【北京冬季パラ】 類を見ない大会が閉会 記憶に残る名場面

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北京冬季パラリンピックは13日夜、閉会式が行われ、10日間の日程をすべて終えた。新型コロナウイルスの流行とロシアによるウクライナ侵攻が続く中で開かれた、類を見ない大会となった。
新型ウイルス対策の検査やマスク着用、移動経路の限定、中国人のみの少数の観客などで、これまでの冬季パラリンピックとは異なる様相の大会だったと言えるだろう。
それでも素晴らしいパフォーマンスがいくつもあった。新星が登場し、ベテランも活躍した。感動的な物語も生まれた。
BBCスポーツが、記憶に残る瞬間を振り返る。
ウクライナ代表団
ウクライナでは2月24日、ロシアによる侵攻が始まった。ウクライナ代表団が3月4日開幕の北京冬季パラリンピックに参加するのは困難と思われた。
しかし、そうした懸念を乗り越え、54人ほどからなるウクライナ代表団は中国に移動。ウクライナ・パラリンピック委員会のヴァレリー・スシケヴィッチ会長は「奇跡」と表現した。

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ロシアとベラルーシの選手らは当初、中立の立場での出場が認められると発表された。しかし、それから1日もたたず、国際パラリンピック委員会(IPC)は決定を一転。両国選手の出場を禁止した。
IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は、選手村の状況が「持ちこたえられなくなった」とし、ロシアとベラルーシの選手らに謝罪。責任はそれぞれの政府にあるとした。
開会式では、バイアスロンのマクシム・ヤロヴィー選手がウクライナ国旗とともに国家体育場(通称「鳥の巣」)に入場。選手たちは温かい歓迎を受けた。
ウクライナ選手の活躍
ウクライナ選手団は、クロスカントリースキーとバイアスロン(クロスカントリースキーと射撃を組み合わせた競技)だけでの参加だった。自国が戦場となる中、北京で素晴らしい物語を生み出した。
メダルは計29(金11、銀10、銅8)個を獲得。中国に次いで2番目に多かった。
ウクライナ選手らは大会を通し、大きな注目を集めた。自分たちの今後も不透明な中で、自国の状況や家族、友人らを思いやった。

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選手村でのセレモニーでは、1分間の黙とうをささげ、「すべての人に平和を」書かれた旗を広げた。
銅メダルを獲得したドミトロ・スイアルコ選手は、「私たちの使命は自国で平和を実現することだ」と話した。
「私たちはアスリートとしてここにいて、誇りを感じていることを伝えたい」
「どれだけ大変だろうと、私たちは努力している。私たちの国が、どれだけ大変だろうと、自由と独立を守ろうとしているのと同じように」
金メダリストのグリゴリー・ヴォフチンスキー選手は、「私は自分の国を愛している」、「これで4回目のパラリンピック大会出場だが、これほどやる気を感じるのは初めてだ」とコメント。次のように続けた。
「強くあれと自分に言い聞かせている。ここで戦うのだと。毎日、ウクライナ、ウクライナ国家、ウクライナ国旗のために戦うのだと自分に言っている」
「私たちはウクライナに戻りたいと思っている。ウクライナで戦争をやめさせたいと思っている。ウクライナで人生を送りたいと思っている。子どもたちを外の公園で歩かせたいと思っている」
中国がメダル争いで圧倒
中国は4年前の平昌大会で、冬季パラリンピックのメダルを初めて獲得した。車いすカーリングの金だった。
開催国として臨んだ今大会は、メダルを61個獲得。内訳は金18個、銀20個、銅23個だった。

