ナックルズが刑務所に入れられ、グルーは「善人の1人になる」という結末になっている。

中国のソーシャルメディア微博(ウェイボ)で共有された、映画に関する投稿やスクリーンショットから、この映画が中国で検閲され、エンドロールに字幕付きの静止画が複数追加されていることがわかる。

中国版では、ワイルド・ナックルズが盗みに失敗して捕まり、20年間収監されたという説明が入る。また、ワイルド・ナックルズが「演技への愛」を見出し、劇団を立ち上げるとある。

一方でグルーは「家族のもとに戻り」、後に3人の娘たちの父親となったことが「最大の功績」とされている。

この変更は、中国で多くの人から冷笑された。

「本当の物語はパラレルワールドにある」とソーシャルメディアに書いた人もいる。

中国版の結末は、出生率を上げようとする中国の3人っ子政策を都合よく宣伝するものだと指摘すると人もいた。また、字幕付き静止画の質については大勢が、パワーポイントのプレゼン用スライドと比較していた。

微博で400万人以上のフォロワーを持つ人気映画ブロガーのDuSirさんは、結末を変更するなんて「とんでもない」と述べた。

DuSirさんは、なぜ中国人だけに「特別な指導と配慮」が必要なのかと記事で書いた。

「この国の観客がどれほど無力で判断力に欠けていると、思われているんだろう」

こうした検閲にも関わらず、シリーズ第5弾となる最新作は興行的に成功を収めている。エンターテインメント・サイト「Deadline」によると、中国での公開初日の興行収入は約2174万元(約4億3000万円)と、新型コロナウイルスのパンデミック下での最高を記録した。

ストリーミング映画も検閲

検閲ルールが世界で最も厳しい中国向けに、人気の外国映画の結末が変更されるのは、今回が初めてではない。

今年初めには、中国のストリーミングプラットフォーム「テンセントビデオ」で、アメリカ映画「ファイト・クラブ」(1999年)の結末が変更された。アメリカでカルト的人気を持つこの作品は、主人公が複数の高層ビルを爆破するラストシーンが削除された。中国版の結末では代わりに、当局が勝利して犯罪者を全員逮捕し、事態を解決したという文章が表示された。

こうした変更は反発を招き、映画「ファイト・クラブ」のデイヴィッド・フィンチャー監督や、「ファイト・クラブ」原作者の米小説家チャック・パラニューク氏も反応した。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、変更された結末は「ディストピア」だとした。

その後、テンセントビデオは変更の大半を取りやめた。カットされたままなのは、ヌードシーンだけとなった。