マリウポリから脱出の100人以上、ザポリッジャに到着 東部・西部での攻撃続く

A family embrace at the evacuation point in Zaporizhzhia, Ukraine

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画像説明, ウクライナ南東部マリウポリから避難してザポリッジャに到着した家族(3日、ウクライナ中央部ザポリッジャ)

ロシアによる軍事侵攻の続くウクライナで3日、南東部の要衝マリウポリから避難した民間人100人以上が北西に約230キロ離れたザポリッジャに到着した。他方、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部では20人以上の民間人が死亡したほか、西部でも攻撃が相次いでいるという。

住民の避難中も砲撃続く=地元メディア

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日夜、定例の演説動画で、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に避難していた民間人156人が無事にザポリッジャに到着したとして、「大変な努力と長い交渉と様々な仲介」の成果だと述べた。

避難した人たちは「もうすっかり安全だ。支援を受けられる」と大統領は言い、3日間近く続いた「準」停戦と、「この人たちが人道回廊を通って移動できるよう」にした多数の関係者をたたえた。

その上で大統領は、「ロシア軍は現在、停戦合意を順守していない。アゾフスタリへの激しい攻撃を継続し、製鉄所を強襲しようとしている」と批判した。

現地報道によると、民間人の避難が散発的に始まった今月1日以降も、ロシアのマリウポリ砲撃は続いたという。BBCはこの状況を独自に確認できていない。

Russian positions
Presentational white space

国連のウクライナ担当人道調整官オスナト・ルブラニ氏は、アゾフスタリ製鉄所から101人が無事に避難したことを確認したと発表した。

「作戦のおかげで、101人の女性、男性、子供、高齢者がついにアゾフスタリ製鉄所の地下防空壕を出て、2カ月ぶりに日の光を見ることができた」と調整官は述べた。

国連と共に避難作戦を支援した赤十字国際委員会(ICRC)も、製鉄所内にいた人たちが3日にザポリッジャに到着したと確認した。中には負傷者もいたという。

一方、ウクライナのイリナ・ヴェレシチュク副首相は、子供十数人を含む民間人数百人がまだ製鉄所内に閉じ込められていると記者団に話した。副首相によると、救助員たちはさらに大勢を製鉄所の地下から救出するため爆撃停止の延長を求めたものの、ロシア軍に拒否されたという。

ヴェレシチュク副首相は、人道回廊の設置は国連や赤十字の仲介で実現したもので、民間人の避難実現を助けた人たちにひれ伏して感謝したい気持ちだと話した上で、ウクライナ政府は製鉄所内に残る負傷兵も含め、1人も置き去りにするつもりはないと強調。今後も人道回廊を維持するようウクライナ政府として働きかけていくと述べた。

避難前には地雷撤去作業

Azovstal, pictured here on Monday, has been the last stronghold of Ukrainian forces in Mariupol

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画像説明, アゾフスタリ製鉄所には多くのウクライナ兵が立てこもり、民間人が避難していた。写真は2日撮影

避難作戦の指揮を国連側でとったセバスチャン・ローズ・スタンパ氏は、避難が始められる前にまず製鉄所周辺の地雷を撤去する必要があったと話した。

「戦闘が続いている紛争地帯で、もう2カ月も地下で暮らしていた女性や子供たちを、状況が理解できていない環境へと出てもらい、安全な場所へ移動させる」のは、複雑な作業だったとスタンパ氏は述べ、「この人たちは外に出たら、おそらく生まれ育った街が破壊されているのを目にした。歩道のあちこち、道端のあちこちには人が埋葬されている状況だ」と話した。

「中には生後6カ月の赤ちゃんもいて、冬に生まれたこの子は芝生を見たことがなかった。芝生が緑だと驚いていた」

さらに、避難作業中にも「迫撃砲の砲撃があった。どこから誰が撃っていたのかは分からない。比較的すぐやんだ」と話した。

Mariupol

ザポリッジャで取材するBBCのローラ・ビッカー記者は、避難してきた人たちに話を聞いた。6歳と11歳の子供2人と2カ月以上、製鉄所の地下で暮らしたというカタリナさんは、自分はそう信じていなくても子供たちには大丈夫だと、何もかもうまくいくと励まし続けたという。