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クロスカントリースキー座位で金メダル3個を勝ち取った楊洪瓊選手、アルペンスキー立位で金2個、銀3個のメダルを獲得した張夢秋選手、クロスカントリースキー座位で金2個の鄭鵬選手、バイアンスロン座位で金2個の劉子旭選手など、自国アスリートの活躍に中国は沸いた。
車いすカーリングでも、小規模ながら大声援を送る地元応援団に支えられ、中国は優勝。アイスホッケーでも、チーム結成からまだ5年ながら、準決勝まで勝ち進んだ。
中国は、夏季パラリンピックではすでに強豪国となっており、近年は冬季パラリンピック競技の発展にも大きな力を入れてきた。国内に障害のある人は推定8300万人いるとされ、ロシアの今後の参加が不透明なこともあって、中国はこの先何年も、パラリンピック競技で圧倒的な存在感を示すことが予想される。
日本は金4個、銀1個、銅2個で、メダル争いでは9位だった。
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英シンプソン兄弟が歴史をつくる
イギリスのアルペンスキーのニール・シンプソン選手とガイドの兄アンドリューさんが、競技初日に滑降でパラリンピックにデビュー。7位に入った。
翌日のスーパー大回転では、見事な滑りで優勝。イギリスに、今大会唯一となった金メダルをもたらした。

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兄弟はスコットランド北東部アバディーンに近いバンコリーの出身。
ニール選手は19歳、アンドリューさんは閉会式の日に22歳になった。兄弟は長年にわたって、雪の上でもそれ以外でも、独特の絆を作り出してきた。
「遠慮しながらものを言わなくていい」とニール選手は説明した。
兄弟はこの絆を生かし、パラリンピック、オリンピックの両方でイギリス初となる雪上競技での金メダルを獲得した。イギリスのパラリンピック金メダルは史上3個目。
兄弟はスーパー複合でも銅メダルを勝ち取り、閉会式では国旗を運んだ。
カナダの英雄マキーヴァー選手
カナダのクロスカントリースキーのスーパースター、ブライアン・マキーヴァー選手(42)が、今大会でも金メダルを3個獲得した。
視覚障害があるマキーヴァー選手は、2002年の米ソルトレークシティー大会でパラリンピックに初出場。今大会が最後だとしている。そのとおりだとしたら、好調のうちに最後の出場を迎えたことになる。

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マキーヴァー選手は2006年トリノ大会以降、個人種目では負け知らず。今大会では、金メダル獲得数を16個に伸ばした。冬季パラリンピック男子の最多記録をもつ、ドイツのゲルト・シェーンフェルダー氏に並んだ。
「まだ競技が大好きだが、年を取ってきた」とマキーヴァー選手は話した。「体にガタがきている。痛みで目が覚め、痛みを感じながら眠りにつく。明らかに潮時だ」。
マキーヴァー選手は、競技最終日のオープンリレーではメダルを積み増せなかった。次のミラノ・コルティナダンペッツォ(イタリア)大会に参加しないとしても、彼の知識と経験はカナダチームに大きな影響を与えるだろう。
将来のスター
すべての競技で、次世代を担う選手たちが素晴らしいパフォーマンスをみせ、強い印象を残した。10代選手の活躍も目立った。
アルペンスキー視覚障害では、オーストリアのアイクナー一家のヴェロニカ(19)、ヨハネス(16)両選手がともに金メダル2個を獲得。ヨハネス選手と双子のバルバラ選手(16)は、銀メダルと銅メダルを勝ち取った。

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同じ16歳のスロヴァキアのアレクサンドラ・レクソヴァ選手も、アルペンスキーで金メダルを獲得した。11個の金メダルを勝ち取ってきた同国のヘンリエッタ・ファルカショヴァ選手の後継と期待されている。
19歳の中国のスノーボード選手、紀立家と朱永鋼の両選手も活躍。スノーボードクロスではそれぞれ金と銅、バンクドスラロームでもそれぞれ銀と銅のメダルを勝ち取った。
ノルディックスキーでは、15歳のドイツのリン・カツマイアー選手が驚異的な成熟ぶりを見せた。クロスカントリーとバイアスロンの視覚障害で、金1個、銀3個、銅1個を獲得。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会も、まだ10代で迎える。