「爆撃は朝から晩まで続きました。銃撃、ロケット砲、空爆。子供たちは眠れず、泣いて、怯えていました。私たちもです」とカタリナさんは言い、「二度と出られないと希望を失いかけたことが何度もあった。ウクライナにいられて本当にうれしい」と喜んだ。

Emotional scenes greeted the arrival of Azovstal evacuees in Zaporizhzhia

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画像説明, ザポリッジャ到着を喜ぶ人たち
A white bus carrying some of the evacuees arrives at the car park in Zaporizhzhia

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画像説明, 避難用のバスでザポリッジャに着いた人たち
An elderly evacuee is given assistance by Red Cross staff once off the bus

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画像説明, 赤十字スタッフの支援を受ける高齢者
A woman cries as she speaks to a Unicef staff member in front of the bus

画像提供, Reuters

画像説明, ユニセフのスタッフと話をしながら涙を流す女性

東部ドネツクで民間人21人が死亡=州知事

他方、ロシア軍が攻勢を強める東部ドネツク州では3日、民間人が21人死亡し、27人負傷したと、パヴロ・キリレンコ州知事がフェイスブック投稿で発表した。知事によると、このうち10人は、同州アウディーウカにあるコークス工場への攻撃で死亡したという。

BBCは状況を独自に確認できていない。

NATO加盟国に接する西部でも攻撃

ポーランドに近い西部リヴィウでは、3カ所の変電所がミサイル攻撃を受け、2人が負傷したと、アンドリイ・サドヴィイ市長がBBCに話した。市長はさらに通信アプリ「テレグラム」で、変電所の破損が原因で市内は停電しており、医療機関や水道などの生活インフラに影響が出ていると明らかにした。

BBCは状況を独自に確認できていない。

このほか、中部キロヴォグラード州や南西部ヴィンニツィア州でも爆撃被害があったという。

さらに、ハンガリーやスロヴァキアと国境を接する西部ザカルパッチャ州でも、砲撃被害を受けたと地元当局が明らかにした。同州はこれまでロシアの攻撃を免れていた。

ポーランド、ハンガリー、スロヴァキアはいずれも、北大西洋条約機構(NATO)加盟国

ロシア政府はこれまでに、西側諸国がウクライナに供与する武器の輸送も、ウクライナ国内における軍事目標として攻撃対象にすると表明している。

さらにウクライナ鉄道幹部のオレクサンドル・カミシン氏は、ロシア軍のミサイルがウクライナ中部と西部で6カ所の駅を直撃したと明らかにした。旅客や鉄道職員に被害はないものの、インフラへの損害は「深刻」だという。

マクロン大統領にプーチン大統領は

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は3日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談し、あらためて停戦の重要性を伝えたという。両大統領の電話会談は3月29日以来。

フランス大統領府によると、マクロン氏は「ロシアによるウクライナ侵攻がいかに深刻な結果をもたらしているか」プーチン氏に伝え、マリウポリや東部ドンバス地方での状況について懸念を伝えたという。マリウポリからの避難活動も継続して認めるよう訴えたという。

マクロン氏は、ロシアが「国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たし、この壊滅的な侵攻を終わらせるよう」プーチン氏に強く伝えたと、大統領府は明らかにした。

これに対して、プーチン氏は西側が「ウクライナによる戦争犯罪を無視している」とマクロン氏に答えたという。ロシア政府の発表をロシア国営メディアが伝えた。プーチン氏はこれまでも根拠なく、ウクライナが戦争犯罪を犯していると主張してきた。

さらにロシア政府は、西側諸国がウクライナへの武器供与をやめる必要があると強調。ウクライナ政府が停戦交渉に真剣に取り組んでいないとも主張している。AFP通信が伝えた。

ロシア、報復制裁を発動へ

ロシア政府は同日、プーチン大統領が「一部の外国や国際機関による非友好的な行動」に対する、報復制裁を発動する大統領令に署名したと明らかにした。

ロイター通信によると、ロシア政府は制裁対象への製品・原材料の輸出を禁止する。これによってロシアの企業などは、制裁対象の個人・企業への契約上の義務を履行しなくてよいことになるという。

(英語記事 Ukraine updates